自然哲学者とは? わかりやすく解説

自然哲学

(自然哲学者 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/27 05:49 UTC 版)

自然哲学(しぜんてつがく、羅:philosophia naturalis)とは、自然事象や生起についての体系的理解および理論的考察の総称であり、自然を総合的・統一的に解釈し説明しようとする形而上学である[2]自然学(羅:physica)と呼ばれた[2]自然、すなわちありとあらゆるものごとのnature(本性、自然 : nature: Natur[3]に関する哲学である。しかし同時に人間の本性の分析を含むこともあり、神学形而上学心理学道徳哲学をも含む[4]。自然哲学の一面として、自然魔術(羅:magia naturalis[注 1]がある。自然哲学は、学問の各分野の間においても宇宙の様々な局面の間でも、事物が相互に結ばれているという感覚を特徴とする[1]


注釈

  1. ^ ファンタジーに描かれる「魔法」とは異なる。「魔術」は、世界の中に埋め込まれた結びつきを学び、制御し、実践的な目的のために制御することを目指していた。右のキルヒャーの口絵では、「算術」と「医学」の間に置かれ、「太陽を追うヒマワリ」で表されている。
  2. ^ この図式は、19世紀後半に考案されて普及した神話である。

出典

  1. ^ a b c d e f g ローレンス・M・プリンチペ 著 『科学革命』 菅谷暁・山田俊弘 訳、丸善出版、2014年
  2. ^ a b 「自然哲学 physica; philosophia naturalis」『ブリタニカ国際大百科事典」
  3. ^ Droz, Layna; Chen, Hsun-Mei; Chu, Hung-Tao; Fajrini, Rika; Imbong, Jerry; Jannel, Romaric; Komatsubara, Orika; Lagasca-Hiloma, Concordia Marie A. et al. (2022-05-31). “Exploring the diversity of conceptualizations of nature in East and South-East Asia” (英語). Humanities and Social Sciences Communications 9 (1): 1–12. doi:10.1057/s41599-022-01186-5. ISSN 2662-9992. https://www.nature.com/articles/s41599-022-01186-5. 
  4. ^ 岩波『哲学・思想 辞典』
  5. ^ 八杉竜一、『進化学序論』、(1965)、岩波書店、p.29


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自然哲学者

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 14:32 UTC 版)

枢軸時代」の記事における「自然哲学者」の解説

ギリシャ哲学紀元前6世紀頃、小アジアイオニア地方栄えたポリス共同体の生活を基盤として生まれた当時市民たちは、生活の労苦大部分奴隷の手にまかせ、自分たちは会話討論没頭する閑暇スコレー、scholē ) をもつことができた。生活上のゆとりをもった市民たちの自由な討論は、理性ロゴスlogos )を発達させ、理性通して感覚的なものの背後にあるもの、個々事物越えて存在する普遍的客観的原理とらえようとする態度生んだこうした静観的観想的態度をテオリア(theoria ) とよんでいる。そして、このような態度は、変転きわまりない自然を成り立たせている根源アルケー、arkhē )は何かを探究させることとなり、タレスに始まる「自然哲学者」と呼ばれる一群下表)を生むこととなった哲学者思想内容特色タレス(BC624?–BC546?) ミレトス学派最初哲学者万物の根源であると説いたアナクシマンドロス(BC610?–BC547?) ミレトス学派と火のように対立するものが共に生み出されてくるようなもの、つまり「限りなくつづくもの(ト・アペイロン)」が万物の根源であるとした。 アナクシメネス(BC585?–BC528?) ミレトス学派。「ト・アペイロン」を空気ととらえ、空気希薄化濃厚化で万物説明しようとした。 ヘラクレイトス(BC544?–?) 変化こそが世界真実であるとし、「万物は火の交換物」、「万物流転する」と説いた弁証法的世界観創始者ピュタゴラス(BC582?–BC497) 数の関係にしたがって万物秩序コスモス)が保たれているとした。「ピタゴラスの定理」で有名。ピュタゴラス学派形成パルメニデス(BC515?–BC445?) エレア派。「有るものが有り、無いものは無い」の命題から出発事物生成消滅運動変化否定したクセノファネス(BC6世紀前半–BC5世紀前半エレア派。「神はたただ一つ不動不滅一にして一切」と説くゼノン(BC495?–BC435?) エレア派パルメニデス弟子雑多否定運動の否定。「ゼノンパラドクス」で有名。 メリッソス(BC5世紀活躍エレア派パルメニデス思想継承。「有るもの」を空間的にも無限とした。 アナクサゴラス(BC500?–BC428?) 多元論者。万物知性ヌース)によって混沌カオス)から形成されたと説くエンペドクレス(BC493?–BC433?) 多元論者。四元素説。火・空気水・地4つ元素愛憎2つの力によって多様な現象説明したレウキッポス(BC5世紀後半活躍多元論者。原子論の提唱デモクリトスの師。 デモクリトス(BC460?–BC370?) 多元論者。原子論確立最初唯物論者万物の根源として、それ以上分割不可能な原子アトム)を考え、その集合離散によって全自然現象説明しようとした。 上述スコレー(生活上のゆとり)とテオリア(観想)的態度によって、実用からはなれ、自由に真理求め愛するというフィロソフィアphilosophia愛知の学=哲学) の精神はぐくまれていった最初哲学者タレスは、アルケーであるとしたが、これは、あらゆる生きものなくては生きられないという経験的事実から出発し思弁によって論理的に結論導いたという点で神話的思考超え、はじめて学問的精神を示すものであった

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