お山参詣
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岩木山神社で毎年旧暦8月1日に行われる例大祭「お山参詣」(ヤマカゲともいう)は津軽地方最大の農作祈願祭で、国の重要無形民俗文化財に指定されている。多くの人々が五穀豊穣や家内安全を祈願して、深夜に山頂を集団登拝し御来光を拝む。参詣時に唱える言葉は、修験系のものである。お山参詣がいつから始まったかについては、鎌倉時代の初期からという説もあるが、はっきりしない。現在のような形式となったのは江戸時代中期(1719年)のころとされる。当時は、8月1日に山に入れたのは藩主のみであった。現在のように一般の人々による参詣が主となったのは、明治に入ってからであるとされる。 お山参詣は向山(むかいやま)、宵山(よいやま)、朔日山(ついたちやま)の全3日の行程で行われる。初日の「向山」では、多くの人々が岩木山神社の参道を上って参詣を行う。2日目の「宵山」では、参拝者たちが白装束に身を包み、登山囃子にあわせて「サイギ、サイギ」と叫びながら、黄金色の御幣や多彩な幟を掲げて岩木山神社を目指す。3日目の「朔日山」は旧暦8月1日にあたり、参拝者たちは未明からいっせいに登り始め、山頂付近で御来光を拝む。岩木山神社に登拝の報告をし、バダラ踊りを踊りながら帰宅する。バダラ踊りは、登拝を終えた喜びと、岩木山の神霊の力により、登拝者たちに神通力が宿ったことを表しているとされる。 登山時の唱文懺悔懺悔(サイギサイギ) - 過去に犯した罪を悔い改める。 六根懺悔(ドッコイサイギ) - 目・耳・鼻・舌・身・意の六根の迷いを捨てる。 御山八大(オヤマサハツダイ) - 観音菩薩・弥勒菩薩・文殊菩薩・地蔵観音・普賢菩薩・不動明王・虚空蔵菩薩・金剛夜叉明王を指す。 金剛道者(コウゴウドウサ) - 金剛石のように堅く不動である信仰を指す。 一々礼拝(イーツニナノハイ) - 八大柱の神仏を礼拝する。 南無帰命頂礼(ナムキンミョウチョウライ) - 神仏に帰依しその意に従う。 下山時の唱文跋折羅(バダラ、バサラ) - 極端にはしゃぐこと。「いい山かげた朔日山かげた。バダラ、バダラ、バダラヨー」といいながらバダラ踊りを踊る。
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