梅酒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/05 14:35 UTC 版)
概要
歴史的には江戸時代の元禄期に著された『本朝食鑑』に作り方が記載されている。富田仁編『事典 近代日本の先駆者』(日外アソシエーツ、1995年)には、梅酒と桃酒は1912年頃、広島県賀茂郡竹原町に住む米原歌喜知(よねはらかきち)によって作られたのが始まりと書かれている[1]。梅の果実を丸ごと砂糖などと共に酒に一定期間漬け、果汁やエキスを抽出する事によって作られる。日本で市販されている梅酒の多くは、アルコール度数8 - 15度である。果実を使った酒類であるが、日本の酒税法上は果実酒(発泡性酒類を除く、醸造酒類の一種。果実又は果実及び水を原料として発酵させたものなど)ではない。
家庭でも容易に作れることから、古来より民間で健康に良い酒[注 1]として親しまれており、食前酒としても用いられる。
日本では、酒税法の規定によって、酒類の製造には免許が必要であり(酒税法第七条)、酒類に水以外の物を混ぜることも酒類を製造したものとみなされる(酒税法第四十三条)上、出荷すると酒税を納める必要がある(酒税法第六条)。ただし、消費者が自ら消費するために、政令に定められた条件で酒類と他の物品を混ぜる場合には適用されない(酒税法第四十三条11項)という例外規定があり、梅酒の場合、すでに酒税が納められたアルコール分20度以上の酒類に、糖類、梅その他の財務省令で定められたもの(酒税法施行規則第十三条3項)を混ぜ、新たにアルコール分1度以上の発酵がない(酒税法施行令第五十条14項)場合には製造とみなされず、免許が必要とはならない。逆に、免許を持たない者が日本酒、みりん、ワインなどのアルコール度数が20度未満の酒で梅酒を作れば違法となり、家庭の範囲を越えて提供、消費しても違法となる。
また、上記の条件に加えて、2008年4月30日に設けられた特例措置によって、酒場、料理店等酒類を専ら自己の営業場において飲用に供する業を営んでいる者(料理旅館も含まれる)が自己の営業場内において飲用に供することを目的として、飲用に供する営業場内において年間1キロリットル以内の酒を使って混ぜることも、申請すれば認められるようになった(租税特別措置法第87条の8)。店で梅酒を作る前日までに所轄の税務署長に対して「特例適用混和の開始申告書」を提出し、かつ、原料として使用する蒸留酒類の月ごとの数量を帳簿に付ける必要がある。
なお、免許を取得し、日本酒などの醸造酒をベースに製造、販売されている梅酒もある。
注釈
出典
- ^ 富田仁編『事典 近代日本の先駆者』日外アソシエーツ、1995年、619頁。ISBN 978-4-8169-1301-3。
- ^ 杉山美次・岩瀬充璋 『図解 化学のウンチクがたちまち身に付く本―即効!化学ツウになれるQ&A80テーマ』 秀和システム、2006年、12頁。
- ^ 鳳氷糖 氷砂糖Q&A
- ^ 神奈川県農業技術センター 農産物の上手な利用法(梅酒/材料)
- ^ 「梅酒の香気成分と貯蔵による変化」
- ^ CHOYA 「梅酒の梅」「梅ゼリー」
- ^ 全国農業新聞『家畜も大喜び「エコフィード」--食品残さをリサイクル飼料に』
- ^ 『くらしのパートナー:きょうの料理』日本放送協会。
- ^ 「お詫びと訂正」『くらしのパートナー:きょうの料理』日本放送協会。
- ^ 「きょうの料理」6月号64ページの「みりん梅酒」について - NHK出版
- ^ 緊急:「アニメ女子おうちカフェ部♪」について、お詫びと番組内容変更のお知らせ(AT-Xホームページ)
- ^ 本郷明美『どはどぶろくのど 失われた酒を訪ねて』講談社
- ^ “産経抄 - 12月5日”. MSN産経ニュース (2011年12月5日). 2011年12月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年12月5日閲覧。
- ^ [1]
- ^ 「本格梅酒」と「梅酒」? 業界が自主基準 ウメ需要拡大に期待かかる - 産経WEST
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