『平家物語』の説話
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古典『平家物語』には鵺(ぬえ)と呼ばれる怪物退治の説話が記されている。それによると、近衛天皇の御世、帝が毎晩何かに怯えるようになった。 その昔、帝の病平癒祈願のため、源氏の棟梁・源義家が御所にあがり、「陸奥守、源義家!」と叫んで弓の弦を三度鳴らしたところ病魔が退散し、帝の容態はみるみる回復した。 そのため此度も武士を警護につけるがよかろうということになり、同じ源氏の一門で武勇の誉れ高かった頼政が選ばれた。そして深夜、頼政が御所の庭を警護していたところ、艮(うしとら)の方角(=北東の方角)よりもくもくと黒雲が湧き上がり、その中から頭が猿、胴が狸、手足が虎、尾が蛇という「鵺」と呼ばれる怪物が現れた。頼政は弓で鵺を射、駆けつけた郎党・猪早太(いのはやた)が太刀で仕留める。その後、頼政は仕留めた鵺の体をバラバラに切り刻み、それぞれ笹の小船に乗せて海に流したという。 現存する平安期の日本刀に「獅子王(ししおう)」の号が付けられた太刀があり、この鵺退治の功により朝廷より頼政に下賜されたものである、との伝承がある。
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