革命 日本の革命

革命

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/22 05:58 UTC 版)

日本の革命

中国大陸は易姓革命も含めて多くの革命を経験しており、また朝鮮半島ベトナムでも易姓革命や近代以後の革命は起こっているが、それらに比して日本では、有史以来革命が起こったことがないとされている。政権の交代はしばしば発生したが、天照大神(神武天皇)以来の皇統を受け継ぐとされる天皇が最高の権威者であり続け、実質的な最高権力者でも天皇の臣下(大臣大連摂政関白太政大臣征夷大将軍内閣総理大臣など)という形式を崩さなかったからである。江戸時代山崎闇斎(『泰山集』)や水戸学藤田東湖(『弘道館記述義』)のように、日本は天照大神以来の万世一系の皇統を持つ唯一無二の国家であるとして、易姓革命を否定して国粋主義を高揚させる逆説的な論理で用いられることもあった[要出典]。ただしクーデターや内戦の類とされるものは多数起きており、その中には他国の革命に相当するほどの劇的な政治体制の変化が起きたこともある(大化の改新平将門の乱承久の乱天下布武明治維新など)。

吉田松陰の思想を背景として起こった明治維新保守革命ともいわれ[要出典]、あるいはまた西欧でいうクーデターとは異なる独自の意味として「維新」を考える学説もある(藤田省三松本健一ら)。またマルクス主義の立場からは、日本共産党などは明治維新を絶対主義の成立とする[要出典]が、スターリン主義の影響を受けていない潮流はブルジョワ革命とすることが多く[要出典]日本資本主義論争などに繋がった。明治維新の英訳語は「Meiji Restoration」あるいは「Meiji Revolution」である[7]

北一輝らの民族主義ないし国家社会主義的革命理論では、天皇および国体を真正のものへと変革(革命)することが目指された[要出典]三島由紀夫陽明学の影響のもとに、保守革命を企画した[要出典]

1945年のポツダム宣言受諾により、日本は天皇の統治を定めた『大日本帝国憲法』を改正し、国民主権を策定することとなった。1946年に宮沢俊義はこの「憲法改正手続き」による主権の移動を、「八月革命」という言葉で形容した[8]。この宮沢の説は主権の移動をともなう日本国憲法の制定を合法的なものとして説明するものであり、1960年代には法学上の通説となった。高見勝利芦部信喜といった憲法学者は支持しているが、2000年代には批判的に見られている[9]。蓮沼啓介は国会の可決・天皇の裁可により日本国憲法の成立が確実となった1946年10月が「革命」となったとして、10月革命説を唱えている[10]


注釈

  1. ^ 但し、これらの国家の性格についてはマルクス主義内部に異論がある。トロツキズムでは労働者国家と呼び、これを官僚制集産主義や国家資本主義とする説もある。
  2. ^ 今後中国、ベトナム、ラオスが革命で民主化しても、反共産主義革命と呼ぶべきではないだろう。
  3. ^ 産経新聞2000年8月7日東京朝刊「私が選んだ20世紀の十大ニュース」(2)A・ヤコブレフ氏 「二十世紀は意味のない革命の世紀でもあった。社会主義国家ソ連を生んだロシア革命は世界の人々に希望を与えたわけではない。ロシア革命は、ボリシェビキが暴力で権力を奪取するために起こした単なるクーデターで、革命とはいえない。これはファシズムや日本の軍国主義と同様に犯罪である」「革命の父といわれるレーニンは、犯罪国家を作ったにすぎない。ソ連の誕生はファシズムと同様に独裁体制の台頭の1つに過ぎない」
  4. ^ イギリス議会とオランダ統領ウィリアム3世による政権奪取(クーデター)という説もある。
  5. ^ 学説によっては七月革命と呼称。
  6. ^ 学説によっては三月革命と呼称。
  7. ^ 学説によっては二月革命と呼称。
  8. ^ 十月革命は、ボリシェヴィキによる事実上のクーデターであったとする説もある。
  9. ^ 指導的思想は、マルクス主義から主体思想(金日成・金正日主義)に取り替えられた。
  10. ^ 毛沢東死後の状況からすると、鄧小平らを「走資派」とした評価自体は正確だった。[要検証]

出典

  1. ^ "revolution". Oxford English Dictionary (3rd ed.). Oxford University Press. September 2005. (要購読、またはイギリス公立図書館への会員加入。)
  2. ^ a b c 革命(かくめい)とは?”. コトバンク. 2023年11月21日閲覧。
  3. ^ Richard Pipes, A Concise History of the Russian Revolution
  4. ^ 小林良彰著「明治維新とフランス革命」(三一書房 1988年12月)
  5. ^ “<視点>変貌したロシア ソ連崩壊30年 権威主義は必然か 外報部・常盤伸”. 東京新聞. (2021年12月27日). https://www.tokyo-np.co.jp/article/151264 2023年7月3日閲覧。 
  6. ^ ロシア革命100年、なぜこうも忘れられたのか 社会主義・共産主義運動は「反革命」になった2017年11月8日 東洋経済ONLINE
  7. ^ Calvin W. Lew “The Meiji Restoration”
  8. ^ 頴原善徳 2012, p. 38-39.
  9. ^ 山下威士 2008, p. 7.
  10. ^ 山下威士 2008, p. 9.
  11. ^ 友田錫著「裏切られたベトナム革命―チュン・ニュー・タンの証言」(中央公論社 1986年11月)
  12. ^ 世界遺産都市で墓を破壊=イスラム過激派-マリ北部(時事通信、2012年7月1日)
  13. ^ 南利明 & 1998年, pp. 97.


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