「経験値」という言葉が定着するまで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 12:57 UTC 版)
「経験値」の記事における「「経験値」という言葉が定着するまで」の解説
日本に外国製TRPGが持ち込まれた時点から「経験値」という言葉が一般的だったわけではない。クリエイター集団グループSNEの創設者で、1980年代初めからアメリカ製RPGを多く紹介していた安田均は、1982~1983年ごろの『S-Fマガジン』の記事では、「経験ポイント」や「経験度」という言葉は使用していても、「経験値」は使っていない。 パソコン用RPGが登場して以後では、『アスキー』1983年5月号でRPGの特集が組まれており、ここで大きく扱われた同誌オリジナルのFM-7用RPG『アルフガルド』の記事では、「経験度」が使われていた。日本製パソコン用RPGでは、1983年末に光栄マイコンシステム(現・コーエー)がPC-8001用に『ダンジョン』を発売したが、これは画面上に「ケイケンド」と表示されている。その少し後に、BPSがPC-8801用に『ザ・ブラックオニキス』を発売したが、この作品では経験の度合いは棒グラフで示されるのみで、画面上には経験を示す言葉はなかった。しかし説明書では「経験」と「経験度」が使われている。 1983年時点では、『ウィザードリィ』や『ウルティマ』の正式な日本語版はまだ無く、日本で遊ぶには英語の説明書を読むしかなかった。しかし中には、輸入元やユーザーのサークルが独自に日本語説明書を配布していることもあった。その中に「経験値」が使われていた可能性はある。しかしこの時点では、日本語のパソコンゲームに大きな影響を与えていたとは言えない。 日本語のパソコン用RPGで「経験値」という表現が使用されたのは、クリスタルソフトが1984年春にPC-8801用を発売した『夢幻の心臓』が、かなり早い(あるいは最初の)例とみられる。1984年末には、日本ファルコムの『ドラゴンスレイヤー』、T&E SOFTの『ハイドライド』と、RPGとアクションゲームの両方の要素を取り入れた作品が、PC-8801用に相次いで登場した。この2作では、画面上の「EXP」あるいは「EXPERIENCE」を「経験値」と説明していた。日本語のパソコンゲームでは、1984~85年位の間に、「経験値」が一気に広まったと言える。
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