朝鮮の歴史 先史時代・古朝鮮時代

朝鮮の歴史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/01 16:44 UTC 版)

先史時代・古朝鮮時代

高敞、和順、江華の支石墓群

先史時代

考古学的な実証ある事項はここに記す。また、考古学的知見は新事実の発見や分析の発展で変遷することがある。

古朝鮮時代

箕子
紀元前数世紀ころの朝鮮半島

考古学的考証のない事項はここに記す。

檀君朝鮮檀君神話)
檀君神話上の人物。『三国遺事』に、『魏書』からの引用(ただし、現存する『魏書』にはそのような記述は存在しない)として、中国帝時代に白頭山に降臨した天神の子・桓雄と女の間に生まれた檀君が平壌城で建国したと記されている。大韓民国(韓国)では檀君即位の年をB.C.2333年とし、それから年を数える「檀君紀元」(檀紀)という紀元も存在する。近年朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)では、コンクリート製の檀君陵を復元しているが、その考古学的根拠は全くない。
箕子朝鮮(きしちょうせん、? - 紀元前194年
中国を出自[注釈 2] とする中国人箕子が建国したとされる朝鮮の伝説的な古代国家。韓氏朝鮮・奇氏朝鮮とも呼ぶ。首都は王倹城(現在の平壌)。『三国志』魏志書、『魏略逸文などに具体的な記述がある。現在の韓国では後世の創作として否定しているが、中国では実在したと考えられている。『三国志』『魏略』および『後漢書[注釈 3]』には、前漢建国当時の朝鮮は箕子の子孫が代々朝鮮侯として治めていたが、後に朝鮮王を僭称するようになったこと、箕準の代に至り亡命者衛満の手により王権を奪われたこと、箕準は残兵を率いて南方の馬韓の地を攻略し、そこで韓王となったという。
辰国

注釈

  1. ^ 日本列島内に所在すると見る説もあり、丹波国(→上垣外2003 p.70)、但馬国肥後国玉名郡などに比定する説がある。また、新羅人の地理的知識の増加に伴って『三国志』に見える西域の小国の名を借りたか西域の楽神の乾闥婆信仰に由来する国名に改めたものであり、倭国の東北とする文言も後世の挿入とみる説もある(→井上訳注1980 p.35)。『三国遺事』では龍城国とされる。
  2. ^ 箕子朝鮮の建国者である箕子については、『史記』巻38宋微子世家に「武王既克殷、訪問箕子、於是武王乃封箕子於朝鮮・・・」とあり、殷を出自とする中国人となる。
  3. ^ 後漢書』には「初、朝鮮王準為衛滿所破、乃將其餘衆數千人走入海、攻馬韓、破之、自立為韓王。(初め、朝鮮王準が衛満に滅ぼされ、数千人の残党を連れて海に入り、馬韓を攻めて、これを撃ち破り、韓王として自立した。)」と記されており、衛満箕子朝鮮を滅ぼした際に箕子朝鮮の最後の王、準王は数千人を率いて逃亡し、馬韓を攻め落として韓王となって馬韓を支配したという。
  4. ^ 衛氏朝鮮の建国者である衛満については、『史記』朝鮮伝に「朝鮮王満者、故燕人也」とあり、燕を出自とする中国人となる。
  5. ^ 三国志』魏書辰韓伝「辰韓在馬韓之東、其耆老傳世、自言古之亡人避秦役來適韓國、馬韓割其東界地與之。(辰韓は馬韓の東、そこの古老の伝承では、秦の苦役を避けて韓国にやって来た昔の逃亡者で、馬韓が東界の地を彼らに割譲したのだと自称している)」によると、新羅は古くは辰韓=秦韓と呼ばれ、秦の始皇帝の労役から逃亡してきた秦人の国という。また、『北史』新羅伝には、「新羅者、其先本辰韓種也。地在高麗東南、居漢時樂浪地。辰韓亦曰秦韓。相傳言秦世亡人避役來適、馬韓割其東界居之、以秦人、故名之曰秦韓。其言語名物、有似中國人。(新羅とは、その先は元の辰韓の苗裔なり。領地は高麗の東南に在り、前漢時代の楽浪郡の故地に居を置く。辰韓または秦韓ともいう。相伝では、秦時代に苦役を避けて到来した逃亡者であり、馬韓が東界を割譲し、ここに秦人を居住させた故に名を秦韓と言う。その言語や名称は中国人に似ている)」との記述がある[25]水谷千秋は、辰韓の民の話す言語は秦の人に似ており、辰韓は秦韓とも呼ばれていたため、実際に中国からの移民と考えて間違いない、と述べている[26]
  6. ^ 日本書紀によると、『日本書紀』512年条に「任那四県」の百済への割譲が記載されるなど、任那は日本の影響下にあったとされる。
  7. ^ 北朝鮮も渤海を朝鮮の歴史の一部とみなしているが、「南北国時代」なる用語は使わず「渤海及び後期新羅時期」と表記している。

出典

  1. ^ a b 早乙女 2000, pp. 3-4
  2. ^ a b 早乙女 2000, p. 7
  3. ^ a b 朝鮮史研究入門 2011, p. 14
  4. ^ 松井裕之, 多田隆治, 大場忠道、「最終氷期の海水準変動に対する日本海の応答 塩分収支モデルによる陸橋成立の可能性の検証」 『第四紀研究』 1998年 37巻 3号 p.221-233, doi:10.4116/jaqua.37.221
  5. ^ a b 早乙女 2000, p. 17
  6. ^ 早乙女 2000, p. 18
  7. ^ a b c d 朝鮮史研究入門 2011, p. 19
  8. ^ 早乙女 2000, pp. 20-21
  9. ^ a b 早乙女 2000, p. 45
  10. ^ a b c 早乙女 2000, p. 51
  11. ^ 早乙女 2000, p. 54
  12. ^ a b 早乙女 2000, p. 57
  13. ^ 早乙女 2000, p. 64
  14. ^ 早乙女 2000, p. 72
  15. ^ a b 小片丘彦「朝鮮半島出土古人骨の時代的特徴」『鹿児島大学歯学部紀要』 (18), 1-8, 1998
  16. ^ 三国志
  17. ^ 朝鮮史研究入門 2011, p. 45
  18. ^ 吉田孝『日本の誕生』岩波書店〈岩波新書〉、1997年6月。ISBN 4-00-430510-1  pp.74-78.
  19. ^ 『任那興亡史』31P-200P
  20. ^ 『朝鮮史』武田幸男編184頁
  21. ^ 岡田英弘『日本史の誕生』筑摩書房,2008.ISBN 978-4-480-42449-5, pp.38-42
  22. ^ 岡田英弘『日本史の誕生』筑摩書房,2008.ISBN 978-4-480-42449-5, p.22
  23. ^ 岡田英弘『日本史の誕生』筑摩書房,2008.ISBN 978-4-480-42449-5, p.23
  24. ^ 岡田英弘『日本史の誕生』筑摩書房,2008.ISBN 978-4-480-42449-5, p.25-27
  25. ^ 『北史』新羅伝
  26. ^ 『謎の渡来人秦氏』2009年、文春新書 36頁
  27. ^ 鈴木靖民ほか著『伽耶はなぜほろんだか』<増補改訂版>、大和書房、1998 ISBN 4-479-84047-8(初版1991)
  28. ^ 『三国志』東夷伝、『宋書』夷蛮伝
  29. ^ 広開土王碑
  30. ^ 拳骨拓史『日中韓2000年の真実』扶桑社新書
  31. ^ 『高麗史』一百四 列伝 巻十七 金方慶伝「十五年、帝欲征日本、詔方慶與茶丘、監造戰艦。造船若依蠻様、則工費多、将不及期。..(中略)..用本國船様督造。」
  32. ^ 『元史』 卷十二 本紀第十二 世祖九 至元十九年七月壬戌(1282年8月9日)の条 に「高麗国王請、自造船百五十艘、助征日本。」
  33. ^ 朝鮮大飢饉新聞集成明治編年史第一卷、林泉社、1936-1940
  34. ^ 国号改称(明治43年8月勅令318号)- 韓国ノ国号ヲ改メ朝鮮ト称スルノ件ヲ裁可シココ二之ヲ公布セシム韓国ノ国号ハ之ヲ改メ爾今(じこん)朝鮮ト称ス
  35. ^ 国定教科書の「1948年建国」は抗日・臨時政府の否定ハンギョレ2015年11月9日付記事)]
  36. ^ 今日の歴史(1月7日) 聯合ニュース 2009/01/07
  37. ^ 今日の歴史(12月6日) 聨合ニュース 2008/12/06
  38. ^ 南北首脳、板門店で会談 正恩氏、軍事境界線越える”. 朝日新聞 (2018年4月19日). 2018年4月28日閲覧。
  39. ^ 日本放送協会 (2023年8月18日). “日米韓首脳会談 日本時間の19日未明から【各国のねらい解説】 | NHK”. NHKニュース. 2023年9月8日閲覧。
  40. ^ 南北首脳、板門店で会談 正恩氏、軍事境界線越える”. 朝日新聞 (2018年4月27日). 2018年4月28日閲覧。
  41. ^ 「完全非核化」目標、年内に終戦 南北首脳が板門店宣言”. 朝日新聞 (2018年4月27日). 2018年5月1日閲覧。
  42. ^ 「朝鮮半島の非核化に尽力」、南北首脳が共同声明 AFP BB NEWS Japan 2018年4月27日
  43. ^ “「板門店宣言」の全文を、取り急ぎ日本語に訳してみました”. ハフポスト. (2018年4月27日). https://www.huffingtonpost.jp/entry/panmunjeonm-koreasummit_jp_5c5b7bdbe4b0faa1cb67fee4 2018年4月28日閲覧。 
  44. ^ 日本放送協会 (2023年9月7日). “ロシアと北朝鮮 2回目の首脳会談へ “ロシア極東開催で調整” | NHK”. NHKニュース. 2023年9月8日閲覧。





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