近鉄吉野線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/26 18:21 UTC 版)
吉野線 | |
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基本情報 | |
国 | 日本 |
所在地 | 奈良県 |
起点 | 橿原神宮前駅 |
終点 | 吉野駅 |
駅数 | 16駅 |
路線記号 | F |
開業 | 1912年10月25日 |
全通 | 1928年3月25日 |
所有者 | 近畿日本鉄道 |
運営者 | 近畿日本鉄道 |
車両基地 | 古市検車区六田車庫 |
使用車両 | 車両の節を参照 |
路線諸元 | |
路線距離 | 25.2 km |
軌間 | 1,067 mm (狭軌) |
線路数 | 単線 |
電化方式 | 直流1,500 V 架空電車線方式 |
閉塞方式 | 自動閉塞式 |
保安装置 | 近鉄型ATS |
最高速度 | 100 km/h[1] |
概要
大阪・京都から飛鳥、桜で名高い吉野を結ぶ路線である。南大阪線の大阪阿部野橋駅から吉野駅まで急行や「さくらライナー」、観光特急「青の交響曲」などの特急が直通運転されている。
吉野線にはローカル線の加算運賃が適用されている。また、橿原神宮前駅 - 壺阪山駅間の各駅でスルッとKANSAIカードが利用できた。吉野口駅と薬水駅を除く各駅でも自動券売機設置駅では切符を買う時のみスルッとKANSAIカードが使用できるが、自動精算機が設置されておらず降車時に利用できないため、公式にはエリアには入っていなかった。なお、2007年4月1日からサービスを開始したICカード「PiTaPa」「ICOCA」は全線で利用できる。また2013年3月23日から「Suica」などの全国相互利用IC乗車カードも利用可能となっている。
路線データ
- 路線距離(営業キロ):25.2 km
- 軌間:1067mm
- 駅数:16駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:全線電化(直流1500V)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 最高速度:100 km/h[1]
全線、大阪統括部(旧天王寺営業局)の管轄である。
沿線概況
停車場・施設・接続路線 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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橿原神宮前駅では、定期列車は西側にある4・5番のりばから発車するが、橿原線ホームから発車する貸切列車との乗り換えが必要な貸切列車や橿原神宮前始発の臨時列車などは、東側にある0番のりばを使用している。橿原神宮前駅を南下すると壺阪山駅までは国道169号と並走する。住宅地をくぐり抜けてまず岡寺駅を出ると、右にカーブして明日香村の玄関口である飛鳥駅、そのまま南下をすると壺阪山駅である。
壺阪山駅からは進路を西に変え、国道169号と一旦別れる。田圃の真ん中を進み左にカーブすると市尾駅、その先で再び左にカーブすると、葛駅を越えた先までしばらく直線が続き、この区間では特急が最高速度100km/hで運転することができる。曽我川を渡ると右手から和歌山線が合流してそのまま吉野口駅まで並走する。
国道309号の高架橋を潜って和歌山線と一度別れるが、薬水駅で再び和歌山線と接近する。薬水駅は乗降客数が奈良県内の近鉄線の駅で最も少ない。左右に連続するカーブを抜けて進むと駅前が大規模に宅地開発された福神駅、トンネルを潜って南下し大阿太駅と続くと、左にカーブして東進し、右手に吉野川を眺めながら下市口駅に着く。下市口駅からは、大峯山のある天川村洞川方面へのバスも発着している。下市口駅を出た先から、壺阪山駅で別れた国道169号と並走をはじめる。壺阪山駅 - 下市口駅間は、線形が西側の御所市内にある吉野口駅を一旦経由して四角形の三辺を通る格好になっているのに対し、国道169号はほぼ直線に南下しているため、「車よりはるかに遅い」と言われることもある。
日中に特急の列車交換が行われている越部駅に続く六田駅は、古市検車区六田車庫が併設されている。六田駅はかつて吉野駅と名乗り、吉野線の終点であった。吉野駅を名乗っていた時のホームは、六田駅を出た先の南側にあり、車庫の留置線として使用されている。国道169号を越えて山側に移り、トンネルを3つ抜けると大台ヶ原への最寄り駅である大和上市駅に到着する。
橿原神宮前駅から下市口駅 - 大和上市駅へは奈良交通バスも利用可能であるが、昼間はバスよりも各駅に停車する急行の方が所要時間が長い。時間帯は限られるが、橿原神宮前駅において吉野ゆき特急と大和上市駅方面行きのバスが1 - 2分の差で発車することがあり、近鉄特急の方が料金が高いにもかかわらず、行楽シーズンを除けば六田駅・大和上市駅への到着時刻にほとんど差はない。
大和上市駅を発車してすぐに右へカーブすると、吉野線の一番の見せ場である吉野川を渡る。吉野神宮駅から周囲に山が迫り始めてしばらく進むと、終点吉野駅に到着する。
運行形態
ほとんどの急行と特急が南大阪線と直通運転している。特急はほぼ終日運行、吉野線内では各駅に停車する急行列車は朝と夕方から夜にかけて運転され、昼間時間帯は普通列車(南大阪線内は大阪阿部野橋行き準急もしくは古市行普通として直通運転)が、ほかの普通・準急列車は朝と夜を中心に運転される[注釈 1]。橿原神宮前から吉野への所要時間は特急で約40分、急行・普通列車で約50 - 55分であるが、対向列車待ちの少ない一部の急行・普通列車は特急とほとんど変わらない40分強の所要時間で走る列車もある。1998年のダイヤ変更では、平日ダイヤでは特急が1時間に1本しか走らない日中の時間帯に、1時間2本ある上り急行のうち1本の対向待ちの時間を極力詰め、最大で8分ほど所要時間が短縮された列車があったが、ダイヤが不等間隔になることや特急停車駅が増えたこともあり1年で元に戻された。なお、1990年までは大阪阿部野橋駅 - 吉野駅間を直通する日中の急行が1時間に1本の割合の運転であったため、準急も同様に1時間に1本の割合で吉野駅まで直通運転されていたが、同年3月のダイヤ変更に伴い吉野駅直通の準急は吉野駅発着の急行と橿原神宮前駅発着の準急に分離する形に再編された。2012年3月20日ダイヤ変更以降は土休日の下り1本、上り2本のみの運転となっている。かつては日中の時間帯も南大阪線直通の急行を運転していたが、2021年7月3日のダイヤ変更で日中の列車は吉野線内は普通、南大阪線内は区間急行または準急(古市行き普通として直通する場合もある)で直通運転する形に変更された。
南大阪線の最大両数は8両であるのに対し、吉野線の最大両数は4両であることから、特急・急行は平日ダイヤの朝夕を中心に橿原神宮前駅で車両の増・解結を行う列車が多い。
区間急行は2011年3月13日まで、土休日ダイヤの吉野発大阪阿部野橋行き1本のみ、早朝に設定されていた。なお、大阪阿部野橋駅から吉野方面の最終列車と平日のその前の列車は、橿原神宮前行きの区間急行で運転され、橿原神宮前駅から吉野行き普通として運転されている。これは吉野線に区間急行が乗り入れたのが2003年と近年のことであったため、ほとんどの車両に「区間急行 吉野」の方向幕がないからである(ただし「区間急行 下市口」の表示がある)。区間急行は乗り入れ廃止後も駅や車内に掲出の停車駅案内では吉野線の駅も運転区間に含めて掲載され続けていたが、2015年の駅ナンバリング導入による停車駅案内の更新により運転区間から省かれた。
吉野の観桜客のために春の多客期には大阪阿部野橋駅 - 吉野駅間で臨時快速急行を運転することもある。古市駅が特急停車駅(朝晩時間帯のみ)に加わって以降、古市停車の特急と快速急行では停車駅が完全に同一となっており、この場合両種別の違いは使用車両及び全席指定か全席自由席かのみである。ただし、ダイヤの都合で橿原神宮前駅に10分停車する。このため吉野へは定期運転している特急と急行が先着する。
2010年3月19日のダイヤ変更で橿原神宮前駅を始発駅とする吉野線内普通列車は大幅に削減され、2021年7月3日現在平日は吉野口行き1本と壺阪山行き1本、六田行き2本、土休日は六田行き1本が運転されるのみとなった。六田駅には古市検車区六田車庫があるため、深夜には吉野発六田行きが、早朝には六田発吉野行きが運転される。
なお、線路保守工事のため、数年に1回程度の割合で下市口駅 - 吉野駅間が昼間時間帯に運休することがある。運休時間帯は、橿原神宮前方面からの列車は、すべて下市口駅で折り返し運転となり、この区間に奈良交通による代替バスを運行している。
終夜運転
大晦日から元旦にかけての終夜運転は、2020年の大晦日(2021年の元日早朝)からは実施されていない。1988年の大晦日(1989年の元日早朝)から2019年の大晦日(2020年の元日早朝)までは行われており、特急は運転されず普通のみが数本運転される形態となっていた。1990年代後半以降は削減傾向となり、年によって異なるが運転間隔が1時間30分 - 3時間となっていた。2000年代後半は、吉野発が0時台を最後に全く運転されないこともあった。
注釈
出典
- ^ a b 寺田裕一『改訂新版 データブック日本の私鉄』 - ネコ・パブリッシング
- ^ フリーゲージトレイン開発推進に向けて (PDF) - 近畿日本鉄道、2018年5月15日
- ^ “フリーゲージトレインの開発継続判明、新技術が続々「鉄道技術展」”. 日経XTECH (2022年5月27日). 2022年6月7日閲覧。
- ^ 「軽便鉄道免許状下付」『官報』1910年9月14日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 「軽便鉄道運輸開始」『官報』1912年11月1日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 「地方鉄道免許状下付」『官報』1920年5月17日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 「地方鉄道免許状下付」『官報』1922年4月21日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 「地方鉄道免許状下付」『官報』1923年2月19日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ a b 「鉄道起業目論見変更並起業廃止」『官報』1926年5月21日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 「地方鉄道運輸開始」『官報』1923年12月14日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 「地方鉄道駅設置」『官報』1924年2月20日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 「軌道特許状下付」『官報』1921年7月26日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 「軌道敷設権移転」『官報』1924年7月10日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 「地方鉄道駅設置」『官報』1924年5月19日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 「地方鉄道運輸開始」『官報』1924年11月8日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 「地方鉄道運輸開始」『官報』1928年3月30日(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ 『地方鉄道及軌道一覧 昭和10年4月1日現在』(国立国会図書館デジタルコレクション)
- ^ “「さくらライナー」あすからデビュー”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1990年3月14日)
- ^ “南大阪、吉野線に新型特急「ACE」 近鉄、来月1日デビュー”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 1. (1996年5月20日)
- ^ 『鉄道ジャーナル』第30巻第12号、鉄道ジャーナル社、1996年12月、87頁。
- ^ 近鉄16600系が営業運転を開始 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2010年6月20日
- ^ 奈良、増える無人駅 JRでは半数の15に - 朝日新聞デジタル 2012年4月18日
- ^ 近鉄 16200系「青の交響曲(シンフォニー)」の営業運転開始 - 『鉄道ファン』 交友社 railf.jp鉄道ニュース 2016年9月11日
- ^ “近鉄吉野線の4駅無人化 来月6日から、他駅の係員が巡回 /奈良”. デジタル毎日 (毎日新聞社). (2020年12月22日) 2020年12月22日閲覧。
- ^ 2022年4月23日(土)ダイヤ変更について (PDF) - 近畿日本鉄道プレスリリース 2022年2月24日
- ^ 平成の大合併以前は、大阪線の室生口大野駅・三本松駅(奈良県宇陀郡室生村、2005年12月31日まで)、山田線の宮町駅(三重県度会郡御薗村、2005年10月31日まで)も村にある駅であった。
- ^ 駅別乗降人員 南大阪線 吉野線 - 近畿日本鉄道
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