カルボ条項
【英】: calvo clause
政府と契約を結ぶ外国人が、その契約から生じる債権の回収に関して本国政府の保護・介入を求めないことを約束する条項。 ラテン・アメリカに進出した米国資本が、現地の政治的社会的不安定さと制度上および法的な不備と未成熟さを理由としてしばしば本国政府に外交的保護を求め、私人間の契約上の問題に対して自国政府の力による解決を図るといった挙に出ることが多発した。その対抗策としてラテン・アメリカ諸国が契約にかかわる紛争は受入国の裁判所によって解決し、外国人は本国政府に保護(外交ルートによる損害賠償の請求など)を求めないことを、契約中に規定した。これを提唱したアルゼンチンの国際法学者カルボ(Carlos Calvo、1824 ~ 93 年)の名をとってカルボ条項と呼ばれる。通説としては、外交保護(介入)権は国家の権利であり私人が放棄し得るものでないとされている。 このようなカルボ条項の例としては、アラビア石油(株)が 1957 年と 58 年にそれぞれサウジアラビアとクウェートとの間に結んだコンセッション協定がある。「会社は本協定並びに本協定上の権利に関する事項に関し、外交的手段に訴える権利を放棄するものと了解される。」(サウジアラビアとの協定第 49 条 (b) 、クウェートとの協定第 31 条 (b) )カルボ条項に関連するものとして、ドラーゴ主義(Drago doctrine)がある。契約上の債権を回収するために国家は兵力を使用してはならないとするもので、これを主張したアルゼンチンの外相ドラーゴ(Luis Maria Drago、1850 ~ 1921 年)の名をとっている。 1907 年にハーグ平和会議で締結された「契約上の債権回収を目的とする兵力使用の制限に関する条約」は、ドラーゴ主義を採用しており、同条約にはわが国も加盟している。 |

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