ドリトル先生の旅行
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「ジョン・ドリトル」の記事における「ドリトル先生の旅行」の解説
ドリトル先生は研究と標本採集を主な目的に、動物たちを連れて長期にわたる旅行や航海に出掛けることが恒例になっている。本編中で言及されている旅行や航海は以下の通りである。 若い頃、オーストリアのウィーン(ヴィエナ)でパガニーニのヴァイオリン演奏を聴いた。 1809年4月、北極点に到達。現地でホッキョクグマから地下に石炭が埋まっていることを教わるが、乱開発を防ぐためその事実を公表しないことを約束した。 1830年代前半、アフリカの猿たちが深刻な伝染病に苦しめられている、との一報が季節外れのツバメよりもたらされ、動物たちを連れて大急ぎでアフリカへ渡航する。アフリカに上陸する目前で船が座礁したり、ジョリギンキ王国で捕まる、などのアクシデントを経て猿の国へたどり着き、伝染病を終息させたお礼に世にも珍しい2つ頭の有蹄類・オシツオサレツ(Pushmi-pullyu)を贈られた(『アフリカゆき』前半)。その帰り道にはガンビア・グーグー国でイワツバメの乱獲を止めさせ(『楽しい家』の「あおむねツバメ」)、カナリア諸島近海では、ジョリギンキのバンポ王子が調達した船がもうすぐ沈没することをネズミに知らされ、急いで上陸。海賊の襲撃に遭うも、先に上陸していた先生は船の沈没を逃れ、代わりに海賊船を接収する。その後、海賊の仲間入りを拒んで岩礁へ置き去りにされた漁師をジップの鼻で居場所を特定して救出。この功績で、漁師の故郷(イングランド南西部のコーンウォールか)において、ジップは金の首輪を贈呈された(『アフリカゆき』後半)。 イギリスの冬が体に合わないオシツオサレツの為、避寒を兼ねて西アフリカへ航海。その帰りにイギリス海軍の協力で奴隷商人を撃退したことが発端となり、ファンティポ王国の郵便局再建をココ王より依頼される。国際郵便局の閉鎖直前には、ファンティポの奥地にある“秘密の湖”ジュンガニーカ湖で、太古より生きながらえるリクガメ・ドロンコ(Mudface)より旧約聖書の大洪水にまつわる長い物語を聞き取った(『郵便局』)。 『キャラバン』第3部4章では「5年ほど前」に東南アジアへ航海し、ビルマで穫れる特殊な米でポケットサイズの馬を育てた後、シャムの国王へ献上した際の思い出を語っている。この際と同じ旅程の出来事かは不明であるが『航海記』第1部3章ではスタビンズ少年との初対面に際し、インドで糖蜜が入った壺を頭に乗せて運んでいた女性とぶつかって糖蜜まみれになったことを回想している。 1839年から1840年頃、助手となったスタビンズを連れてロング・アローが消息を絶った南米の孤島、クモザル島(Spidermonkey Island)への航海。船は嵐で大破するが、イルカの助けで島に到着し、ロング・アローの救出に成功する。その後、島内で勃発した部族間の紛争を収める。島民の全面的な信頼を得て王に祭り上げられ、ジョング・シンカロット王として2年余りを過ごした後、大ガラス海カタツムリの協力でイギリスへ帰還した(『航海記』第3 - 6部)。 昆虫の言語に関する研究を進めていた時期に巨大な蛾のジャマロ・バンブルリリイに導かれて月に到達する。月世界を統治する太古の巨人、オーソ・ブラッジと出会い現地で1年を過ごした(『月からの使い』『月へゆく』『月から帰る』)。 月から持ち帰った植物を基にした不老長寿の研究が行き詰まり、またジュンガニーカ湖で聞き取ったドロンコの伝承に関する記録が失われたことから、再び西アフリカ・ファンティポへの航海を敢行。ジュンガニーカ湖で地震により生き埋めになっていたドロンコを救出し、再度、大洪水に関する口伝の聞き取りを行う(『秘密の湖』)。 また『緑のカナリア』第1部1章で豚のガブガブは「アフリカ、アジア、フィジーへ行った」と述べているが、アフリカは『アフリカゆき』を指すとしても「アジア」が前述の東南アジアやインドへの渡航を指すのか、また南太平洋のフィジーに渡航したのがどの時期で、先生に連れられてのものか否かなどは不明である。 旅行の行き先が特に決まっていない場合は、目をつぶって無作為に地図帳をめくりながら鉛筆を突き立て、筆先が指し示した場所を目的地とする運まかせの旅行(Blind travel)と呼ばれる行事で行き先を決める。この行事は本編中で2回にわたって実施され、1回目は『航海記』第2部11章でロング・アローが消息を絶ったクモザル島が、2回目は『月からの使い』第2部14 - 15章で月(地図帳で太陽系図の次のページに掲載された月面図)が目的地となった。 先生は旅行に際して大荷物を用意することを好まず、医療用具と必要最低限の生活用品だけを愛用の鞄に詰めて持って行く。月世界の探索に当たった時だけは例外的に、月から飛来した蛾の背中に、観測・実地調査用の機材を大量に乗せて運搬した。
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