島本須美
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/07 07:56 UTC 版)
来歴
現在はフリー[7]、かつては劇団青年座[2][4]、青二プロダクション、大沢事務所[11]に所属していた。
生い立ち
小さい頃は『鉄腕アトム』から『鉄人28号』、『スーパージェッター』、『エイトマン』などを見て、アトム役を演じていた清水マリは神様のように思えたという[2]。
幼少期から活発な性格で、夏休みなどは近所の男の子と一緒に毎日川で朝から晩まで遊んでいた[9][12]。スポーツが得意で、スポーツ大会などで学校代表になり、体操などで皆の前に立ち、模範演技をしたりしていた[9][12]。音楽なども得意だったが、勉強に関しては活発ではなく、あまり成績が良くなかったという[12]。中学では当初はバスケットボール部に入部していたが、腕を骨折してしまい、休んでいた間にバスケットボールへの熱が冷めてしまい、そのの時に声をかけらて体操部に所属し、新体操に励む[9][12]。一方で文学的なもの、演じることには興味を感じていなかったという[12]。高校卒業後は就職するつもりだったため、高知商業高校[2]に進学したが、体操部がなく演劇部へ入部[9][12]。部長を務め、演劇コンクールに参加し審査員に誉めてもらったことが嬉しくなり、これをきっかけに俳優を目指す[13][14]。
高校時代から各地方にもあった芝居を見るための団体の会員になり、俳優座、文学座、青年座、劇団民芸と大手劇団の舞台を観に行っていた[13]。地方だったことから、演劇に対する予備知識がほとんどなく、観劇できる劇団以外は無知で観劇したそのプロの劇団に憧れ、「そしてそこに入りたい」という想いを馳せていたという[13]。
俳優座を受験するため、上京して桐朋学園芸術短期大学演劇科へ進学[13][15]。短大時代の同期生に高畑淳子がいる[13]。
「やりたいことはやりなさい」という家庭だったため、両親は「好きなことをやりなさい」と応援してくれたという[13][15]。
当時は舞台女優になりたい思いでいっぱいで、テレビ、映画に出演したいという欲は全くなかったという[13]。短大時代はアルバイトもせずに学業に専念していたが、貧しかったことから「今週は20000円で暮らさなきゃ」というのはあった[15]。短大時代は、カリキュラムが詰まっており、次回までにやらなければいけない課題も多くて大変だったという[15]。
その頃、上京するまでは無知だったアングラ演劇に夢中になり、大学卒業後はこちらの方向へと考えるようになり、既製の劇団ではやりたいことが見つけられなかったため、「自分たちで、劇団を作ろう」とも考えていた[16]。
在学中に知り合えたプロの劇作家、プロの演出家に協力してもらい、結成を試みるが、延々と演劇論を戦わせているばかりであり、何も決められなかったため、そのプロの人物達が「お前たちは何をやっているんだ」と去られてしまい、劇団名も決まらず、1本の舞台も行わないまま終わっていたという[16]。
その間、古典の人形劇をしていた団体の人物から誘いがあり、人形と生身の人間が対話するような舞台には出演していた[16]。
職業としての声優は知っていたが、当時は舞台女優を目指していたことから仕事をすることになるとは思っていなかったという[17]。卒業後は大学時代に講師をしていた劇団青年座の演出の人物に青同劇団に誘ってもらい、劇団青年座に入団し[9]、劇団のオーディションを受けて、劇団員になる[17]。
キャリア
青年座に入団してから一番最初に、初井言榮の付き人を経験[15]。初舞台は、PARCO劇場の舞台のヒロイン役[17]。活動初期は『花神』、『マー姉ちゃん』等のテレビドラマに出演していた。
その頃、声の仕事をしていた先輩に「遊びに来ないか」と誘われて、現場で「一声出してみないか」と言われて、声を出していたところ「今度オーディションあるから受けてみる?」というような流れで声優としての活動を始める[18]。
1979年2月17日放送の『ゼンダマン』第3話、「エデンの園だよ!ゼンダマン」のゲストキャラクターのイブ役で声優デビューを果たす[8][9]。同年4月スタートの『ザ☆ウルトラマン』ではヒロインの星川ムツミを演じて初レギュラーとなった[8][9]。多くの文献や本人プロフィールなどでは、この作品がデビュー作とされており、実際にオーディションに合格して声優デビューが決まったのもこちらが先だった[9][18]。『ゼンダマン』のゲストは『ザ☆ウルトラマン』の演出家から出るように言われたものである[9]。
初めてのアフレコの時は舞台的な発声だと声が通り過ぎてしまうなど、その距離感の問題が大変だった[18]。台本と画面を同時に見て、台詞をいうことにも苦労しており、失敗を引きずったりはできず、一言だけの台詞の場合なども、待っている間のプレッシャーがかなりあったという[18]。周囲は先輩ばかりで、現場のルールもわからず、超本気で大きな声でセリフの稽古をしていた[15]。
新人だった頃、劇団にマネージメント料を払わなければならず、レギュラー1本では、アルバイトをしなければ無理で、『風の谷のナウシカ』の頃もアルバイトはしていた[15]。当時はパーティーコンパニオンのアルバイトをしていた[15]。
当時の青年座は、西田敏行が売りだしており、声の仕事には力を入れておらず、声の仕事専門のマネージャーもいないため、『ザ☆ウルトラマン』の収録終わりで次の現場に移動しなくてはいけなかった[15]。その時、声優事務所のマネージャーが「須美ちゃん、そろそろ(時間だから)出たほうがいいよ」と言ってくれており、それくらい、ほったらかしだったという[15]。
これを機に声優業が増えていき、同年12月公開の劇場用アニメ『ルパン三世 カリオストロの城』でゲストヒロインのクラリスを演じた[18][19]。
『ザ☆ウルトラマン』終了後は、収録日を絶対動かすことがなく、旅公演のある舞台公演ができなくなり、舞台の仕事を優先するためレギュラーの声優の仕事は断り、1980年から1982年にかけて日本全国の地方の中学校をまわる学校公演ミュージカル『ブンナよ木からおりてこい』『ある馬の物語』に参加した[9][18]。
1983年4月から『スプーンおばさん』のルウリィ役で再びレギュラーの声優の仕事を受けるようになり、1984年の『風の谷のナウシカ』、1985年の『小公女セーラ』、1986年の『めぞん一刻』、『オズの魔法使い』、『Oh!ファミリー』でそれぞれヒロインもしくは主人公を演じ、人気を博す。
私生活では、1984年に青年座の後輩で7歳下の、お笑いコンビ・ちびっこギャングの越川大介と結婚[20]、長女で声優の越川詩織との三人家族である[21]。
1986年には『めぞん一刻』で演じたヒロイン・音無響子名義でシングル「予感」をリリースし、翌1987年には2枚目のシングル「メロディー」と、アルバム「恋するKI・MO・CHI」をリリースした。
アニメ雑誌『アニメージュ』主催のアニメグランプリでは、1984年の第7回と1987年の第10回、1988年の第11回で、女性声優部門1位を獲得。また1985年と1986年、1989年でも2位に輝いた。
1980年代後半以降は『キテレツ大百科』のキテレツのママ、『それいけ!アンパンマン』のしょくぱんまんなど、ヒロイン以外の役柄での出演が多くなり、役の幅を広げていく。しょくぱんまん役のオーディションの話が来た時は驚いていた[8]。『キテレツ大百科』は前述の通り、島本が母親になった途端に母親役がまわってきたという感じであったという[8]。しょくぱんまん役は現在まで続いているので、持ち役の中で最も演じている期間が長い。
1990年代以降は母親役を演じることが多くなる。OVA『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』ではヒロインの銀鈴役を担当する。なお、銀鈴を主人公としたスピンオフ作品も複数作られている。
1997年からは『名探偵コナン』で主人公・江戸川コナンこと工藤新一の母親・工藤有希子を担当。しょくぱんまん役に次いで担当期間が長い持ち役となっている。
現在まで
業界に入り30年以上が経っているが、その割には「出演作が少ない」と語っており、本人が言うには「主演作やメインレギュラーのインパクトでキャリアを印象づけた」[22]とのこと。
2012年に長女の越川詩織が、島本がレギュラー出演している『それいけ!アンパンマン』で声優デビューしている。
2010年頃にはプロ・フィット声優養成所の専任講師の1人となり基礎講座の講師として活動中。
2014年からはS&S Entertainment Schoolの声優・演劇コースにて、講師として活動中。
2017年1月9日、テレビ朝日にて放映された『人気声優200人が本気で選んだ!声優総選挙!3時間SP』で第25位に選ばれる[23]。同年3月、第11回声優アワードで高橋和枝賞を受賞[24]。
2022年にプロ・フィットが廃業し、声優養成所をラクーンドッグに譲渡したため講師を辞職し退社。
シリーズ一覧
出典
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固有名詞の分類
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