Maas

実用日本語表現辞典

MaaS

別表記：マース

「MaaS」とは、移動時に利用される複数の交通手段をひとつのサービスとして統合し、一元的に利用できるようにするという概念のこと、および、そのような交通システムや交通サービスのことを意味する表現である。

「MaaS」とは・「MaaS」の意味

「MaaS」は「Mobility as a Service（モビリティ・アズ・ア・サービス）」の略である。直訳すると「サービスとしての移動」という意味になる。「SaaS」や「IaaS」「PaaS」などのIT用語になぞらえた命名である。

「MaaS」とは、要するに、旅行者や生活者が必要とする「移動」をサービスとして捉え、（従来は複数の異なる交通手段を利用する際には個別に検索、予約、支払いなどが必要であったところを）、ひとつのサービスとして統合して提供するというサービスのあり方である。自動運転車やパーソナルモビリティの導入、地域ごとのニーズに対応できるような独自システムの導入などもMaaSの一環として扱われる。

MaaSが実現されると、たとえばスマートフォンのアプリやWebサイトから、目的地にたどり着く為の複数の交通手段や関連するサービスをまとめて効率的に利用できるようになる。これによって、電車、バス、タクシーといった複数の交通機関の乗り継ぎ・乗り換え・支払い等の煩雑さが大幅に軽減される。

日本版MaaSの実現に向け国土交通省は大きくわけ「大都市近郊型・地方都市型」「地方郊外・過疎地型」「観光地型」の3種類の取り組みを行っており、令和元年度に先行モデルとなる19事業を選定、令和2年度に地域特性に応じた実証実験を行う36事業を選定、令和3年度にはMaaSの社会実装に向けた12事業を選定した。

世界的に実装が始まっており、具体例にはフィンランドの「Whim（ウィム）」やイギリスの「Mobilleo（モビレオ）」などが挙げられる。Whimは世界で初めて実用化されたMaaSアプリで、開発した「MaaS Global社」には日本のトヨタファイナンシャルサービス株式会社やあいおいニッセイ同和損害保険株式会社などが出資をしている。一つのアプリから、バスやタクシー、カーシェア、バイクシェアなど様々な交通手段を組み合わせた最適なルートを自動検索し、予約から決済まで一括して行うことが可能。イギリスのMobilleoは交通手段の他にホテルや空港ラウンジの検索、予約、支払いをまとめて行うことが可能で、旅程もアプリ内に記録される。日本の事例としては、トヨタ自動車の「my route（マイルート）」やJR東日本の「Ringo Pass（リンゴパス）」などが挙げられ実証実験をスタートさせている。

「MaaS」の熟語・言い回し

「観光MaaS」「観光型MaaS」とは

「観光MaaS」または「観光型MaaS」は、観光地までの交通手段だけでなくホテルや観光スポットなども一括で検索、予約、決済することができる、観光に特化したMaaSのことを指す。ユーザーは効率的に旅行先での目的を果たすことが可能となり、業界の活性化となるアイテムとしても注目されている。

MaaSは、「大都市近郊型・地方都市型」「地方郊外・過疎地型」「観光地型」の3種類に大きくわけられる。観光地型については、観光MaaSや観光型MaaSとも呼ばれる。

「日本版MaaS」とは

「日本版MaaS」は、海外で推進されているMaaSの先駆的な事例と日本国内の動向を対比する文脈で用いられることのある言い方である。海外のMaaSに学び、日本国内においてもMaaSの普及に取り組む動きが活発化している。日本版MaaSにより移動についての課題が解決され地域が活性化することなどが期待される。

「物流MaaS」とは

物流MaaSとは、物流業界の課題解決を期待されるMaaSのことを指す。CO2排出量の低減や慢性的な人手不足への対策として経済産業省が推進しており、トラックデータ連携の仕組み確立、見える化・混載による輸配送効率化、電動商用車活用・エネルギーマネジメントに係る検証の3つの実現像が示されている。日本でも実証実験が進み、今後も需要拡大が見込まれる物流業界において重要な役割が期待される。

「MaaSビジネス」とは

「MaaSビジネス」はMaasに関連する事業（ビジネス）の総称である。日本国内においても様々な分野でMaaSの実証実験が進められており、それに関連したビジネスも拡大している。MaaSにより移動が便利になると、それに伴う利用者の増加、交通分野のビジネスの活性化が期待される。移動についての不満が改善されればそれまで交通の便により低くなっていた土地の価値が変わり、不動産業界などにも影響を与えることとなる。

（2023年1月30日更新）

デジタル大辞泉

マース【MaaS】

読み方：まーす

《mobility as a service》自動車などの移動手段を、必要なときだけ料金を払ってサービスとして利用すること。カーシェアリングやライドシェア、オンライン配車サービスなどがある。モビリティー‐アズ‐ア‐サービス。サービスとしてのモビリティー。モビリティーのサービス化。

マース‐がわ〔‐がは〕【マース川】

読み方：まーすがわ

《Maas》フランス北東部のラングル高地に源を発し、ベルギー東部を北流し、オランダでライン川下流をなすワール川に合流して北海に注ぐ川。長さ950キロ。ムーズ川。ミューズ川。

外国人名読み方字典

Maas

名前 マース； マーズ； モース

ウィキペディア

Mobility as a Service

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2024/01/15 02:40 UTC 版)

Mobility as a Service（モビリティ・アズ・ア・サービス、MaaS〈マース〉）とは、公共交通を含めた、自家用車以外の全ての交通手段による移動を1つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ移動の概念、またそれを目的としたサービスのこと。実現にはICT（情報通信技術）が用いられる例が多い。