pyruvic acidとは? わかりやすく解説

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ピルビン‐さん【ピルビン酸】

読み方:ぴるびんさん

《pyruvic acid有機酸の一。酢酸臭のある無色液体。ぶどう酸か酒石酸を硫酸水素カリウムとともに加熱する得られる生体内広く存在し物質代謝中間産物解糖によって生じ無酸素状態では還元されて乳酸となるが、有酸素状態ではトリカルボン酸回路取り込まれる化学式CH3COCOOH 焦性ぶどう酸


ピルビン酸

分子式C3H4O3
その他の名称焦性ぶどう酸、2-ケトプロピオン酸、Pyruvic acid、Pyroracemic acid、Acetylformic acid、2-Oxopropionic acid、2-Ketopropionic acid、2-Oxopropanoic acid
体系名:2-オキソプロパン酸、2-オキソプロピオン酸、アセチルぎ酸、ピルビン酸


ピルビン酸

同義/類義語:ピルベート, パイルベート, 焦性ブドウ酸
英訳・(英)同義/類義語:pyruvate, pyruvic acid, pyruvate

解糖系中間体となる化合物で、還元されると乳酸となる。化学式は、CH3-CO-COOH

ピルビン酸

(pyruvic acid から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/28 01:29 UTC 版)

ピルビン酸
識別情報
CAS登録番号 127-17-3
PubChem 1060
ChemSpider 1031
UNII 8558G7RUTR
日化辞番号 J2.015J
DrugBank DB00119
KEGG C00022
ChEBI
ChEMBL CHEMBL1162144
特性
化学式 C3H4O3
モル質量 88.06 g/mol
示性式 CH3COCOOH
密度 1.250 g/cm3
融点

11.8 °C, 285 K, 53 °F

沸点

165 °C, 438 K, 329 °F

酸解離定数 pKa 2.50[1]
屈折率 (nD) 1.4138 (20 ℃)
関連する物質
その他の陰イオン ピルビン酸イオン
   
関連するケト酸カルボン酸 酢酸
グリオキシル酸
シュウ酸
プロピオン酸
アセト酢酸
関連物質 プロピオンアルデヒド
グリセルアルデヒド
メチルグリオキサール
ピルビン酸ナトリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ピルビン酸(ピルビンさん、Pyruvic acid)は有機化合物で、カルボン酸の一種。IUPAC命名法2-オキソプロパン酸 (2-oxopropanoic acid) と表される。α-ケトプロピオン酸 (α-ketopropionic acid) あるいは焦性ブドウ酸 (pyroracemic acid) とも呼ばれる。水、エタノール、エーテルなど、さまざまな極性溶媒無極性溶媒と任意な比率で混和する。酢酸に似た酸味臭を示す。2位のカルボニル基を還元すると乳酸となる。

生体内では解糖系による糖の酸化で生成する。

ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の作用により補酵素Aと結合するとアセチルCoAとなり、クエン酸回路脂肪酸合成系に組み込まれる。

また、グルタミン酸からアミノ基を転移されるとアラニンになる。

化学

1834年、テオフィル=ジュール・ペルーズ酒石酸L-酒石酸)およびブドウ酸(D-およびL-酒石酸の混合物)を蒸留し、焦性酒石酸(メチルコハク酸[2])およびもう一種の酸を単離した。後者は翌年イェンス・ヤコブ・ベルセリウスが分析を行い、焦性(pyro)+ラテン語でブドウ(uva)+酸(-ic acid)からピルビン酸(Pyruvic acid)と命名した[3]。ピルビン酸は、酢酸に似た臭いの無色液体であり、混和する。実験室では、ピルビン酸は酒石酸および硫酸水素カリウムの混合物の加熱や[4]、強力な酸化剤(例えば過マンガン酸カリウム漂白剤)によるプロピレングリコール酸化塩化アセチルシアン化カリウムの反応によって得られるシアン化アセチルの加水分解などによって調製される。

血液検査の参考基準値。ピルビン酸(中央付近にスミレ色で示されている)の血中含量をその他の成分と比較している。

ピルビン酸誘導体のブロモピルビン酸は、抗がん剤候補として研究されている(ワールブルク仮説を参照)。

解糖系によるピルビン酸の産生

解糖系において、ホスホエノールピルビン酸 (PEP) はピルビン酸キナーゼによってピルビン酸へと変換される。この反応は自発的かつ不可逆的である。糖新生では、ピルビン酸からPEPへの逆変換を触媒するために、ピルビン酸カルボキシラーゼホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼの2種の酵素が使われる。

ホスホエノールピルビン酸 ピルビン酸キナーゼ ピルビン酸
 
ADP ATP
ADP ATP
 
  ピルビン酸キナーゼ

アセチルCoAへの脱炭酸

ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体によるピルビン酸脱炭酸反応アセチルCoAを産生する。

ピルビン酸 ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体 アセチルCoA
 
CoA + NAD+ CO2 + NADH + H+
 
 

オキサロ酢酸へのカルボキシル化

ピルビン酸カルボキシラーゼによるカルボキシル化はオキサロ酢酸を産生する。

ピルビン酸 ピルビン酸カルボキシラーゼ オキサロ酢酸
 
ATP + CO2 ADP + Pi
 
 

アラニンへのアミノ基転移

アラニントランスアミナーゼによるアミノ基転移でアラニンが産生する。

ピルビン酸 アラニントランスアミナーゼ アラニン
 
グルタミン酸 α-ケトグルタル酸
グルタミン酸 α-ケトグルタル酸
 
 

乳酸への還元

乳酸脱水素酵素による還元で乳酸が産生する。

ピルビン酸 乳酸脱水素酵素 乳酸
 
NADH NAD+
NADH NAD+
 
 

双方向伝達経路地図

以下の遺伝子、タンパク質、代謝それぞれの記事をクリックできる [6]

脚注

  1. ^ Dawson, R. M. C. et al., Data for Biochemical Research, Oxford, Clarendon Press, 1959.
  2. ^ Thomson, Thomas (1838). “II. Of fixed acids Section”. Chemistry of organic bodies, vegetables. London: J. B. Baillière. p. 65. https://books.google.co.jp/books?id=Wq45AAAAcAAJ&pg=PA65&redir_esc=y&hl=ja#v=onepage&q&f=false 2010年12月1日閲覧。 
  3. ^ Thorpe, Sir Thomas Edward (1922). “Glutaric acid”. A dictionary of applied chemistry. 3. London: Longmans, Green, and Co.. pp. 426–427. https://books.google.co.jp/books?id=MgA5AAAAIAAJ&pg=PA426&redir_esc=y&hl=ja#v=onepage&q&f=false 2010年12月1日閲覧。 
  4. ^ Organic Syntheses, Coll. Vol. 1, p.475 (1941); Vol. 4, p.63 (1925)[1]
  5. ^ a b Lehninger, Albert L.; Nelson, David L.; Cox, Michael M. (2008). Principles of Biochemistry (5th ed.). New York, NY: W.H. Freeman and Company. p. 528. ISBN 978-0-7167-7108-1 
  6. ^ この双方向伝達経路地図はWikiPathwaysで編集できる: TCA_Cycle_WP78, http://www.wikipathways.org/index.php/Pathway:WP78 


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