「危険」に関するミーム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 06:19 UTC 版)
人間の脳は「危険」に注意を払う傾向がある。私たちが本能的に注意を引かれるミームであるために、現代の社会において危険に関するミームはたくさん広まっている。 なぜ人は「危険」に注意を払うのか。脳が進化する過程で、危険を察知する能力を向上させれば、それだけ生き延びて、子供の数を増やすことができたからである。遺伝子が進化する過程で、安全を好む遺伝子が自然に選択され(自然淘汰)、人間や動物は、安全に暮らしたいという衝動が強くなっていった。安全に暮らしたいという衝動には、「恐れ」という感情が伴う。 本能的に逃げ出したくなるような「恐れ」という感情だけでなく、とどまって危険とたたかう「怒り」という感情もある。また、不特定の危険を察知する「不安」もある。こうした感情が混ざり、神経質、心配、疑念、戦慄などと呼ぶ。このように私達は危険に関して多くの言葉を持っている。 私達は危険にたくさん注意を払うので、危険に関する産業も大きくなる。例えばホラー映画は、多くの観客を引き寄せ、保険会社は利益を上げる。 ある事柄に関する恐怖は人類普遍のものか。そうではない。ある人は人前で話すことが苦手だが、ある人はすすんで話したがる。これは個人の中でも変化するため、恐怖を乗り越えることは可能である。現代人が人前で話すといった、肉体的には危険がないことでも極端な恐怖の反応を示してしまうのは、脳の持つ傾向である。肉体的な危険に対応するように進化した脳は、現代の文化的な社会に適応するようには進化していないのである。 現代社会において、危険なものは原始時代よりもずっと少ない。しかし恐怖を引き起こすミームは、現実には危険でなくても心に侵入しやすい。 危険に関連して、以下四つの節では利他主義、ギャンブル、迷信、都市伝説に関するミームについて説明する。
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