非構造タンパク質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/28 06:12 UTC 版)
NSP1は第5分節に由来する遺伝子産物で、非構造性のRNA結合タンパク質である。また、NSP1はインターフェロンに誘導される応答を阻害し、ウイルスの感染から細胞を守る自然免疫系の反応を抑える。NSP1は、感染細胞におけるインターフェロン産生の増強と、隣接細胞によって分泌されたインターフェロンに対する応答に必要な重要なシグナル分子を、プロテオソームによって分解してしまう。分解の標的となる分子としては、インターフェロン遺伝子の転写に必要なIRF転写因子などがある。 NSP2は細胞質内封入体に蓄積するRNA結合タンパク質で、ゲノム複製に必要な分子である。 NSP3は感染細胞内でウイルスmRNAに結合しており、細胞のタンパク質合成を遮断する役割を持つ。NSP3は宿主のmRNAからタンパク質を合成するために必要な2つの翻訳開始因子を不活化する。NSP3はまず、転写開始因子elF4FからポリA結合タンパク質 (PABP) を外してしまう。PABPは3' ポリA尾部を持つ転写産物からの効率的な翻訳に必要な因子で、宿主細胞の転写産物のほとんどに結合している。次にNSP3はelf2のリン酸化を促進することで、これを不活化する。ロタウイルスのmRNAはポリA尾部を欠いており、上記の2つの因子のいずれも翻訳に必要ではない。 NSP4は下痢を引き起こすウイルス性のエンテロトキシンで、ウイルス性のエンテロトキシンとしては初めて発見されたものである。 NSP5はA群ロタウイルスの第11分節にコードされる。感染細胞においてNSP5はヴィロプラズムに蓄積している。 NSP6は核酸結合タンパク質で第11分節にコードされており、位相の異なる (out-of-phase) オープンリーディングフレームから転写される。 ロタウイルスの遺伝子とタンパク質RNA分節 (遺伝子)大きさ (塩基対)タンパク質分子量 kDa局在粒子あたりのコピー数機能13302 VP1 125 コアの頂点 <25 RNA依存性RNAポリメラーゼ 22690 VP2 102 コアの内貼り 120 RNA複製酵素の活性化 32591 VP3 88 コアの頂点 <25 メチルトランスフェラーゼ、mRNAキャッピング酵素 42362 VP4 87 表面のスパイク 120 細胞への吸着、病原性 51611 NSP1 59 非構造 0 5'RNAに結合、インターフェロン競合阻害 61356 VP6 45 カプシドの内殻 780 構造タンパク質で種特異的抗原 71104 NSP3 37 非構造 0 ウイルスmRNAの活性を増強し、細胞性のタンパク質合成を遮断 81059 NSP2 35 非構造 0 RNAのパッケージングに関わるNTPase 91062 VP71 VP72 38および34 表面 780 構造タンパク質、中和タンパク質 10751 NSP4 20 非構造 0 エンテロトキシン 11667 NSP5 NSP6 22 非構造 0 ssRNAおよびdsRNAとの結合を担う、リン酸化を受ける この表はサルロタウイルスSA11株を許にしている。RNAとタンパク質の割り当ては一部の株で異なる。
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非構造タンパク質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/25 08:16 UTC 版)
「ウエストナイルウイルス」の記事における「非構造タンパク質」の解説
非構造タンパク質はNS1、NS2A、NS2B、NS3、NS4A、NS4B、NS5からなり、主にウイルスの複製を補助したり、プロテアーゼとして働いたりしているものの、これらのタンパク質の機能は断片的にしか解明されておらず、不明な部分も多い。これらの非構造タンパク質のコード領域は、ゲノムの3'末端側に位置している。 非構造タンパク質特徴NS1 ウイルスの複製、特に複製複合体を調節する役割を持つ。 NS2A ウイルスの複製やビリオンの構築、自然免疫応答の調節など、多くの役割を持つ。 NS2B NS3の補因子であり、NS2B-NS3プロテアーゼ複合体を形成する。末端部には3つの膜ドメインがあり、プロテアーゼをウイルス誘導膜に結合するために重要である。 NS3 ポリプロテインを切断し、成熟タンパク質の産生を担うセリンプロテアーゼ。ヘリカーゼなどとしても機能する。 NS4A ウイルス複製の補因子であり、特にNS3のヘリカーゼ活性を調節する。 NS4B インターフェロンシグナルの伝達を阻害する役割を持つ。 NS5 WNVゲノムの中で最大のタンパク質であり、最も保存性が高い。メチルトランスフェラーゼやRNA依存性RNAポリメラーゼとして機能するが、校正機能は存在しない。
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