政府取り分
【英】: government take
同義語: ガバメント・テイク
普通、産出された石油・ガスの価額のうちから産油国政府が受け取る価額をいい、契約形態、税制などにかかわりなく使われる言葉。初期の石油利権協定では産油 1 トンあたり x シリングという単純な利権料(ロイヤルティ)であったが、その後利権料は売上価格の 12.5 %となり、第二次世界大戦後(中東産油国では 1950 年から)は所得税の概念が導入されて公式価格基準の利益の 50 %となった。このときは利権料は所得税上、税額控除され、利益折半協定と呼ばれた。OPEC が結成された後、1964 年に国際石油会社との間の交渉によって利権料は税額控除から所得控除に切り換えられた(→ロイヤルティ経費化)が、同時に公示価格からの一定の値引きが容認された。その後 1971 年のテヘラン協定で、所得税が 55 %に引き上げられ、さらにその後利権料率が 16 %に引き上げられた。1974 年 1 月から OPEC によって一方的に公示価格が引き上げられたのに伴い、利権料は 20 %、所得税率は 85 %に引き上げられた。一方、1960 年代末ころからインドネシアで PS 契約が締結されたが、この契約では利権料とか所得税とかの区別なく、コスト相当を差引いた(総利益に相当する)石油の 65 %は産油国側に引き渡すこととされ、後にこの比率は 70 %に、さらに油価高騰後は 85 %に引き上げられた。また先進国の例では、北海で原油生産が始まってから英国政府は、通常の所得税のほかに石油収入税(PRT)を新設し、油価高騰後はさらに石油付加税(SPD)を設けた。また米国では、第一次石油危機後統制した原油価格のうち、ニュー・オイルの価格を自由化するにあたって、所得税のほかに超過利潤税(wind-fall profit tax)を新設した。「政府取り分」という場合は、税金であると利権契約による納付金であるとを問わず、またそれらの計算に当たっては否認される費用などもあり、結果としての総額であるので、その価額または売上価格に占める比率は、税率、利権契約の形態とその内容のほか、石油価格と生産コストによっても変動する。コストが極端に安い中東における残存利権契約下の操業会社に対する取り分比は 90 %近くに達する。 |

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