炭疽症
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/09 02:41 UTC 版)
炭疽とは「炭のかさぶた」の意味であり、英語名のAnthraxはギリシャ語で「炭」の意味である。この名称は皮膚炭疽の症状で黒いかさぶた(瘡蓋)ができることにちなむ。
ヒト、家畜問わず致死率が高く、感染経路によってはエボラ出血熱やペスト(黒死病)に匹敵するほど危険な感染症となる。
炭疽症の種類
- 皮膚炭疽症
- 炭疽菌が顔、首、手などの皮膚の小さな傷から侵入すると、1 - 7日後ニキビ様の小さな掻痒性または無痛性の丘疹が現れ、周囲には発疹と浮腫が現われる。丘疹は崩壊し潰瘍となり黒いかさぶたを形成し、高熱が出る。炭疽症の大部分はこれに含まれる。
- 未治療の場合の致死率は10 - 20%[1]
- 肺炭疽症
- 炭疽菌が空気とともに肺に吸入された場合、インフルエンザ様症状を示し高熱、咳、膿や血痰を出し呼吸困難となる。
- 未治療での致死率が非常に高く、90%以上である[1]。
- 腸炭疽症
- 炭疽菌が食物とともに口から入ると、頸部のリンパ節炎、腹水貯留、高熱、吐血、腹部の激痛、激しい下痢(膿や血が混じる)がおこる。
- 未治療での致死率は25 - 50%[1]
予防と治療
予防
炭疽症にかかった家畜は殺して焼却し、汚染物は焼却するか厳重に消毒するようにする。また、原因不明の病気にかかった家畜の肉は食べないようにすることである。また、ワクチンは日本には無く、アメリカで1社が製造するのみ。しかも3 - 6回の接種が必要で、副作用の可能性が高く、予防接種はあまり推奨されない。除染法は、汚染場所にヨウ素・塩素などの殺胞子剤を撒く。緊急時には、塩素系漂白剤を10倍に薄めて霧吹きなどで噴霧する。殺菌用の紫外線放射機器を使用してもよい。
治療
抗生物質により治療可能。ペニシリン・テトラサイクリンなど。他人には感染しないので、隔離の必要は無い。手遅れでなければ治癒する。
日本の発症例
ロシアの発生例
病原診断
固有名詞の分類
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