懸垂下降とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 言葉 > 表現 > 懸垂 > 懸垂下降の意味・解説 

けんすい‐かこう〔‐カカウ〕【懸垂下降】

読み方:けんすいかこう

登山用語ロープ使って岩壁氷壁を下ること。アプザイレン


懸垂下降

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/27 15:40 UTC 版)

懸垂下降の様子。4枚の写真を合成したもの
UH-1J ヘリコプターからラペリング降下を行う陸上自衛隊レンジャー隊員
ザイルを通したエイト環

懸垂下降(けんすいかこう)は、ロープ(ザイル)を使って高所から下降する方法のことである。登山では、主に急峻な斜面や岩壁、軍事活動のヘリボーンや救助においては、ヘリコプターが着陸できない状況下にてホバリング中のヘリコプターなどから降りる際、またはCQBにおいて、建物屋上から内部に進入する際にも用いられる。ドイツ語からアプザイレンAbseilen )、フランス語由来のアメリカ英語からラッペリングrappelling )もしくはリ(ラ)ペリング、ラッペルとも言う。イギリス英語ではドイツ語由来のabseilenが多用される。

概要

クライミングロープにセットされた下降器を用い、ロープと懸垂下降器の摩擦を緩めながら後ろ歩きの要領で下降する。オーバーハングのある岩壁や、ヘリコプターからの降下などではロープを一気に滑り降りる場合もあるが、訓練を積んでいない者が行うのは極めて危険である。
「オーストラリアン・ラペル」と俗称される方法では、前向き(下向き)の姿勢で下降が行われる。

用語

道具
衝撃吸収のため、部だけでなく太腿部までホールドするものを用いる。消防などでは「座席結び」と呼ばれる方法で体に巻いたロープを使用する場合もある。また、ハーネスに使用するカラビナは、必ず安全環付きのものを使用する。
また、下降器やハーネスを用いず、「首絡み」や「肩絡み」といったロープを体に絡ませて行う方式もあるが、摩擦による擦傷など身体への負担も大きいため、応急的な手段であり一般的には用いられない。消防においても訓練は行うが、現場においてはハーネスを使用している。
手に強い摩擦が生じるため、製のものが望ましい。
  • カラビナ
  • 懸垂下降器(ディセンダー 英語:descender)
  • ビレイディバイス
  • チョーク 滑り止め粉
  • 残置 - 昔の人が置いて行ったロープなど、古いものは安全性に不安がある。
  • クラッシュパッド(英語:crash pad) - 人工壁で落下した時用の安全装置
テクニック

歴史

懸垂下降は、 1876年7月13日にフランス人登山家Jean Charlet-Stratonフランス語版アルプス山脈Les Drusフランス語版山から下りる時に使用したのが始まりである[1][2]

当初は、ブレーキを掛けながら降下できる懸垂下降器の発明もなかったため、登山家のハンス・デュルファーフランス語版が発明したロープを体に巻き付ける工夫S-rappel などによって下降スピードを調整していた。こういった方法は、rappel suisse、South African Abseil英語版などの発展があり、懸垂下降器が使えないなど様々な理由で今日でも使用されることがある。しかし、この方法は擦り傷や服へのダメージが大きく問題であったため、1960年代以降は懸垂下降器を使用するのが一般的となった。

出典

  1. ^ Jean-Esteril Charlet and Mary Isabella Straton: A Fairy Tale”. Alpinist.com. 2019年2月1日閲覧。
  2. ^ Roger Frison-Roche et Sylvain Jouty, Histoire de l'alpinisme, Paris, France, Flammarion, 2003 ISBN 978-2700395853, page 302.

関連項目


懸垂下降

出典:『Wiktionary』 (2021/08/16 01:33 UTC 版)

名詞

懸垂 下降 (けんすいかこう)

  1. 高所からロープ用いて下降すること。
  2. 登山ザイル用いて急な斜面岩壁氷壁下降すること。アプザイレン
  3. ヘリコプター軍事救助において着陸できない状況ホバリング中のヘリコプターからロープ垂らして目的地下降すること。ラッペリング。ラペリング。リペリング。
  4. CQBにおいて建物屋上からロープ垂らしながら下降して内部進入すること。ラッペリング。ラペリング。リペリング。

「懸垂下降」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



懸垂下降と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「懸垂下降」の関連用語

懸垂下降のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



懸垂下降のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの懸垂下降 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの懸垂下降 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS