エアバッグの加害性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 03:43 UTC 版)
エアバッグは、事故の衝撃から乗員の生命を守るためにきわめて強い圧力(エアバッグの上に乗った成人男性が吹き飛ばされるほどの威力がある)で瞬時に展開する。そのため、エアバッグとの接触により、かすり傷や打撲などの軽傷を受けることがあり、シートベルト非装着や小さな子供が助手席に座らされている場合は、最悪のケースでは死亡する恐れがある。また、ステアリングにもたれかかるようなエアバッグ装置に近づきすぎた姿勢で乗車しているとエアバッグの衝撃により命にかかわるような重大な傷害を受ける恐れがある。 ステアリングやダッシュボード、あるいはフロントガラスに頭から突っ込む場合より被害を軽減するべく作られているが、高速での衝突時などでは完全に衝撃を吸収することはできない。 エアバッグは、火薬を使って急速に膨らませるため、作動時には車内の気圧が急激に上昇する。窓を閉め切っていた場合などは、この急激な気圧の変化により鼻血が出たり鼓膜を傷めたりする。場合によっては鼓膜が破れることもある。なお、火薬を使うのはエアバッグを高速で展開させるには、二酸化炭素などのガス膨張では事故衝撃に間に合わないため。 日本国内で1999年までに装備されていたエアバッグの火薬(ガス発生剤)は有毒なアジ化ナトリウムが使用されていた。 爆発(膨張)音の軽減やエアバッグの膨張〜収縮の時間差が工夫されるなど改良が加えられているが、あくまでも乗員の生命保護を第一としていることもあり限界はある。 初期のエアバッグでは、バッグが開いた時に顔面に当たる衝撃で死亡する事故が発生し、アメリカでは裁判にもなっている。 整備作業時に不適切な扱いをすると誤動作する危険性があり、その結果、人員もしくは機材に著しく重大な損害を与える可能性がある。 一般的な事項であるが、装置の製造不良により人体や機材に著しい損害を与えることがあり、エアバッグも例外では無い。当然全てのエアバッグは火薬・袋体を含め経年劣化する。
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