ウイルス仮説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:31 UTC 版)
タンパク質単独仮説は、今日までの実験結果に対して「ウイルス」の存在を仮定すれば最も簡単に説明できると考える研究者によって批判されている。イェール大学の神経病理学者ローラ・マヌエリディスは10年間以上にわたり、プリオン病の原因を未知の「スローウイルス」として主張している。マヌエリディスは2007年1月、スクレイピーに感染した培養細胞のうち10%以下の細胞に、ウイルスが存在することを確認したことを示す論文を発表した。 ウイルス仮説は、伝達性海綿状脳症の原因をPrPに結合した複製可能情報性分子(恐らく核酸)であると主張する仮説である。スクレイピーやウシ海綿状脳症など、多くの伝達性海綿状脳症は特徴的な生物学的性質を有しているが、ウイルス仮説の支持者はこの特徴をプリオンで説明することができないと主張する。 ウイルス仮説を支持する証拠は以下の通りである。 種間に認められるプリオンの感染性、潜伏期間、症候、進行の違いは、特にRNAウイルスといったウイルスに見られる「株の違い」に類似している。 長い潜伏期間と症候の急激な発生は、HIVが引き起こすAIDSなど、一部のウイルス感染症に類似している。 PrPから構成されると考えにくいウイルス様粒子が、一部のスクレイピー感染細胞株、クロイツフェルト=ヤコブ病感染細胞株から検出されている。
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