国鉄タキ6250形貨車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/23 08:23 UTC 版)
国鉄タキ6250形貨車 | |
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タキ6250形(コタキ6256)(撮影:蘇我駅) | |
基本情報 | |
車種 | タンク車 |
運用者 |
日本国有鉄道 日本貨物鉄道(JR貨物) |
所有者 | 日曹金属→日曹金属化学、神岡鉱業 |
製造所 | 日本車輌製造、川崎車輛 |
製造年 | 1967年(昭和42年) - 1973年(昭和48年) |
製造数 | 11両 |
消滅 | 2007年(平成19年) |
常備駅 | 甲子駅、神岡鉱山前駅 |
主要諸元 | |
車体色 | 黒 |
専用種別 | 無水硫酸、濃硫酸及び発煙硫酸 |
化成品分類番号 | 侵(禁水)84 |
軌間 | 1,067 mm |
全長 | 10,600 mm |
全幅 | 2,500 mm |
全高 | 3,729 mm |
タンク材質 | 普通鋼(一般構造用圧延鋼材) |
荷重 | 35 t |
実容積 | 18.9 m3 |
自重 | 17.0 t |
換算両数 積車 | 5.5 |
換算両数 空車 | 1.8 |
台車 | TR41C、TR41DS-13 |
車輪径 | 860 mm |
軸距 | 1,650 mm |
台車中心間距離 | 6,800 - 7,000 mm |
最高速度 | 75 km/h |
私有貨車として製作され、日本国有鉄道(国鉄)に車籍編入(入籍)された。1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化後は日本貨物鉄道(JR貨物)に車籍を承継している。
類似の仕様で本形式に先行して製作されたタキ1200形(2代)[2] 30 t 積無水硫酸専用車についても本項目で解説する。
概要
スルホン化試薬・合成洗剤原料などに用いられる三酸化硫黄(無水硫酸)を輸送するための貨車で、1967年(昭和42年)から1973年(昭和48年)にかけて2形式合計12両が製作された。所有者は日曹金属(現・日曹金属化学)である。
亜鉛精錬の副産物として生成される無水硫酸の製品輸送需要に対応して製作され、積荷の腐食性・反応性に対応した種々の付加設備を装備する。
製作時より無水硫酸の製品輸送に用いられ、1987年(昭和62年)4月の国鉄分割民営化ではタキ6250形11両がJR貨物に車籍を承継されて引き続き使用された。無水硫酸の鉄道輸送需要消滅に伴い、一部は他社に譲渡され濃硫酸・発煙硫酸輸送に転用されたが、輸送の終結に伴い2007年(平成19年)までに全車が廃車された。
仕様・構造
※ 本節では各形式間に共通の箇所について記述し、形式特有の仕様については後節にて記述する。
積載荷重 30 t 乃至 35 t の腐食性液体輸送用2軸ボギータンク貨車(タンク種別:第3種)で、積荷特有の物性を考慮し、積荷の漏洩防止に加え、特に温度管理と防水機能に留意した種々の対策をタンク体に施して製作された車両である。
タンク体は全車とも直円筒形状(JIS 類型 A 形)で、設計比重は 1.85 である。使用鋼材は普通鋼 (SS41)[3] で、板厚は鏡板部が 12 mm 、胴板部が 8 mm である。低温で容易に固化する積荷の物性に対応し、タンク体の外周に断熱材としてグラスウールを充填し、断熱材層の外周を薄鋼板の外板(ジャケット)で被覆する保温対策が採られる。内部タンクと外板との間隙には荷役時に積荷の流動性を確保するための加熱用温水配管がタンク全周にわたって設けられ、台枠直下に温水注入管を、タンク側面外部には上部から下部に向かって温水排出管が設けられる。
2形式とも全長 10 m 級の小型車両で、記号番号表記は特殊標記符号「コ」(全長 12 m 以下)を前置し「コタキ」と標記する。専用種別標記は積荷の慣用名と異なる「無水硫酸専用」で、1979年(昭和54年)10月より化成品分類番号「侵(禁水)84」(侵食性の物質・水と反応する物質・腐食性物質・禁水指定のもの)が標記された。車体の外部塗色は黒色である。
積荷は毒性腐食性が高く、かつ、水の存在を禁忌とするため、荷役装置には漏洩防止および防水対策が施される。タンク体上部中央のドーム上には液入管・オーバーフロー管の各々接続部となる Y 形弁2個、空気弁・安全弁を集中して設け、これら弁装置を保護する防水覆いをドーム上部に設ける。液出管を接続する液出用 Y 形弁は中央ドームに隣接して設けられ、ドーム部とは別個に設けられた箱型の防水覆いで保護される。積荷の搬入は上部の液入用 Y 形弁から、搬出は空気弁から乾燥空気を注入加圧して液出用 Y 形弁から行う「上入れ上出し」方式である。必要に応じて内部の加熱配管に温水を注入し、内部温度を監視しながら液化を促し積荷の搬出を促進させる。
台車は国鉄貨車の標準形式であったスリーピース構造の台車 TR41C 形で、鋳鋼製の台車側枠と一体成型された軸箱部・平軸受の軸箱支持方式・重ね板ばねの枕ばねは他の TR41 系台車と共通の仕様である。最高速度は 75 km/h である。
- ^ 国際化学物質安全性カード 三酸化イオウ ICSC番号:1202 (日本語版), 国立医薬品食品衛生研究所
- ^ タキ1200形(初代)は 30 t 積のリン酸専用車で、1945年に製作された。
- ^ 本形式製作当時の JIS 規格に基づく種類記号であり、後年に SS400 に種類記号が変更されている。
- ^ 「私有貨車セミナー」RM 1995年7月号 (No.142) pp.72 - 73
- ^ a b 「貨車研究室」RM 2008年7月号 (No.298) pp.142 - 145
- 1 国鉄タキ6250形貨車とは
- 2 国鉄タキ6250形貨車の概要
- 3 形式別詳説
- 4 運用の変遷
- 5 外部リンク
固有名詞の分類
日本国有鉄道の貨車 |
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日本貨物鉄道の貨車 |
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