鹿児島港 港区

鹿児島港

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/10 21:58 UTC 版)

港区

鹿児島港は南北約20キロメートルの範囲の7港区から構成されている[21][11]。港区は北から本港区、新港区、鴨池港区、中央港区、谷山一区、谷山二区、浜平川港区がある[11][56]

以下では鹿児島港を構成する港区について詳述する。

鹿児島港を構成する港区を示す地図(写真右方向が北)

本港区

出航した桜島フェリーの船上から望む本港桜島フェリーふ頭

桜島との間を結ぶ桜島フェリー種子島屋久島との間を結ぶ種子屋久航路、沖縄との間を結ぶ沖縄航路[57]十島村及び三島村へのフェリーが発着している[58]埠頭は小川ふ頭・本港桜島フェリーふ頭・本港フェリーふ頭・北ふ頭・南ふ頭がある[59]

江戸時代琉球貿易が盛んとなり、波止場の荷役護岸を建設し利用したのが始まりといわれており、1907年(明治40年)に重要港湾に指定された[59]

新港区

奄美群島沖縄との間を結ぶ奄美・沖縄航路の船が発着する[57]

1959年(昭和34年)から港湾需要の拡大に対処する為に整備が行われ、岸壁や上屋が設置された[60]1968年(昭和43年)には沖縄航路や奄美航路が本港区から移転した[60][58]

2011年(平成23年)より旅客待合所の建て替え、ボーディングブリッジの設置、埋立てによるふ頭用地の造成、耐震強化岸壁の整備が実施され、2016年(平成28年)に整備が完了した[61]

鴨池港区

大隅半島垂水市との間を結ぶ鴨池・垂水フェリーが発着する[57][58]1972年(昭和47年)から鹿児島空港の跡地に建設された港であり、1975年(昭和50年)にはフェリーの発着施設が完成した[62]

中央港区

マリンポートかごしまの待合所である「ふれあいぽーと」

LPGや金属くずなどの貨物を取り扱っている[57]。中央港区は旧木材港、旧南港、マリンポートかごしまから構成される。

旧木材港は1965年(昭和40年)から木材を取り扱う港として整備が行われた[63]1965年(昭和40年)には金属機械団地・製材団地に挟まれた水域には貯木場が整備された[63]

旧南港は新川の河口部に整備された港であり、第二次世界大戦中に大日本帝国海軍が港として整備を行っていたが建設途中に終戦を迎え、放棄されていた用地を鹿児島市が港として1953年(昭和28年)から整備を実施した[45]

マリンポートかごしま

マリンポートかごしまは、中央港区の一部を構成する大型観光船が接岸できる岸壁を有する埋立地であり、それまで谷山港区に入港していた観光客船の寄港地となった[54][64]。港以外にも緑地空間が整備されており[65]2016年(平成28年)に1期2工区が完成しヘリポートや芝生広場・親水広場が供用された[66]2019年(令和元年)には大型観光船が95回寄港した[24]

海上における人命の安全のための国際条約に基づき、マリンポートかごしまの一部の区域が「国際埠頭施設(制限区域)」と「国際水域施設」に指定されている[67]

谷山一区

臨海工業用地から発生する貨物を取り扱っている[57]1968年(昭和43年)から1970年(昭和45年)に造成された臨海工業用地に隣接して整備がなされた[68]1973年(昭和48年)と1973年(昭和48年)、1985年(昭和60年)に段階的に岸壁の供用が開始された[68]

また、飼料やセメントの施設があり、外航貨物や専用船が寄港する[64]。貨物船も発着しており、奄美・博多・沖縄・台湾への貨物フェリー航路が開設されている[64]

海上における人命の安全のための国際条約に基づき、谷山一区の一部区域が「制限区域(国際埠頭施設)」、泊地が「泊地(国際水域施設)」に指定されている[69]

谷山二区

臨海工業用地から発生する貨物を取り扱っている[57]。また、種子屋久航路のフェリーが発着するほか[70]、沖縄への貨物フェリー航路がある[71]。また、鹿児島港最大の臨海工業用地でもある[71]

1971年(昭和46年)に整備を開始し、1976年(昭和51年)に係留施設や埠頭、1980年(昭和55年)には二区2号上屋や埠頭、1992年(平成4年)にはプレジャーボートスポット事業による小型船の浮桟橋が整備された[72]

海上における人命の安全のための国際条約に基づき、谷山二区の一部区域が「制限区域(国際埠頭施設)」、泊地が「泊地(国際水域施設)」に指定されている[69]

1974年(昭和49年)に鹿児島臨海1号用地B区の用地売買契約を石川島播磨重工業と締結したが[73]1988年(昭和63年)の時点で陸上機械部門が置かれたのみでその他は遊休地となっていた[74]2002年(平成14年)に撤退し、跡地は鹿児島七ツ島メガソーラー発電所が建設され2013年(平成25年)に運転開始した時点では日本の太陽光発電所で最大の発電出力を有していた[75]

浜平川港区

ヨットプレジャーボート漁船の基地として利用されている[57]1968年(昭和43年)に地方港湾として指定を受けたが、1972年(昭和47年)に鹿児島港の区域に含有されることとなった[76]

また、鹿児島県によって平川ヨットハウスが設置されている[77]


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