鋳造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/28 17:25 UTC 版)
鋳造に使用する型を鋳型(いがた)、鋳造して作った製品を鋳物(いもの)という。英語でcastingといえば、鋳造と鋳物の双方を指す[1]。鋳造による製造物は、原材料の金属により鋳鉄、鋳鋼などと呼ばれる。
これに対し、金属をハンマーなどで叩いて変形させる加工方法を鍛造といい、いずれも人類の歴史の中で古くから利用されてきたものである。
概要
古代からある加工方法で、砂を型に利用した砂型鋳造は寺の梵鐘の製造などに用いられていた。現在でも、大量生産品の鋳造に幅広く用いられている。砂型で製造したものは表面のざらつきが大きく、そのまま機械部品として使えないため、仕上げ加工を行うことが一般的である。
一方、工芸品等の製作では、石膏型を使うことが多い。石膏型鋳造では原形を蜜蝋等の高温で溶ける材料で制作し、原形を石膏で塗り固めた後、加熱によって原形を除去して材料を流し込む。この方法では砂型に比べて表面のざらつきが小さく、型の合わせ目がないため、後処理が容易になる。
また、金型を用いた金型鋳造もある。金型は高額だが、精度の高い大量生産が可能なため、工業製品の生産などに用いられる。
歴史
鋳造は紀元前3600年頃にメソポタミアで青銅を利用して始まったとされる[2]。さらにふいごの発明でより高い温度を得られるようになり青銅器時代は全盛となった[2]。
鉄の鋳造技術は紀元前7世紀頃に中国で発明された[2]。しかし、古代の鋳鉄は黒鉛をほとんど含まない硬くて脆い材料で加工が困難であった[2]。紀元前470年頃にはそれを約900℃から1000℃の酸化鉄内で3日間加熱して可鍛鋳鉄にする熱処理の技術が用いられていたという研究もある[2]。
ヨーロッパでは、18世紀まで鋳鉄は硬くて脆いものとされていたため鍛造した鉄が重宝されていた[2]。その後、1735年にエイブラハム・ダービー2世が高炉での鋳鉄の製造に成功し、シリコン含有量の高い加工可能な鋳鉄を製造できるようになったことで、蒸気機関などの製造が可能となり産業革命が起こるに至った[2]。
改鋳
金属製品は長期の使用や保存に耐えうる性質に優れるが、それでも劣化により用をなさなくなったときは、既存の鋳物を原料に再び鋳造して製品とすることがよく行われる。これを改鋳、吹替えと呼ぶ。梵鐘など歴史的な鋳造品は劣化(亀裂や焼損)に伴いしばしば改鋳される。
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