キリスト教の自然法論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/18 15:51 UTC 版)
自然法思想は、ギリシャ哲学とキリスト教の融合によって、キリスト教の倫理学にも影響を及ぼすようになった。既に4世紀には、カッパドキア三星を中心とする司教たちの説教の中に、ストア哲学と自然法の教えが流れ込んでいる。11世紀から12世紀にかけての「改革」(reformatio)の理念は、教父たちの解釈によれば、権威ある書物に則りながら、自然と理性に従って生きることを目標とする。 この流れの中で、キリスト教もまた自然法思想に影響を与え、自然法をキリスト教化していく。アウグスティヌスとその後継者たちは、永久法としての神定法を導入し、自然法をこれに帰属せしめた。教令集を編纂したグラティアーヌスは、自然法を十戒および福音書の中に含まれているものと説明する。このことは、ギリシャ哲学におけるロゴスがユスティノスの下で神に帰せしめられたように、神こそが全宇宙の段階的秩序の頂点に立っているという考え(位階主義)を示している。このようなキリスト教的法理論は、世俗法にも影響を及ぼした。 神みずからが法であり、それ故に神は法を愛する。 — ザクセンシュピーゲル序文
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