植物油 代替エネルギーとしての植物油

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植物油

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/13 16:01 UTC 版)

代替エネルギーとしての植物油

植物油は化石燃料からの転換として利用が増加しつつある。植物油はバイオディーゼルの基で通常のディーゼル燃料のように使用可能である。いくつかの調製された植物油は自動車を改造せずにそのままで利用されるが調製されていない植物油は粘性表面張力を減らすために加熱する等、専用の改造が必要である。別の方法として植物油の改質英語版がある。

バイオディーゼルの入手性は向上しつつあるものの、未だに化石燃料と比較すると貧弱である。微細藻燃料を生成する目的で大規模なalgaculture法の研究が進められている。

食料よりも燃料用の植物油を生産を増やすために拡大し続ける大規模農業と開墾による環境への影響についての懸念が増大しつつある。これらの効果/影響は、具体的に調査·評価し、経済的および生態学的、および他の燃料源の使用に関連した植物油燃料の想定される恩恵とのバランスを勘案する必要がある。

ネブラスカ州の大豆油で走行するバス[35]

バイオディーゼル

世界のバイオディーゼルの生産能力は8千万トンと推定されているが、2011年(暦年)には20.6百万トンが生産された。これは2010/11年の植物油総生産量の14%[注 6]である。2010年度のディーゼル燃料消費に占めるバイオディーゼルの割合は1.4%であった。

米国では2.95百万トン、ドイツ2.73百万トンとフランス1.78百万トンをふくめたEUで9.13百万トン、アルゼンチン2.43百万トン、ブラジル2.35百万トン、インドネシア1.10百万トンが主な生産国で全世界で21.7百万トンのバイオディーゼルが生産された。全世界でのバイオディーゼルの生産量は2008年には14.3百万トンであったが、年率十数パーセント増えており2011年には21.7百万トンとなったがこれは総植物油生産量の約14%であった。バイオディーゼル先進国であるドイツ、フランス、アルゼンチンでは植物油の消費の半分以上がバイオディーゼル用途となっている[34]。2010年のディーゼルとバイオディーゼルの比率は全世界では100対1.4、バイオディーゼルの大生産国である米国は100対0.6[注 7]、ドイツは100対4.5、アルゼンチンは100対15.4、ブラジルは100対4.8、フランスは100対3.8であった。日本のバイオディーゼルの年間生産量は11万バレルで100対0.04、韓国は237万バレルで100対1.7であった。[36]

21世紀に入り各国ではバイオ燃料の消費拡大政策を取っておりガソリンやディーゼルの5-10%をバイオ燃料で置き換える計画である。米国では2030年に30%と高いバイオエタノールの目標を掲げている[37]

世界経済のためのエネルギーの将来

地球内部の化石燃料の埋蔵量は有限である。現在の世界のエネルギー消費英語版の大部分は化石燃料で交通発電は大半が化石燃料に依存する。ハーバードのピーク理論英語版はそれほど遠くない将来の石油の枯渇英語版を予測する。現時点で私達の経済は複数の代替燃料に転換をすすめる必要がある。化石燃料の持つ一次エネルギーエネルギー貯蔵という2つの問題は将来的に分割して解決できる見通しである。植物油燃料英語版バイオディーゼルと共に、将来、重要な役割を果たす可能性のあるいくつかのエネルギー技術は以下である。:

安全性

植物油によるプランテン揚げ物

植物油はガソリン、石油を基にしたディーゼル燃料エタノールメタノールのような他の燃料よりも大幅に無毒性で引火点が高く (およそ275-290 ℃)[38]、偶発的な点火のリスクを低減する。いくつかの植物油は食用である。


注釈

  1. ^ この数値は主である燈火用の消費が含まれているので現在の食用消費量とは比較できない。
  2. ^ 食用油も切符で配給(昭和16年5月29日 朝日新聞)[13]
  3. ^ 油糧用か直食分を含むのかは不明。
  4. ^ 生食用(maize green)を除く。
  5. ^ a b c 資料の数値は2010年10月から2011年9月で東日本大震災の影響で数値が例年とは異なる可能性がある。
  6. ^ バイオディーゼルの精製工程での歩留りやアルコール添加などがあるのであくまで参考値である。
  7. ^ 2010年は日産2万2千バレルと2008年比50%、2009年比65%と低かったが、2011年は6万3千バレルであった。

出典

  1. ^ 日清オイリオ 「油の歴史はじめてものがたり」
  2. ^ 香川県農業試験場「オリーブいろいろ」
  3. ^ Coconut Research Center ココナッツ
  4. ^ Online Etymology Dictionary Oil
  5. ^ María Sánchez Galera, Juan y José María (2012). Vamos a Contar Mentiras. Edaf. ISBN 9788441432116 
  6. ^ ACEITE
  7. ^ 語源由来辞典 「油」
  8. ^ 日本植物油協会 「南部せんべい」
  9. ^ 日清オイリオ 「食用油を作るのにどのくらいの原料が必要なの?」
  10. ^ biwa.ne.jp 「植物油」
  11. ^ 東京油問屋市場 「江戸積油問屋」
  12. ^ 農林水産省 「植物の恵みで元気に! 植物油」
  13. ^ 『昭和ニュース辞典第7巻 昭和14年-昭和16年』p121 昭和ニュース事典編纂委員会 毎日コミュニケーションズ刊 1994年
  14. ^ 日本植物油協会 「6.植物油の製造法」
  15. ^ kotobank - 世界大百科事典 「植物油」
  16. ^ 油脂工業会館 「世界の油脂原料事情 平成16年3月」
  17. ^ 日本油脂検査協会 「JASとは」
  18. ^ 日本油脂検査協会 「JAS規格値」
  19. ^ 日本食品分析センター 「ベンゾピレン分析に関する緊急メニューのお知らせ」
  20. ^ 日本植物油協会 「1.植物油のルーツ - 植物油の原材料」
  21. ^ 地球環境センター 「マレーシアにおけるパームオイル廃液の調査(仮題)」
  22. ^ kotobank - 日立ソリューションズ・世界大百科事典 「パーム油」
  23. ^ 島根大学・生物資源科学部 「比較作物論 第6回 油料作物 後編」
  24. ^ メタボ-ダイエット 「食品成分表 米ぬか」
  25. ^ 日清オイリオ 「植物油には、どんな種類があるの?」
  26. ^ 日本植物油協会 - ISTA Mielke社「Oil World誌」 「1.1 世界の油糧種子の生産」
  27. ^ USDA Table 13 Peanut
  28. ^ FAOSTAT download 日本植物油協会の資料に掲載されていなかったのでFAOから直接転記データは2010年度
  29. ^ 日本植物油協会 - ISTA Mielke社「Oil World誌」 「1.2 世界の油糧種子の貿易」
  30. ^ 日本植物油協会 - ISTA Mielke社「Oil World誌」 「2.1 世界の植物油生産」
  31. ^ 日本植物油協会 資料集 https://www.oil.or.jp/kiso/seisan/seisan10_01.html]
  32. ^ 日本植物油協会 - ISTA Mielke社「Oil World誌」 「2.2 植物油の貿易」
  33. ^ 2011/12年度のロシアの| 輸出は10/11年度の6倍の1.2百万トンと予測されている。
  34. ^ a b 日本植物油協会 - ISTA Mielke社「Oil World誌」 「3.1 1人当たり消費量の世界比較」
  35. ^ [1] [リンク切れ]
  36. ^ US Energy Information Administration International Energy Statistics
  37. ^ 日本エネルギー経済研究所 「日本におけるバイオディーゼル導入について」
  38. ^ [2] [リンク切れ]
  39. ^ 日本植物油協会 「油祝いとは」
  40. ^ ミキ薬局 「行事食 No.43 油祝い・油しめ」
  41. ^ 日本植物油協会 「油煙墨」
  42. ^ 日本植物油協会 「油にまつわる神仏」
  43. ^ 日本植物油協会 「油にちなむ地名」






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