生島遼一 来歴・人物

生島遼一

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/10 02:54 UTC 版)

来歴・人物

大阪市生まれ[1]旧制松江高等学校[2]を経て1929年京都帝国大学文学部仏文科卒、神戸商業大学予科講師、教授、戦後1947年第三高等学校教授、1949年京都大学教養部教授、1964年京都大学文学部教授を務め、1968年定年退官[3]

若くしてスタンダールの『赤と黒』を翻訳。以後バルザックフローベールプルーストら19世紀フランス文学の作家を紹介し、ラファイエット夫人の「クレーブの奥方」、フローベールの「感情教育」では文章の美しさで翻訳の世界に新境地を開いた。 また、ボーヴォワール『第二の性』の訳でも知られ、桑原武夫伊吹武彦とともに京大フランス学を形成した。

仏文学者と翻訳家、2つの顔で知られているが、日本文学評論や文芸エッセイも著した。 作家でやはり京大教授だった山田稔が「端正と気品が文学のモットーだった」と語る一方で、好き嫌いが激しく時にかんしゃくを起すなど、自ら認める我がままな一面もあった。 当時、国際日本文化研究センターの教授だった杉本秀太郎は「昔気質の学者でした」と語り、晩年まで、自らの舞台にも立つ「第三の顔」も有名で、芸術家肌を地でゆく学者でもあった。

1981年、日本芸術院賞受賞[4]

1991年8月23日、86歳で死去。

著書

共著・編著

  • 『文学と女の生き方』(桑原武夫共著、中央公論社) 1952
  • 落合太郎著作集』全1巻(桑原武夫共編、筑摩書房) 1971
  • 「スタンダール全集」新版 全12巻(桑原武夫ほか共編、人文書院) 1978
    1. 『赤と黒』
    2. 『パルムの僧院』
    3. 『リュシアン・ルーヴェン Ⅰ』
    4. 『リュシアン・ルーヴェン Ⅱ 他』
    5. 『アルマンス / 中短篇集』
    6. 『イタリア年代記 / ラミエル』
    7. 『アンリ・ブリュラールの生涯』
    8. 『恋愛論 / 恋愛書簡』
    9. 『イタリア絵画史』
    10. 『文学論集』
    11. 『評伝集』
    12. 『エゴチスムの回想 / 日記』
  • 『現代の随想14 吉川幸次郎集』(興膳宏共編、彌生書房) 1982
  • 『フランス文学とわたし』(大高順雄編、平凡社) 1985 - 研究回想談を収録

翻訳

  • 『法王庁の抜穴』(アンドレ・ジイド、建設社、アンドレ・ジイド全集) 1934、のち新潮文庫 1952、のち改版
  • 赤と黒』全3巻(スタンダール、桑原武夫共訳、岩波文庫) 1933、のち改訳版 全2巻 1956
  • クレーヴの奥方』(ラファイエット夫人、岩波文庫) 1937、のち改訳版 1976、のち世界文学社 1947
  • 『匣と亡霊』(スタンダアル、桑原武夫共訳、竹村書房) 1937、のち改訳版改題『カストロの尼 他二篇』(岩波文庫) 1956
  • 『アナトオル・フランス短篇小説全集3』(アナトオル・フランス、白水社) 1939、のち新装版『聖女クララの泉』(白水社、アナトール・フランス小説集8) 2000
「サン=ミニアートのボナパルト」「ヴェローナの貴婦人」を所収

  1. ^ 三銃士(下)著者略歴 岩波書店 2023年7月2日閲覧。
  2. ^ [1]
  3. ^ 柿谷浩一編「年譜」『春夏秋冬』講談社文芸文庫
  4. ^ 『朝日新聞』1981年3月4日(東京本社発行)朝刊、22頁。


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