『ピープルズ・チョイス』が発見したオピニオン・リーダーの存在
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「ポール・ラザースフェルド」の記事における「『ピープルズ・チョイス』が発見したオピニオン・リーダーの存在」の解説
さらに、ラザースフェルドの実証研究は、1960年代までのマス・コミュニケーション研究の出発点をなしていたと評価される。 ラザースフェルドらによる1948年の『ピープルズ・チョイス』では、1940年のアメリカ大統領選挙に際して、5月から11月の間オハイオ州エリー郡に滞在し、毎月3000サンプルの中から600サンプルを抽出して面接調査を行い有権者の投票行動を分析したが、この実証研究により、人々の行動決定に強い影響力を持つオピニオンリーダーの存在が証明され、「コミュニケーションの二段階の流れ」という新たな仮説が導き出された。つまり、人々がどこに投票するかを決めるときには、新聞やラジオの情報を鵜呑みにするのではなく、マス・メディアを視聴した一部のオピニオン・リーダーが他の人々に知見や意見をもたらすのだと示した。 これにより、当時主流であった、受け手がメディアのメッセージを全面的に受け入れるとする「皮下注射モデル(強力効果理論)」から、メディアは限定的な影響しか与えないとする「限定効果モデル(限定効果理論)」へと向かう流れが形成されたと言われている。 ただし、ラザースフェルドは活字メディアよりもラジオの方が投票行動に直接影響したとも結論づけており、「ラジオによる政治体験は、当該の人物との対面接触に似ているともいえる。それは、どちらかというとパーソナルな関係に近いものであり、だから一層効果的」として、マスとパーソナルの中間のメディアであるラジオの、情動的な語りかけの力に注意を促している。
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