酸と塩基
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/04 13:54 UTC 版)
概要
酸と塩基の定義は、化学の進展により何度か拡張されているが、義務教育で習う初歩的な定義は水溶液に関する。最初に、水溶液の酸と塩基を解説する。
水に溶質(物質)を溶かし、その水溶液をリトマス試験紙につけると、溶かした溶質によってリトマス試験紙の色が赤になるものと青になるものがある事が知られている。前者のものを酸性の水溶液、後者のものを塩基性(塩基の中でも特に水に溶け易いものはアルカリ性と呼ばれる)の水溶液といい、酸性、塩基性の水溶液を作り出した溶質をそれぞれ酸、塩基という。酸性でも塩基性でもない、両者の中間に相当する水溶液を中性という。
リトマス以外の化学物質に対しても、水溶液が酸性であるか塩基性であるかに応じて、その化学物質を水溶液に入れた時に起こる化学反応が大きく異なる事が知られており、例えば酸性の水溶液は鉄を溶かして水素を生じるが、塩基性の水溶液ではそのような反応は起こらない。したがって溶質が酸であるか塩基であるかを知ることは実用上非常に重要である。
酸の例としては塩酸、硫酸、硝酸、酢酸などが挙げられ、塩基の例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどが挙げられる。
酸塩基反応
酸性と塩基性は逆の性質であり、酸性の水溶液と塩基性の水溶液を混ぜると、酸塩基反応という化学反応が生じて、より中間的な状態へと近づき、同時に何らかの物質(塩:えん)ができる。特に、酸性の水溶液と塩基性の水溶液を適切な量だけ混ぜると、互いの性質を打ち消しあうようになる。この変化を中和と呼ぶ。
水溶液がどの程度酸性ないし塩基性であるかは、水素イオン指数 (pH) という尺度で測る事ができる。室温ではpHが7のとき中性、7より小さいとき酸性、7よりも大きいとき塩基性である。なお、厳密な定義は省くが、酸性の度合いが非常に強い場合を強酸、酸性の度合いが少ない水溶液を弱酸という。強塩基、弱塩基も同様に定義する。
なお、酸・塩基の強さを測る指標はpH以外にも、規定度・酸解離定数 (pKa) ・酸度関数 (H0) などがある。また、酸と塩基には、「硬い」「軟らかい」という表現をされる定性的な性質がある。詳しくはHSAB則を参照。
ラボアジエの説
「酸」という名称は、酸には必ず酸素が含まれるのではないかというラヴォアジエの説によるMF1(p144)。しかし後にデービーが、塩酸という水素と塩素しか含んでいない物質も酸になる事を示した為、この説は修正が必要になったMF1(p144)。そしてデービーの成果は、酸素よりむしろ水素が酸の定義に重要である事を示唆していたMF1(p144)。
注釈
出典
酸と塩基と同じ種類の言葉
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