クラック用ハーケンの歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/10/28 01:06 UTC 版)
「ハーケン (登山用品)」の記事における「クラック用ハーケンの歴史」の解説
原始的なハーケンは額縁を掛けるL字の鉤状であり、未だカラビナは発明されていなかったため、カラビナを通す穴はなかった。L時型の折れ曲がった部分を上に向けてそこにクライミングロープをただ掛けるだけで使っていたようであるが、これだけでは危険なためロープを掛けてからL字型の角を下から叩き曲げてロープを巻き込んだようにしたこともある。 やがて頭部に穴を開けて細い紐を通して輪とし、身体につけたロープをほどいてこの輪に通すようになり、また紐の輪の代わりに金属製の丸環をつけたリングハーケンが製造されるようになった。さらにはハンス・フィーヒトルが頭部に大きく固定的な穴を持つフィーヒトル・ハーケンを開発し、時代とともに小改良はされつつも、これが現在でも使用されている。 ハンス・フィーヒトルの山岳仲間であったオットー・ヘルツォーク(Otto Herzog)は消防署員がカラビナを使用しているのを偶然見かけて登山用に使うことを思いついて実際の登攀に使えるよう改良、また山岳仲間のハンス・デュルファー(Hans Dülfer)もデュルファージッツと呼ばれるクライミングロープによる懸垂下降法を考え出し、カラビナやロープの進歩と相まってハーケンの効果が発揮されるようになった。 しかしハーケンやカラビナを使用することを拒否した者もいて、特にパウル・プロイス(Paul Preuss)は、突然襲いかかって来る危険に際してのみその使用が正当化されるとしていたが1913年に墜死した。信条こそ違えど親友だったハンス・デュルファーはその墓の前で子どものように泣いたという。 1957年から1967年の間にイヴォン・シュイナードが種類やサイズを増やし、ほぼ網羅した。 1960年にはラープ(Rurp)と呼ばれる実用限界ぎりぎりに薄いハーケンが開発された。これは通常のハーケンでは打ち込めないほど細くて浅い岸壁の割れ目が多いヨセミテカットピナクル西壁初登攀のために開発され、必要な強度を確保するためクロムモリブデン鋼製である。
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