無形文化遺産
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/27 07:37 UTC 版)
選定方法
無形文化遺産条約を批准した国の中から選出される24の委員国(任期4年で2年毎に半数改選)によって構成される「無形文化遺産の保護に関する条約締約国政府間委員会(以下、政府間委員会)」[注 1]が年1回開催され、提案物件を審議する。委員国委員は各国のユネスコ大使や書記官などになる。
また、政府間委員会の中から6ヶ国を選任し補助委員会とし、政府間委員会から委任された各分野に携わるNGO6団体と専門の研究者6人を諮問会議と共同で提案された案件について現地調査などの事前審査を行い[注 2]、政府間委員会に勧告として報告を上げる。勧告は「登録(代表一覧表への掲載)」「情報照会」「不登録(不記載)」の三段階評価で下される[4]。
なお、世界遺産はユネスコ(世界遺産センター)に対し「推薦」するが、無形文化遺産は政府間委員会に対し「提案」する形式となる。
政府間委員会
- 第1回:2006年11月/アルジェリア・アルジェ
- 第2回:2007年9月/日本・東京
- 第3回:2008年11月/トルコ・イスタンブール
- 第4回:2009年9月/アラブ首長国連邦・アブダビ
- 第5回:2010年11月/ケニア・ナイロビ
- 第6回:2011年11月/インドネシア・バリ
- 第7回:2012年12月/ユネスコ本部(フランス・パリ)
- 第8回:2013年12月/アゼルバイジャン・バクー
- 第9回:2014年11月/ユネスコ本部
- 第10回:2015年11~12月/ナミビア・ウィントフック
- 第11回:2016年11~12月/エチオピア・アディスアベバ
- 第12回:2017年12月/韓国・済州島
- 第13回:2018年11~12月/モーリシャス・ポートルイス
- 第14回:2019年12月/コロンビア・ボゴタ
- 第15回:2020年12月/ジャマイカ・キングストンでの開催を予定していたが、ユネスコ本部主導によるオンライン会議となった
- 第16回:2021年12月/ユネスコ本部主導によるオンライン会議
- 第17回:2022年11~12月/モロッコ・ラバト
- 第18回:2023年12月/ボツワナ・カサネ
- 第19回:2024年12月/パラグアイ・アスンシオン
この他、2007年・2008年(2回)・2012年・2022年に臨時政府間委員会を開催している。また、西暦偶数年に無形文化遺産条約締約国総会を開催し、委員国の入れ替え選任や運用規則の見直し、最新の学術的動向の確認とその採用の検討などが行われる。
政府間委員会は登録審査だけでなく、2019年の第14回政府間委員会では、風刺を込めた山車やパフォーマンスを披露するベルギーの「アールストのカーニバル」における出し物の中にユダヤ人を侮蔑するものが含まれており、反ユダヤ主義的で人種差別だとして無形文化遺産としては初となる登録抹消を決定している[5]。
出典
- ^ 外務省-無形文化遺産の保護に関する条約
- ^ CONVENTION FOR THE SAFEGUARDING OF THE INTANGIBLE CULTURAL HERITAGE、条約、(英語)ユネスコ, 2003
- ^ ユネスコ無形文化遺産、09年に初登録 能や歌舞伎も [リンク切れ]/ asahi.com / 2007年9月7日
- ^ 加藤幸治『文化遺産シェア時代 価値を深掘る"ずらし"の視覚』社会評論社、2018年、191頁。ISBN 978-4784517381。
- ^ ユネスコ、人種差別と登録抹消 文化遺産のベルギーのカーニバル 共同通信(Yahoo!ニュース) 2019年12月14日
- ^ [1]、ユネスコ無形文化遺産リスト
- ^ 山・鉾・屋台行事、無形文化遺産に登録決定 ユネスコ 朝日新聞2016年12月1日
- ^ ユネスコの無形文化遺産 日本の「伝統建築工匠の技」登録決定 NHK 2020年12月18日
- ^ 文化審議会世界文化遺産部会(第5回)議事次第 文化庁文化審議会世界文化遺産部会
- ^ 無形遺産、国内候補選定へ 22年登録の議論スタート 日本経済新聞2019年6月11日
「阿万の風流大踊小踊」がユネスコ無形文化遺産の国内候補に 南あわじの伝統芸能/兵庫県 サンテレビ2020年2月19日 - ^ ユネスコ無形遺産候補に「風流踊」を選定 共同通信2020年2月19日
令和元年度におけるユネスコ無形文化遺産への提案候補の選定について 文化庁 - ^ 読売新聞2021年1月16日
- ^ 読売新聞2020年1月25日夕刊
- ^ 日本酒・焼酎 無形文化遺産めざす 輸出や消費拡大期待 施政方針で首相 日本農業新聞2021年1月19日(Yahoo!ニュース配信)
- ^ 令和3年度におけるユネスコ無形文化遺産への提案候補の選定について 文化庁
- ^ ユネスコ無形遺産、茶道・盆栽も申請検討 候補対象を拡大 日本経済新聞2017年2月22日
- ^ 改正文化財保護法が成立 地域の祭りや郷土料理など幅広く保護 NHK2021年4月16日
- ^ ユネスコ無形文化遺産候補に「書道」、来年3月末までに提案…文化審議会が選定 読売新聞2023年12月18日
- ^ 京の台所、ユネスコ無形文化遺産目指す…世界各地の屋根付き市場と連携 読売新聞2024年4月27日(Yahoo!ニュース配信)
- ^ Living heritage experiences and the COVID-19 pandemic - intangible heritage - ユネスコ
- ^ Recognizing importance of living heritage during pandemic Mirage News2020年12月4日
- ^ ボルシチを消滅危機の無形文化遺産に指定 ユネスコ AFP=時事通信 2022年7月1日
注釈
- 無形文化遺産のページへのリンク