オロノ (メイン州)とは? わかりやすく解説

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オロノ (メイン州)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/15 23:05 UTC 版)

メイン大学

オロノ(Orono)は、アメリカ合衆国メイン州ペノブスコット郡にある町。州中央部の主要都市バンゴーの北東12kmに位置する。人口は1万1183人(2020年)[1] 。町はメイン大学がキャンパスを構える学園都市である。町名は周辺一帯のネイティブ・アメリカン、ペノブスコット族の首長であったジョセフ・オロノ(Joseph Orono)にちなんでいる。

歴史

オロノの歴史は1774年にさかのぼることができる。その年、ジェレミア・コルバーン(Jeremiah Colburn)とジョシュア・アイヤーズ(Joshua Ayers)の2人はこの地に入植地を建設した。当時はマサチューセッツ州の管轄下にあった。次いでジョン・マーシュ(John March)はコルバーンとアイヤーズの入植地の近くを流れるペノブスコット川(Penobscot River)の中州に入植した。このことから、この中州はマーシュ島(Marsh Island)と名付けられた。


1806年3月12日にはオロノは正式な町になった。1808年頃、スコットランド出身のジョン・ベノック(John Bennoch)とアンドリュー・ウェブスター(Andrew Webster)はこの一帯に有していた広大な土地を利用し、現在の町域にあたる地域にプランテーションを創った。このプランテーションはスティルウォーター(Stillwater)と名付けられた。やがてこの近辺に住んでいたネイティブ・アメリカンのペノブスコット族の首長で、独立戦争において目覚しい活躍をしたジェセフ・オロノにちなんでオロノと改名された。1820年にはメイン州がマサチューセッツ州から分離して州に昇格した。この頃のオロノは農業によって支えられていた。

やがて1862年南北戦争の最中に当時の大統領エイブラハム・リンカーンはオロノに州立のランドグラント大学の創設を決定した。3年後の1865年にはメイン州初の州立大学、私立を含めても4校目の大学としてメイン農業・機械大学(Maine College of Agriculture and the Mechanic Arts)が創設された。キャンパスは当時の町の中心から1.6km離れたマーシュ島に創られた。創立から3年後の1868年9月21日に大学は開校した。この大学は1897年に現在のメイン大学に改称された。大学ができたことにより若者がこの町に集まるようになり、1870年には人口2,888人を数えた。

地理

オロノの位置

オロノは北緯44度53分59秒 西経68度40分28秒 / 北緯44.89972度 西経68.67444度 / 44.89972; -68.67444に位置している。バンゴーの北東郊12km、ポートランドの北東約220km、ボストンの北東約390kmに位置している。

アメリカ合衆国統計局によると、オロノ町は総面積51.2km²(19.8mi²)である。そのうち47.2km²(18.2mi²)が陸地で4.1km²(1.6mi²)が水域である。総面積の7.94%が水域である。

町はペノブスコット川の西岸に位置し、支流であるスティルウォーター川(Stillwater River)で分かたれている。ダウンタウンはペノブスコット川とスティルウォーター川に囲まれた中州のマーシュ島と本土側の両方に広がっている。メイン大学はマーシュ島側に立地している。町の北約8km、マーシュ島の北端にはオールドタウンの市営空港であるデウィット・フィールド(Dewitt Field)がある。同空港はゼネラル・アビエーションと呼ばれる、自家用機およびチャーター機が主に離着陸する空港であり、旅客機の定期便はない。

オロノの気候は典型的なニューイングランドの気候で、涼しく雨の多い夏と寒さの厳しい冬に特徴付けられる。夏の平均気温は摂氏20度ほどである。冬は平均でも氷点下8度ほどで、氷点下10度を下回ることも珍しくない。降水量は1年を通じてほぼ一定で、年間1,000mm程度である。冬の降雪量は月間50cmにも達する。

メイン大学

オロノはメイン大学がキャンパスを構える大学町である。メイン州ではベイツ大学ボウディン大学コルビー大学の私立3校がよく知られているが、これら3校が少数精鋭制を採り、教養に力を入れるリベラルアーツ・カレッジであるのに対し、このメイン大学は約11,000人の学生を抱える州立の中規模総合大学で、実学に力を入れている。特に創立以来からの伝統である工学の分野に強く、経営学や森林学の分野でも知られている。州きっての州立総合大学ということもあり、学生のほとんどはメイン州出身である。

ライル・E・リトルフィールド観賞植物実験園内で咲く花

また、メイン大学はキャンパス内にある3つの植物園でも知られている。1934年に開園したフェイ・ハイランド植物学プランテーション(Fay Hyland Botanical Plantation)はスティルウォーター川の河岸に約40,000m²の敷地を有し、メイン州自生のものをはじめ、世界中の木本植物が植えられている。ライル・E・リトルフィールド観賞植物実験園(Lyle E. Littlefield Ornamentals Trial Garden)は植物園と研究所に分かれ、約65,000m²の敷地を有している。草本・木本合わせて2,500種の植物が栽培されており、特にリンゴ(210種)、ライラック(180種)、ツツジ(150種)、マグノリア(30種)のサンプルが豊富である。その近くには1,400m²の温室、ロジャー・クラップ温室群(Roger Clapp Greenhouses)が建っている。初期は3棟の温室からなり、それぞれ1924年1928年1932年に建てられた。1977年には改装され、温室が7棟になった。1980年には同校の園芸学教授を長年務めた教授、ロジャー・クラップの名がつけられた。この温室では世界中の熱帯植物や砂漠植物が栽培され、特にバナナサボテン多肉植物のサンプルが豊富である。これら3つの植物園は、メイン大学の研究・教育のために使われている部分を除いて、一般に公開されている。

メイン大学はオロノにおける文化面でも重要な位置を占めている。1986年に開館したメイン芸術センター(Maine Center for the Arts)はキャンパス内に立地するコンサートホールである。同館ではメイン大学の学生などによる各種演技芸術のほか、全米最古のコミュニティ・オーケストラであるバンゴー・シンフォニー・オーケストラ(Bangor Symphony Orchestra)の公演も行なわれている。同館内にはハドソン博物館(Hudson Museum)もある。ハドソン博物館はネイティブ・アメリカンの歴史や芸術に関する展示物を揃えている。

人口動態

以下は2000年国勢調査における人口統計データである。

基礎データ

  • 人口: 9,112人
  • 世帯数: 2,691世帯
  • 家族数: 1,291家族
  • 人口密度: 193.2人/km²(500.3人/mi²)
  • 住居数: 2,899軒
  • 住居密度: 61.5軒/km²(159.2軒/mi²)

人種別人口構成

年齢別人口構成

  • 18歳未満: 11.9%
  • 18-24歳: 47.9%
  • 25-44歳: 17.1%
  • 45-64歳: 13.8%
  • 65歳以上: 9.3%
  • 年齢の中央値: 22歳
  • 性比(女性100人あたり男性の人口)
    • 総人口: 102.5
    • 18歳以上: 102.1

世帯と家族(対世帯数)

  • 18歳未満の子供がいる: 21.7%
  • 結婚・同居している夫婦: 36.6%
  • 未婚・離婚・死別女性が世帯主: 8.5%
  • 非家族世帯: 52.0%
  • 単身世帯: 31.5%
  • 65歳以上の老人1人暮らし: 10.0%
  • 平均構成人数
    • 世帯: 2.23人
    • 家族: 2.81人

収入と家計

  • 収入の中央値
    • 世帯: 30,619米ドル
    • 家族: 52,714米ドル
    • 性別
      • 男性: 35,923米ドル
      • 女性: 24,943米ドル
  • 人口1人あたり収入: 14,813米ドル
  • 貧困線以下
    • 対人口: 25.0%
    • 対家族数: 10.3%
    • 18歳未満: 21.8%
    • 65歳以上: 6.2%

参考文献

  • A Gazetteer of the State of Maine. Geo. J. Varney. B. B. Russell. Boston, MA. 1886. [1]

脚注

  1. ^ Quickfacts.census.gov”. 2023年11月24日閲覧。

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