アムールヒョウ 分布

アムールヒョウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/20 08:10 UTC 版)

分布

朝鮮半島中国東北部、ロシア沿海地方に自然分布していたが、環境破壊や毛皮目的の狩猟ソビエト連邦が禁猟とした1956年以降は密猟)で激減[1]。2010年代~2020年代初頭においてはロシア沿海地方南部および隣接する中国吉林省[2]森林に棲息(北朝鮮にも少数分布の可能性あり[1])しているだけで、絶滅が危惧されている。国際自然保護連合(IUCN)レッドリストでは、ごく近い将来に絶滅の危険性が極めて高い絶滅危惧IA類(CR)に位置づけられている[3]

ロシアにおける棲息域は、ウラジオストク西方の中露国境地帯で2012年に設定された「ヒョウの里」国立公園(3660平方キロメートル)である。自動撮影カメラの記録から個体数は約100頭程度に回復したと推定されている。交通事故で死亡する個体もあり、公園内を通る道路のトンネル化が進められている[1]

韓国では1962年慶尚南道陜川郡で捕獲され、1975年動物園で死亡した1頭を最後に棲息が確認されていない[4][5]

自然分布のほか、世界各地の動物園に約250頭が飼育されている(うち日本旭山動物園など9カ所に合計18頭)。動物園の飼育個体に狩りを覚えさせて、ウラジオストク東方の1970年代までの棲息エリアに野生で再導入する構想もある[1]

生態

体躯・体毛

  • ヒョウとしては大型で、体長1~1.4m、体重40~70kg程度に育つ[1]
  • 体毛の色は金色に近いオレンジ色で、夏期は毛の長さが約2.5cmだが、冬期には約7cmにまで長くなる。冬毛は淡いクリーム色に変わる。
  • また黒いロゼット模様(いわゆる斑点)の径は他のヒョウの亜種より大きく[1]、間隔もより広い。
  • オスの首にタテガミのような長い毛がある。

繁殖

  • 平均寿命は約15年。
  • 妊娠期間は90-105日。
  • 1回の出産で2-4頭を出産する。

食性

個体数

世界自然保護基金(WWF)の2013年の調査結果では野生のアムールヒョウは48-50頭と推測される。少なくとも43-45頭の成獣と、4-5頭の幼獣が生息していることが確認され、2007年の調査では27-34頭であったことと比べると、1.5倍に増加しており、回復の兆しを見せている[6]。2020年時点では100頭程度と推計されている[1]


  1. ^ a b c d e f g h i 【世界最前線 Front Line】アムールヒョウ 絶やさない/森林保全、密猟防止一時30頭→100頭に/「動物園から野生」挑戦へ『北海道新聞』2020年5月23日(19面)
  2. ^ 【動画あり】中国で撮影に成功!シベリアトラとアムールヒョウの親子|極東ロシアの森林保全|WWFジャパン(2014年3月10日)2020年5月24日閲覧
  3. ^ アムールヒョウについて神戸市立王子動物園(2019年8月13日)2020年5月24日閲覧
  4. ^ コラム 絶滅危惧種韓国ヒョウの復元 : 文化 : ハンギョレ”. 『ハンギョレ新聞』 (2015年1月13日). 2017年9月28日閲覧。
  5. ^ 日本の動物作家・遠藤氏、韓国最後のヒョウを追跡(2)”. 『中央日報』 (2014年1月9日). 2017年9月28日閲覧。
  6. ^ 絶滅寸前のアムールヒョウに回復の兆し - WWFジャパン、2013年4月13日
  7. ^ a b 「シベリアヒョウの誕生」”. 『モユクカムイ』第25号. 旭川市旭山動物園公式ホームページ. 2013-5-13 05:10時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年5月13日閲覧。


「アムールヒョウ」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アムールヒョウ」の関連用語

アムールヒョウのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アムールヒョウのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのアムールヒョウ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS