さまざまな分類群におけるミューラー型擬態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 07:19 UTC 版)
「ミューラー型擬態」の記事における「さまざまな分類群におけるミューラー型擬態」の解説
ミューラー型擬態は昆虫において発見され、その後の研究も昆虫を中心に行われてきた。しかし、この進化的仕組みが他の分類群では見られないと考える合理的根拠は何もない。例えば、ニューギニア島に生息するピトフーイ属の鳥類は、属内においてミューラー型擬態を行っていると考えられている。ピトフーイ属の種は羽毛と皮膚に強い神経毒性を持つアルカロイド、バトラコトキシンを持つ。また、ピトフーイ属のカワリモリモズとズグロモリモズは、両者の分布域が重なっているところではほとんど同じ体色を示す一方で、 その他の地域では異なる体色を示す。これらの事実からこの2種は、分布が重なっている地域では、警告色を共有するミューラー型擬態関係にあると推定されている。 植物においては、お互いに似通った花を付ける例が多く知られているが、実際の擬態関係が示されたことはない。一方で、アメリカ大陸におけるサボテン科とリュウゼツラン属の植物、またはアフリカにおけるアロエ属、トウダイグサ属、アカシア属の植物、そして地中海におけるトゲを持つキク科の植物は、トゲによって植食者に対する高い防御性を示し、またそれぞれ良く似た姿をしているので、それぞれが擬態環を形成しているのではないかという考察もある。 哺乳類においても、イタチ科、ジャコウネコ科、マングース科などで、良く目立つ黒と白の縞模様が独立に進化していることが知られており、これにもミューラー型擬態が関与していると推測されている(逆カウンターシェーディング)。
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