お女郎地蔵と火の玉不動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 17:52 UTC 版)
江戸時代、大宮宿に柳屋という飯盛旅籠があり、街道筋でも評判の千鳥・都鳥という美しい姉妹が旅人の相手をしていたという。 やがて千鳥が宿場の材木屋の若旦那と恋仲となり、末は夫婦にと固い約束を交わす。 ところが、関八州を荒らし回る大盗賊・真刀徳次郎が横恋慕し、何が何でも千鳥を身請けするとしつこく迫り、挙句の果てには宿に火を点けると凄んで手を付けられなくなった。 これを知った千鳥は思いあまって、高台橋から身を投げてしまったという。 今日、高台橋の傍らにひっそりと佇む女郎地蔵は、千鳥を哀れに思った町の人々による建立と伝えられる。 さて、千鳥の悲劇があった頃、高台橋付近では鬼火(火の玉)が多く見られた。人々はこれを高台橋から身投げした千鳥の霊魂であるとか、傍らの不動明王像の悪戯であるなどと噂し合った。 そんなある日の夜、一人の男が松の陰に潜んでいると、谷間から鬼火が現れた。これに怖れおののいて、男は鬼火に向かって出鱈目に斬りつける。すると大きな悲鳴が聞こえ、そして、物凄い形相の男が姿を現わした。その男は 「俺は不動明王だ。お前に剣を斬り落とされた」 と言い残して消えてしまった。 この話を聞いた人々が翌日様子を確かめに行くと、怖ろしい顔をした不動明王像は剣を持っていなかったという話である。 以来、像は「火の玉不動」と呼ばれるようになった。
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