アンテナのVSWR
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/09 06:57 UTC 版)
通常、アンテナ (空中線) の使用周波数においてVSWRが最小となるように設計されている。送信設備ではVSWRが高いとミスマッチにより反射して戻ってきた電力によって、信号源である電力増幅器に悪影響を及ぼす場合がある。一般にSWRは 1.5 以下が理想、 3 以下が実用上の限界とされている。信号源側のVSWRが1のとき、負荷側のVSWR = 1.5 で電力効率は 96 %、VSWR = 3 で 75 %となる。携帯電話ではアイソレータを電力増幅器と空中線との間に挿入し、電力増幅器を保護している。 なお、アイソレータが挿入されている場合や、送信出力低減回路のような保護回路が実装されている場合は、使用上は定在波比がある程度高くても特に不都合は生じないが、空中へ放射される電力が少なくなり、電力効率の点から、低い方が望ましい。受信のみを目的とする空中線の場合は、空中線の定在波比を低くすることで受信効率が上がりS/N比が改善される。また指向性のある空中線では、定在波比が高いと目的の指向性が得られない場合がある。 また高調波は基本波に対して整数倍であり、ダイポール等の開放端のアンテナにおいて基本波に対して整合が取れている場合、特別な工夫や構造を取らない限り奇数次に対しても基本波同様に整合が満たされる場合が多い。対策としてはアンテナと増幅器の間にLPF(Low Pass filter)を挿入することが多い。なおアンテナの高調波の周波数帯におけるVSWRが大きい場合、LPFの負荷インピーダンスにリアクタンス成分が付加されるため、フィルタのカットオフ周波数に影響が現れる結果、所望の動作が得られない (減衰量の劣化) ことも考えられる。
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