その他、特徴的な心電図を示す病態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 01:53 UTC 版)
「心電図」の記事における「その他、特徴的な心電図を示す病態」の解説
WPW症候群 QRS波の立ち上がりにおいて、傾斜の緩い立ち上がりが先行しているものをデルタ波と呼ぶ。正常な伝導路とは別の経路が存在していることを示唆し、WPW症候群の代表的な所見である。 ブルガダ症候群 ブルガダ症候群のほか低体温症などでもみられるノッチ上の波をJ波という。Osborn waveともいう。 1938年低体温症患者のJ波をTomaszewski氏が報告し、1953年にオズボーン氏が実験的低体温症でのJ波を再現した。 ブルガダ症候群ではST部によりcoved pattern, saddle back pattern と分類される。 左室肥大(LVH) 左室肥大の所見としては左室高電位、QRS時間の延長、特にVAT(心室興奮時間)が延長する、ST-T変化といったものが知られている。左室高電位のみでは左室肥大とは言わない。肥大が進むと、T波の平坦化、ST下降、T波の陰転化が認められるようになる。これらをストレイン型ST-T変化という。ストレイン型では上に凸のST低下であり、前半がなだらかで後半が急激な左右非対称性の陰性T波となる。I, aVL, V4~V6誘導に認められることが多い。立位心ではI,aVLではなくII,III,aVF誘導にこれらの変化が認められることがある。 右室肥大(RVH) 右室肥大は肺高血圧症などで認められる所見である。エコノミークラス症候群など肺塞栓症では重症度、治療法を決定するうえでどの程度の肺高血圧があるのかが重要となってくるため、右心肥大の所見は非常に重要である。右軸偏位、肺性P波(P波の高さが25mm以上)、V1~V3のR波の増高、VATが0.03~0.05秒、V1~V3のストレインパターン、I, aVL, V5, V6の深いS波、不完全右脚ブロックといった所見を組み合わせて肺高血圧の程度を予測する。肺塞栓症ではこれらの所見を細かく分析すると80%以上の症例で心電図異常が指摘できるとされている。想定疾患によって正常の範囲が変化する重要な例である。
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