「中平」銘刀
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 03:10 UTC 版)
刀身の棟の部分に24文字を金象嵌で表した長さ110センチメートルの鉄刀1口が出土した。鉄刀の刀身の銘文は「吉祥句」を用い、 「中平□□(年)五月丙午造作文(支)刀百練清剛上応星宿□□□□(下避不祥)」 と記されていた。内容は「中平□年五月丙午の日、銘文を入れた刀を造った。よく鍛えられた刀であるから、天上では神の御意に叶い、下界では禍を避けることができる」という意味である。 中平とは後漢の霊帝の年号で、184~189年を指し、「倭国乱」(『魏志』倭人伝)「倭国大乱」(宋書)が終結した時期、2世紀の末である。中平銘紀年刀は「倭国乱」終結後、後漢王朝から下賜されたものであると考えられている。この鉄刀がいつどこで入手され、本古墳に副葬されたのかは分からない。しかし、この地の人たちが中国の後漢と通交があったのではなかろうかと考えることができる。 鉄刀に着けられていた環頭は鳥文飾りであり、刀身は内反りしていて、日本の前期古墳に特有の直刀とは違い、中平の年号が示すように中国(後漢)製である。中国製の刀身に日本で改造し、日本式の環頭を付したものと推定されている。
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