「性の精神病理」に関する逸話
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「リヒャルト・フォン・クラフト=エビング」の記事における「「性の精神病理」に関する逸話」の解説
この本は、著者の在世中に12版を重ねた。 初版は110頁の薄い本であったが、増補を重ねた12版は434頁の大著となっている。性倒錯の体系化は版を追ってなされ、フェティシズムが登場するのは第4版から、サディズムとマゾヒズムが本格的に扱われるのは第6版からである。 第2版では、一部がラテン語で記された。学術的な目的とはほど遠い(と推定される)一般人による本の需要が多かったためである。 日本では明治時代に出版されたが、発禁扱いだった。1913年(大正2年)『変態性慾心理』の名で紹介され、これが大正デモクラシーの開放的な風潮と重なって起きた変態性欲ブームに影響を与えた。「変態」の俗語が生まれたのはこの時からであると見なされている。 この本は、クリトリス・オルガスムスの重要性や、女性の性的快楽、性犯罪者の行為を判断する場合の精神状態への配慮など、性に関する問題を、丹精を込めた方法で研究した最初の書籍の一つであると共に、同性愛についての最初の科学的な議論が行われた書籍である。 何十年にもわたり、性的逸脱に関する権威であり、また疑いなくジークムント・フロイト以前において人間の性に関する最も影響力ある書籍の一つであった。 著者クラフト=エビングは、この本によって称賛と断罪を受けた。待望されていた心理学の新しい研究領域に幕開けをもたらしたことで称賛され、性倒錯を正当化したことや不道徳性で非難された。
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