国鉄タキ6250形貨車 形式別詳説

国鉄タキ6250形貨車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/23 08:23 UTC 版)

形式別詳説

タキ1200形

1966年(昭和41年)1月25日に1両(タキ1200)が日本車輌製造で製作された。国鉄では初の無水硫酸専用車で、荷重は 30 t 、自重は 16.6 t である。

タンク体は内径 1,550 mm 、タンク全長 9,020 mm で、実容積は 16.2 m3 である。台枠は車体長方向に中梁・側梁を、車体幅方向に横梁・枕梁・端梁を各々組み合わせる一般的な平形構造で、長さは 9,900 mm である。タンク体中央下部と台枠中梁中央部とを受板(センタアンカ)で固定し、タンク両端部は帯金を用いて台枠上のタンク受台に固定される。帯金は内部タンクを緊締しており、タンク受台との固定部以外は帯金は外部に露出しない。ブレーキ装置は一般的な自動空気ブレーキで、国鉄貨車が汎用的に用いる K 三動弁を制御弁として装備し、補助空気溜を独立別個に実装した KD 形である。積荷の有無でブレーキ力を切り替える「積空切替機構」は装備しない。補助ブレーキ装置は車両端部の台枠上に回転ハンドル式の手ブレーキを設ける。

落成時の所有者は日本曹達で、1979年(昭和54年)2月28日に日曹金属(1983年(昭和58年)10月14日に日曹金属化学へ社名変更)に名義変更した。本車以降の製造は荷重を増大したタキ6250形の製作によって賄われ、本形式は1両で製作を終了している。 1983年(昭和58年)10月25日に廃車となり形式消滅した。

タキ6250形

タキ1200形の後続として製作された 35 t 積車で、1967年(昭和42年)3月1日に2両(タキ6250, 6251)が川崎車輛(現・川崎重工業車両カンパニー)で、1968年(昭和43年)7月9日から1973年(昭和48年)10月2日にかけて9両(タキ6252 - 6260)が日本車輌製造で製作された。

荷重増大に対応してタンク体が拡大され、タンク体の内径 1,700 mm 、タンク全長 8,800 mm で、実容積は 18.9 m3 である。タンク形状はタキ1200形に比べ、径が太く長さが短い。

台車は枕ばねに重ね板ばねを用いた TR41C 形を用いたが、走行安定性向上のため後年に枕ばねを改造し[4]、オイルダンパ併用2重コイルばねを用いた TR41DS 形としている。ブレーキ装置は制御弁に K 三動弁を、ブレーキシリンダに UC 形差動シリンダを用い、積荷の有無で2段階にブレーキ力を切り替える「積空切替機構」を併設した KSD 方式(積空切替式自動空気ブレーキ)である。補助ブレーキ装置は足踏み式のブレーキテコを側面の片側または両側に設ける。

製作2社で細部の仕様が異なり、初期製作の川崎車輛製車両ではタンク体断熱材層の厚さは 75 mm で、台枠は側梁を設けた長さ 9,800 mm の平形構造、タンク体と台枠との固定は中央下部の受板とタンク体両端部の帯金とを併用する。帯金は内部タンクを緊締するため、外部に露出しない。側ブレーキは車体側面片側のみに設けられる。日本車輌製車両では断熱材層厚さを 100 mm に増大し、台枠長さを 10,000 mm に延長、側ブレーキを車体側面の両側に増設している。1969年(昭和44年)以降製作の車両 (タキ6253 - )では重量増加対策として車体側面の側梁が省略され、タンク体と台枠との固定方法はタンク体に溶接した受台を台枠枕梁に緊締する「押え金方式」と中央下部の受板との併用に変更している。

各年度による製造会社と両数は次のとおりである。

  • 昭和41年度 - 2両
    • 川崎車輛 2両 (タキ6250 - 6251)
  • 昭和43年度 - 1両
    • 日本車輌製造 1両 (タキ6252)
  • 昭和44年度 - 2両
    • 日本車輌製造 2両 (タキ6253 - 6254)
  • 昭和45年度 - 4両
    • 日本車輌製造 4両 (タキ6255 - 6258)
  • 昭和47年度 - 1両
    • 日本車輌製造 1両 (タキ6259)
  • 昭和48年度 - 1両
    • 日本車輌製造 1両 (タキ6260)

  1. ^ 国際化学物質安全性カード 三酸化イオウ ICSC番号:1202 (日本語版), 国立医薬品食品衛生研究所, http://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.display?p_card_id=1202&p_version=2&p_lang=ja 
  2. ^ タキ1200形(初代)は 30 t 積のリン酸専用車で、1945年に製作された。
  3. ^ 本形式製作当時の JIS 規格に基づく種類記号であり、後年に SS400 に種類記号が変更されている。
  4. ^ 「私有貨車セミナー」RM 1995年7月号 (No.142) pp.72 - 73
  5. ^ a b 「貨車研究室」RM 2008年7月号 (No.298) pp.142 - 145


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