イスラエル学会事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 05:04 UTC 版)
イスラエル関連の学会をめぐる外務省の事件。ロシア外交を展開していた鈴木宗男はイスラエルの学会はロシアと非常に繋がりの深かったことを日本の対ロシア外交で重要視し、そのためイスラエル関連の学会を巡って、外務省の決裁を経て、外務省関連の国際機関の「支援委員会」から支出が行われていた。 2000年1月にガブリエル・ゴロデツキー(テルアビブ大学教授)夫妻をイスラエルから日本に招待した時 2000年4月にテルアビブ大学主催国際学会「東と西の間のロシア」に7名の民間の学者と外務省から6人のメンバーを派遣した時 これらの支出は支援委員会設置協定に違反した目的外の支出に当たると認識しながら、この2回の費用の支出を外務省条約局が決裁して「支援委員会」から計3300万円を引き出して支払った疑惑が浮上し、国際情報局分析第一課主任分析官だった佐藤優と元ロシア支援室課長補佐が背任罪で起訴された。 2000年1月の招聘についての幹部決済者は小寺次郎欧亜局ロシア課長、倉井高志(ウクライナ語版)欧亜局ロシア課ロシア支援室長、宇山秀樹欧亜局ロシア課ロシア支援室首席事務官、谷内正太郎条約局長、小松一郎条約局審議官、杉山晋輔条約局条約課長であった。 2000年4月の派遣についての幹部決済者は川島裕外務事務次官、加藤良三外務審議官、卜部敏直大臣官房会計課長、東郷和彦欧亜局長、小寺次郎欧亜局ロシア課長、倉井高志欧亜局ロシア課ロシア支援室長、星山隆欧亜局ロシア課ロシア交流室長、宇山秀樹欧亜局ロシア課ロシア支援室首席事務官、香川剛廣中近東アフリカ局中近東第一課長であった。 佐藤は外務省幹部であった東郷和彦や野上義二の言葉から「支援委員会から支払をすることは通常手続きである外務事務次官決裁を受けており正当なものだった」との主張をし、高裁では東郷が法廷に出廷して支援委員会の支出が正当であると証言したが、佐藤ら2人の外務省官僚の有罪が確定した。判決理由では「情報収集に多少なりとも役立てば支出できるというような野放図な支出は許されない。決裁を経ていても違法でないとはいえない」「鈴木宗男に配慮する傾向があったことに乗じて、不正に予算を支出させた」と認定された。一方で「決裁に関与した外務省幹部職員の一部も、支出について協定解釈上の問題があったのに容認した。鈴木元議員の影響が及んでいたこともうかがわれ、被告の責任のみに帰すことはできない」と被告に有利な情状も認定した。
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