イッテンフエダイ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/15 07:07 UTC 版)
イッテンフエダイ | ||||||||||||||||||||||||
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) |
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Lutjanus monostigma (Cuvier, 1828) |
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シノニム[2] | ||||||||||||||||||||||||
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英名 | ||||||||||||||||||||||||
one-spot snapper |
イッテンフエダイ(学名:Lutjanus monostigma)は、フエダイ科に分類される魚類の一種。インド太平洋に分布し、サンゴ礁や岩礁に生息する。黄色の鰭と体側面の黒斑が特徴である。シガテラ毒を有する可能性があり、日本では流通はされていない。
分類と名称
1828年にフランスの動物学者であるジョルジュ・キュヴィエによって Mesoprion monostigma として記載され、タイプ産地はセーシェルであった[3]。種小名は「一つの斑点」を意味し、体側面の斑点を示している[4]。onespot seaperch、Moses snapperなどの英名がある。沖縄ではヒシヤマトビーと呼ばれている[5]。
分布と生息地
紅海から南アフリカのソドワナ湾までの東アフリカ沿岸から、ペルシャ湾、インド洋の島々、インド南東部とスリランカ、東南アジアを通り、東はマルキーズ諸島およびライン諸島、北は南西諸島、南はオーストラリアまで、インド太平洋に広く分布する[1]。日本では南日本の太平洋岸で散発的に見られ、主に南西諸島に分布する[5]。オーストラリアでは西オーストラリア州のジェラルトンから、北部を通ってジャービス湾まで、クリスマス島、ティモール海のアシュモア・カルティエ諸島、タスマン海のロード・ハウ島にも分布する[6]。成魚は水深1-60mのサンゴ礁、岩礁に生息する[2]。幼魚は河川にも進出する[5]。
形態
体高は比較的高く、体長は体高の2.6-3.0倍。頭部背側の輪郭は緩やかで、前鰓蓋骨には弱い切れ込みと突起がある。鋤骨歯は三日月形に並び、後方には突き出さない。舌に歯は無い[7]。背鰭は10棘と13-14軟条から、臀鰭は3棘と8-9軟条から成る[2]。背鰭と臀鰭の後部は丸みを帯びるか、角張っている。胸鰭は15-17軟条から成り、尾鰭は截形か弱い湾入形[7]。全長は通常50cm、最大で60cm[2]。体色は赤褐色または灰色で、鰭は黄色から橙色であり、体側面後部には黒い斑点がある[6]。成長に伴って斑点は小さくなり、形状は楕円形に近づく[8]。
生態
夜行性の肉食魚であり、主に魚類を、また底生の甲殻類も捕食する[1]。通常は単独で生活するが、小さな群れを作ることもある。パプアニューギニア沖では、雌の半数が全長32cm、生後3年で性成熟する。寿命は最長で13年[9]。
人との関わり
オセアニアでは商業漁業の重要な対象種である。主に鮮魚として販売され、釣り、かご網漁、刺し網で漁獲される。シガテラ毒を保有することが知られており、特にツバルでは多い。分布は広く、漁業の少ない海域では依然として個体数が多いため、国際自然保護連合のレッドリストでは低危険種とされている[1]。日本では沖縄で漁獲されることがあるものの、シガテラ毒の危険性から流通は禁止されている[5][10]。
出典
- ^ a b c d Russell, B.; Lawrence, A.; Myers, R.; Carpenter, K.E.; Smith-Vaniz, W.F. (2016). “Lutjanus monostigma”. IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T194376A2325523. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T194376A2325523.en 2025年7月11日閲覧。.
- ^ a b c d Froese, Rainer and Pauly, Daniel, eds. (2025). "Lutjanus monostigma" in FishBase. July 2025 version.
- ^ “CAS - Eschmeyer's Catalog of Fishes Lutjanus”. researcharchive.calacademy.org. 2025年7月11日閲覧。
- ^ “Order ACANTHURIFORMES (part 4): Families HAEMULIDAE and LUTJANIDAE”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database. Christopher Scharpf and Kenneth J. Lazara (2025年1月26日). 2025年7月11日閲覧。
- ^ a b c d 下瀬環 (2018)「イッテンフエダイ」中坊徹次(編/監修)『小学館の図鑑Z 日本魚類館』p.270、小学館、ISBN 978-4-09-208311-0。
- ^ a b Bray, D.J. (2025年). “Lutjanus monostigma”. Fishes of Australia. 2025年7月11日閲覧。
- ^ a b Gerald R. Allen (1985). FAO species catalogue Vol.6. Snappers of the world An annotated and illustrated catalogue of lutjanid species known to date. FAO Rome. pp. 106. ISBN 92-5-102321-2
- ^ “Lutjanus monostigma”. Reef Life Survey. 2025年7月12日閲覧。
- ^ “Lutjanus monostigma”. FishIDER. 2025年7月12日閲覧。
- ^ “イッテンフエダイ | 魚類 | 市場魚貝類図鑑”. ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑. 2025年7月11日閲覧。
関連項目
- イッテンフエダイのページへのリンク