食品添加物 アメリカ合衆国

食品添加物

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/20 09:06 UTC 版)

アメリカ合衆国

  • 1906年連邦純正食品・薬品法英語版 (Pure Food and Drug Act) が国会を通過した。危険性のある添加物の使用を禁じる内容であった。
  • 1907年、条例により、80余り流通していたコールタールを原料とするタール色素は7種類のみ使用可能で他は禁止となった[11]。(1973年に、さらに4種が禁止になった[11]。のちに赤色2号赤色3号も禁止となったため、この時までに流通していたものは青色2号のみが残っていることになる。)
  • 1938年連邦食品・医薬品・化粧品法 (Food, Drug, and Cosmetic Act) が制定される。
  • 1958年、食品添加物修正によって、デラニー条項 (Delaney Clause) が制定され、これにより発がん性のある物質の食品への使用を禁止されている。また古くから使用されてきた数百の添加物はGRAS(Generally Recognized as Safe、一般的に安全とみなされる物質)として公表された。
  • 1977年、人工甘味料のサッカリンが、デラニー条項にもとづいて禁止となる。実験では、非日常的な量を与えたラットに膀胱がんが起こった。
  • 1991年、サッカリンの禁止は撤回された。
  • 1992年、デラニー条項は、どんな程度の発がん性でも許可しないとされる。

ヨーロッパ

1980年代、欧州共同体 (EEC) で、E番号という表示によって、E100番台は合成着色料、E200番台は合成保存料などと分かりやすい表示に整理された。

イギリス

1856年ウィリアム・ヘンリー・パーキンがコールタールから染料を合成し、以降、合成染料の業界ができる。

1977年、食品添加物を除去するファインゴールドの食事療法はイギリスにも知れ「注意欠陥・多動性障害の子供をサポートする会」[12]につながった。

1986年、ラベル表示を義務付ける法案が施行する。

2009年末より、メーカーが自主規制するよう勧告されているタール色素:赤色40号赤色102号カルモイシン黄色4号黄色5号キノリンイエロー英語版[13]

食品添加物の是非

健康を巡っての是非

合成添加物は第二次世界大戦以後に使われるようになったものが大半である。

厚生労働省が食品添加物認可前に行う各種安全性試験は、食品添加物を単品でのみ供試動物に投与するものであり、一般消費者が日々、複数の食品添加物を摂取している現状に鑑み、考えられる「複数の食品添加物同士による複合作用」は試験されていない。

タール色素を中心とした一部の添加物では各国で規制されているものが日本では流通しているため、一部消費者が安全性に異議をとなえている[誰?]。こうした疑問に対しては、食品安全委員会のホームページの他、JECFAでの科学的な審議結果が参考となる[要出典]

1975年、アメリカのアレルギー医であるベン・F.ファインゴールド は『なぜあなたの子供は暴れん坊で勉強嫌いか』という著書を出版し、サリチル酸に似た構造を含む合成食品添加物の入らない食事によって、アレルギー症状が回復すると同時に半数以上の子供のADHD(注意欠陥・多動性障害)も改善されることを報告した。

1985年、英国ロンドンで最大の小児病院といわれるグレート・オーモンド・ストリート小児病院で76人の子供で二重盲検法による比較が行われ、合成着色料と合成保存料を除去した食事によって80%以上の子供に活動の収まる傾向がみられたものの、正常値までADHDが改善したのは28%であった。頭痛などの症状も改善したのは38%であった[14]。二重盲検法で合成保存料や合成着色料を除去したらADHDの子供の73%に改善傾向が見られた[15]

2007年、英国食品基準庁はいくつかの合成着色料と合成保存料の安息香酸ナトリウムの混じったものが子どものADHDを増加させるという二重盲検法の結果[16][17]を受けて、避けたほうがいいと勧告し[18]2008年4月、英国食品基準庁(FSA)は注意欠陥・多動性障害(ADHD)と関連の疑われるタール色素6種類について2009年末までにメーカーが自主規制するよう勧告した[13]。ガーディアン紙によれば、この政府勧告による自主規制の前に、大手メーカーは2008年中にもそれらの食品添加物を除去する[19]

2008年3月、これを受けて、欧州食品安全庁(EFSA)は、イギリスでの研究結果は1日あたりの摂取許容量(ADI)の変更にのための基準にはできないと報告した[20]。しかし、4月イギリスは再び排除すべきだと勧告を行い[13]、8月には欧州は摂取量の見直しをはじめ「注意欠陥多動性障害に影響するかもしれない」という警告表示がされることになると報道された[19]

1999年、食品添加物の危険性を指摘する『買ってはいけない』が出版され、ミリオンセラーとなった[要出典]

2005年11月、食品添加物の元セールスマンである安部司が、『食品の裏側—みんな大好きな食品添加物』を出版し、注目された[要出典]。 かれは、「(食品添加物を利用することで実現した)簡単で便利な生活もいいが、その代償として失っているものは確実にある。」と述べている[21]

添加すること自体の是非

食品添加物が加えられていることを嫌がる消費者も少なくないが、例えば、豆腐こんにゃくは、そもそも添加物を加えないと凝固しないなど、添加物がないと製造できない食品があることも事実である。育児用粉ミルクの各種ビタミン類、炭酸カルシウム硫酸銅硫酸亜鉛など食品添加物で必須成分を強化しなければ、乳児の健康に重篤な障害が発生しうる危険性さえあると主張する者も居る[要出典]

また、「無添加食品が無添加でない食品よりも健康に良い」という科学的証拠は全く無く、無添加などの日用品におけるゼロリスク商法は、消費者に誤解と不安を広げるだけで、加工食品に対する信頼の構築には結びつかないという意見もある[22][23]

「食品添加物の使用で、食中毒菌の繁殖を抑えられる利点を重視すべき」との指摘もある。食品添加物の製造・販売企業で構成する一般社団法人・日本食品添加物協会は、「無添加」「(食品添加物)不使用」といった表記の自粛を、食品関連業界に呼び掛ける見解を公表。問題点として「消費者の不安を利用している」「実際は添加物が使われているのに事実に反した表示が見られる」「一般に同種の食品に添加物を使わないのに無添加と強調している」といった趣旨を主張している[24][25]

一部の食品添加物はスーパーマーケットなどで、うま味調味料、製菓材料の着色料(タール色素)、サッカリンや着色料含有のたくあんの素といった漬物加工液などの形で、一般消費者向けに販売されている。


  1. ^ 『指定添加物(規則別表一)のJECFAによる安全性評価』公益財団法人 日本食品化学研究振興財団』2014年6月3日。2019年4月4日閲覧。
  2. ^ 『新食品添加物マニュアル 第4版』 日本食品添加物協会、2013年。
  3. ^ a b c d e f 山本俊一「日本の食品衛生史 -特に食品衛生法以前の食品添加物について-」『食品衛生学雑誌』第21巻第5号、日本食品衛生学会、1980年、327-334頁、doi:10.3358/shokueishi.21.327 
  4. ^ 既存添加物の安全性評価に関する研究調査(平成8年度調査)
  5. ^ 既存添加物の安全性評価に関する研究調査(平成11年度調査)
  6. ^ 既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究(平成15年度調査)
  7. ^ 既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究(平成16年度調査)
  8. ^ 既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究 (平成19年度調査) (PDF) (厚生労働省)
  9. ^ 厚生労働省食品添加物に関するホームページ (厚生労働省)
  10. ^ a b c d e f g 『スタンダード栄養・食物シリーズ8 食品衛生学(第3版)』 一色賢司編、2010年、東京化学同人、p.120-122、ISBN 978-4-8079-1603-0
  11. ^ a b ベン・F.ファインゴールド著 『なぜあなたの子供は暴れん坊で勉強嫌いか』 北原静夫訳 人文書院 1978年7月。130-131頁。
  12. ^ The Hyperactive Children`s Support Group (英語)
  13. ^ a b c Board discusses colours advice (Food Standards Agency, Friday 11 April 2008)
  14. ^ Egger J, Carter CM, Graham PJ, et al. Controlled trial of oligoantigenic treatment in the hyperkinetic syndrome. Lancet 1(8428), 1985 Mar 9, pp540-5. PMID 2857900
  15. ^ Boris M, Mandel FS. "Foods and additives are common causes of the attention deficit hyperactive disorder in children" Ann Allergy 72(5), 1994 May, pp462-8. PMID 8179235
  16. ^ Donna McCann et al "Food additives and hyperactive behaviour in 3-year-old and 8/9-year-old children in the community: a randomised, double-blinded, placebo-controlled trial" Lancet, 370(9598), 2007 Nov 3, pp1560-7. PMID 17825405
  17. ^ Schab DW, Trinh NH, "Do artificial food colors promote hyperactivity in children with hyperactive syndromes? A meta-analysis of double-blind placebo-controlled trials"] Journal of developmental and behavioral pediatrics, 25 (6), 2004 Dec, pp423-34. PMID 15613992
  18. ^ Agency revises advice on certain artificial colours (英語) (Food Standards Agency, 11 September 2007)
  19. ^ a b EU plans warning labels on artificial colours (The Guardian, August 11 2008)
  20. ^ Assessment of the results of the study by McCann et al. (2007) on the effect of some colours and sodium benzoate on children’s behaviour - Scientific Opinion of the Panel on Food Additives, Flavourings, Processing Aids and Food Contact Materials (AFC) (英語) (European Food Safety Authority, 14 March 2008)
  21. ^ 安部司“食品の裏側”を明らかにする」 日経BP社『SAFETY JAPAN』インタビュー
  22. ^ 食品安全委員会リスクコミュニケーション専門調査会第24回会合
  23. ^ 唐木英明, 議事録(PDF) p.13, 食品安全委員会, 2006
  24. ^ 食品添加物協会、「無添加」「不使用」表示自粛求める 食中毒リスク低下に貢献『産経新聞』朝刊2018年3月1日(生活面)
  25. ^ 協会はこう考えます日本食品添加物協会(2018年3月14日閲覧)


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