空手バカ一代 概要

空手バカ一代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/10 02:42 UTC 版)

概要

伝説の空手家・大山倍達の半生を描いた伝記的作品。寸止めでの組手を主体とする日本の伝統的空手界に異を唱え、邪道と謗りを受けながらも実際に打撃を当てる独自の空手(フルコンタクト空手)を提唱、国内や海外を転戦する姿を追った「超人追求編」「無限血闘編」「悲願熱涙編」(つのだじろう・画)、大山道場から極真会館への刷新と世界進出や、主催する大会での場や他の格闘技と戦う高弟たちの活躍を描いた「昭和武蔵編」「空手巌流島編」「世界制覇編」(影丸譲也・画)の六部構成となっている。タイトルには「激闘! 大山倍達伝」という副題も付く。

前半三部は大山倍達を主人公に、世界中を転々としながら各地の強豪と戦う様子を描いている。山篭り以後は、一貫して背中まで伸びた長髪の姿で描かれていた。極真会館を設立した後半部からは、ストーリーの軸が大山倍達から当時の高弟である大山茂大山泰彦中村忠芦原英幸山崎照朝添野義二などにシフトしていく。これら高弟の一人である芦原には、大山道場の師範代安田英治の武勇伝や安田のあだ名「ケンカ十段」の人物像を加え、準主人公として梶原がキャラクターを作り上げたことから、芦原は大山倍達と人気を二分するほどになった。このあだ名と安田が実際に浅草でヤクザ15人KO事件をした事実を[3]、梶原は芦原に流用したと後に劇画『男の星座』で発表している。

「実話を基にしたノンフィクション作品」という触れ込みであり、物語冒頭で「これは事実談であり、この男は実在する」と宣言。物語内でも、例えば大山倍達がと闘うシーンで「ただの漫画なら迫力溢れる描写で牛がすぐに男に突進するだろうが、本当の牛はいきなりそんな行動には出ない」、またアメリカ行きの飛行機内で倍達が飛行機酔いに悩まされるシーンで、「作り話なら颯爽とした主人公が飛行機に酔ったりしない」等の文章でたびたび「事実である」事を強調している[4]が、真樹日佐夫は「内容の九割以上は梶原の創作だった[5]」、松井章圭は「実際に劇画のような戦い方や人柄は山崎照朝先輩のみで、本当に劇画みたいな組手をしている山崎先輩は格好良かった[6]」などと証言している。実際、雲井代悟のモデルになった柔道家(世界選手権での優勝経験のある棟田康幸の父、棟田利幸)は、芦原英幸と戦っていない。逆に、芦原英幸とは親交が深かった[7](ただし、試合形式の稽古をした事はあり、それによって芦原はパワーの重要性を認識する事になる[8])。その一方で家高康彦は「同劇画の3年前、1968年に出版された大山著の『世界ケンカ旅行』(ベストセラーズ新書)が基になっている[9]」と指摘している。また、大山は朝鮮半島出身であり韓国籍を持ち、後に日本国籍も取得しているが、作中では朝鮮についても具体的には特に触れられておらず、大山は日本の伝統武道としての空手を愛する人物であり、特攻隊の生き残りという設定となっている。

梶原が“大山倍達(談)”と頻繁にストーリーの中で示したことと劇画調の筆致により、連載中は絶大な人気を誇り、触発されて極真会館に入門し空手道を始めた者には、松井章圭・増田章黒澤浩樹など多くおり、大山と極真会館の知名度向上を語る上で欠かせない作品となった[10]


  1. ^ 週刊少年マガジン 空手バカ一代(つのだじろう / 梶原一騎)”. 文化庁. 2018年8月31日閲覧。他に1971年21号も記されているが、この号に掲載されているのは連載開始予告である。
  2. ^ 週刊少年マガジン 空手バカ一代(影丸譲也とJ・Kプロ / 梶原一騎)”. 文化庁. 2018年8月31日閲覧。他に1973年44号と47号も記されているが、これらの号に掲載されているのは第四部の連載開始予告である。
  3. ^ 『新・極真カラテ強豪100人(ゴング格闘技1月号増刊)』 日本スポーツ出版社1997年、36 - 37頁、49頁。
  4. ^ なお、以降の物語の展開で倍達が乗り物酔いに悩まされるシーンはない。
  5. ^ 『格闘技マンガ最強伝説』 福昌堂1998年
  6. ^ 『ワールド空手』 ぴいぷる社、3月号、2001年、41頁。
  7. ^ 「芦原英幸正伝」 (2013年 小島一志著)
  8. ^ 芦原英幸『空手に燃え空手に生きる』
  9. ^ 家高康彦 『実録!! 極真大乱 大山倍達の死と、全国各派の真実』 東邦出版2006年、275頁、ISBN 4-8094-0542-7
  10. ^ なお梶原は『プロレススーパースター列伝』という漫画作品でも、「アントニオ猪木・談」というフレーズを多用している。
  11. ^ プロレスはあらかじめ(たとえば勝敗まで)決められた台本(ブック)に則った「試合」を見せる『ショー』であるため、本来の意味での「八百長」とは異なる。この場合はプロレス用語では「ブック破り」となる。
  12. ^ 大会ルールでは反則は最大減点5であり、これに該当する倍達は本来なら文句なく反則負けになるが、試し割りでを、組手の部に進むために最低限必要な枚数である8枚(9枚目以降は1枚多く割る毎に1点が加算されるシステム)を大幅に超える17枚を割った事で9点を荒稼ぎしており、5点を引いてもまだプラス4点残る。対して南波の方は試し割りの部では、慎重に最低ラインの8枚に2枚を加えて10枚を割ってプラス2点で組手の部に進んでいたが、倍達の顔面に正拳を当ててしまった事で最低でも1点減点されるため、持ち点はプラス1点に留まる
  13. ^ 極真史上最強は誰だ?
  14. ^ また、春山だけがモデルというわけでもなく、初期の大山道場や、その更に前身の「目白野天道場」時代の複数の弟子達の集大成が有明省吾で、大山倍達が春山の事を語ったインタビューについても、別の人物と勘違いして語っているという証言もある。
  15. ^ 子門は、本作の放送開始の前週まで同枠にて放送されていた『ジャンボーグA』(1973年10月6日より毎週土曜日19時台前半の枠に移行)の同名主題歌等を「谷あきら」名義で歌っており、実質上2作連続で関わった事になる。
  16. ^ 『河北新報』1974年4月16日 - 1975年3月11日付朝刊、テレビ欄。
  17. ^ 『河北新報』1973年10月9日 - 1974年9月23日付朝刊、テレビ欄。
  18. ^ 『福島民報』1973年10月10日 - 1974年9月25日付朝刊、テレビ欄。
  19. ^ 『北國新聞』1974年11月18日付 - 11月22日付各朝刊、テレビ欄。
  20. ^ 『北國新聞』 1973年11月5日付朝刊、テレビ欄。
  21. ^ 『北國新聞』 1975年3月5日付朝刊、テレビ欄。
  22. ^ オリンピア社製パチスロ機『空手バカ一代』発売のお知らせ (PDF)”. フィールズ (2006年12月13日). 2018年8月31日閲覧。
  23. ^ 藤子不二雄A『78歳いまだまんが道を』P122、中央公論新社 2012年
  24. ^ http://blogs.masoyama.net/?eid=27
  25. ^ http://blogs.masoyama.net/?eid=49
  26. ^ 増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』
  27. ^ 芦原英幸『空手に燃え空手に生きる』
  28. ^ 芦原英幸『空手に燃え空手に生きる』





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