切手 日本では発行されていない切手

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切手

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/12 03:02 UTC 版)

日本では発行されていない切手

郵便制度にはさまざまなものがあり、制度自体日本に存在しないもの(例:気送管郵便)も珍しくない。また、目立たせることで取扱を円滑に行うことを目的に、専用の切手を発行することがある。

速達切手

沖縄の速達切手(1950年)

速達切手(Special/Express Delivery Stamps)は、速達料金の支払いのために発行した切手である。

速達での配達の意思表示とみなされ、たとえ料金が不足していても速達料金が支払われていれば速達で扱われることもあった。日本では発行されていないが、唯一の事例として第二次世界大戦後のアメリカ合衆国による沖縄統治時代における琉球郵政庁1950年2月15日に一度だけ発行した5B円切手がある。

書留切手

書留切手(Registry/Registered Stamps)は、書留料金の支払いのために発行した切手である。おおむね高額な額面であった。

書留を示す文字として "R" が国際的に用いられていることから、これを大きく描く切手もある。書留番号表を切手が兼ねていた例もある。

公用切手

公用切手(Official Stamps)は、官公庁の郵便料金の支払いのために発行した切手である。多くの国では一般人も購入することは許されていた。

官庁別にそれぞれ個別の切手を発行する国もあれば、同じ公用切手を多くの省庁で共用する国もあり、その形式はさまざまである。また、アメリカ合衆国郵政公社は1980年代から同切手の発行を再開、収集家向けに公用切手を販売しているが、使用できるのは空軍や農務省など、一部の連邦官庁に限られた。同切手は、一般人が使用した・職員が私用した場合、300ドルの罰金刑となる旨の警告文が印面に加えられている。

フランスが発行するユネスコ用の切手や、スイスが発行していた国際連盟用の切手もここに分類される。国際連合発行の切手(国連切手)も、その発行母体を考えると、ある意味このカテゴリーに加えることができる存在である。ただし、国際連合の切手は一般人も国連本部などにある郵便局から郵便物を発送すれば使用できる点が異なる。

新聞切手

新聞切手(Newspapers Stamps)は、新聞を郵送する料金支払いのために発行した切手である。

新聞の郵便料金は一般に低額であることから、新聞切手も低額のものが発行されることが多い。しかし、その郵送量が莫大であるために、現在の料金別納などの制度と類似した形で、あらかじめまとめて支払われることもあり、このような場合には高額の切手が必要とされる。なお、類似したものとして新聞税切手があるが、こちらは新聞への税金を徴収することが目的であり、実態は印紙に近い。

不足料切手

不足料切手(Postage Due Stamps)は、未払いや不足の郵便料金など、郵便局が受取人から徴収するあらゆる金銭の徴収のために発行した切手である。

会計を明確にする必要から、この種の切手を発行している。また不足料切手は、もっぱら実用の目的で発行されているため、額面数字を大きく示すなどのスタイルをとっており、簡略化した図案が多く国名を省いたものも少なくない。日本ではこの種の切手は通常切手で代用していたが、現在では料金不足の付箋が使われている。

郵便税切手

郵便税切手とは正規の郵便料金とは別に、郵便物自体に課税、その税を徴収するため郵便物に貼りつけさせる切手。課税目的であるため実質的には印紙の一種ともいえる。中南米諸国やユーゴスラビアでは数多く発行されていた。目的は必ずしも公共の目的ではなく、財政赤字の補填を目的とすることもある。またユーゴスラビアではサラエボオリンピック開催費用の郵便税切手が発行されたこともある。著名なものに1948年のベルリン封鎖では西ベルリン市内で発送される郵便物に、空輸費用捻出のために添付が義務づけられた郵便税切手がある。類似したものとして戦時税切手があり、こちらは戦費捻出のために発行される。

  • これら以外にもさまざまな切手が発行されており、そのような切手は切手カタログでは後半にまとめられていることから、"Back of the Book" と総称される。

注釈

  1. ^ 以外に大豆生蝋黒砂糖小麦などもあった。
  2. ^ 商品切手→商品券など、例外的に小切手がある。
  3. ^ 時には別の素材が用いられる。
  4. ^ 日本においては、日本郵政グループの日本郵便株式会社
  5. ^ 独立国家のそれである必要はなく、植民地のものであっても加盟できる。
  6. ^ 現在のイタリア北部およびフランス南東部。
  7. ^ 料金の前納、重量制の導入、全国均一料金制、など。
  8. ^ ブラジルの「牛の目切手」など多数。
  9. ^ 1966年以降はローマ字での表記が義務付けられた。
  10. ^ 官製封筒の一種。デザイナーの名にちなむ
  11. ^ ちなみに同切手は日本初の目打付切手である。
  12. ^ 一部に例外あり。
  13. ^ 「NIPPON」と表記された最初の切手は1966年1月31日発行の魚介シリーズ・イセエビであり、また「NIPPON」が表記されていない日本切手で最後まで発行されていたものは1963年5月15日から2002年9月30日まで発行されていた「4円普通切手」(ベニオキナエビス)だった。ただし明治時代に発行された日本切手には英語による国名表記(「JAPAN」)がなされていた。
  14. ^ 主に後述するグリーティング切手に数多く見られる。
  15. ^ 2019年以前は1000円まで用意されていた。
  16. ^ 実際には普通切手扱いで書留など他の郵便物にも使用できた。
  17. ^ 当時日本をはじめとする列強は、中国国内に郵便局を権益として保有していた。
  18. ^ 日本郵便株式会社と原著作権者との間に著作物の利用について別途の契約がある場合は、その内容によってはこの限りではないが、そのような契約の存否は明らかでない。

出典

  1. ^ 江後迪子『隠居大名の江戸暮らし』吉川弘文館、1999年、156頁。ISBN 4-642-05474-X 
  2. ^ 「JPタワー(旧東京中央郵便局敷地再整備計画)」内 商業施設名称は「KITTE」(キッテ)に決定』(PDF)(プレスリリース)日本郵政、2012年10月23日http://jptower.jp/pdf/121023.pdf 
  3. ^ 新デザインの普通切手・通常郵便葉書の発行”. お知らせ. 日本郵便. 2017年5月25日閲覧。
  4. ^ 切手の豆知識 第17回「国名表記」”. 切手の博物館. 2011年4月24日閲覧。
  5. ^ NIPPON字入り切手40年”. 郵便学者・内藤陽介のブログ (2006年11月5日). 2015年8月31日閲覧。
  6. ^ “(文化の扉)奥深い、切手収集 印刷の差や消印の種類、楽しむ”. 朝日新聞. (2017年5月21日). オリジナルの2017年5月21日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170521071223/http://www.asahi.com/articles/DA3S12948282.html 
  7. ^ “電子郵便合格通知採用10倍増”. 朝日新聞東京本社朝刊. (1987年2月2日) 
  8. ^ Thornton Lewes & Edward Pemberton, Forged Stamps: How to Detect Them , Edinburgh, 1863 (1979 republication in Early Forged Stamps Detector, New York), pp. 7-8.
  9. ^ a b 真贋のはざま”. umdb.um.u-tokyo.ac.jp. 東京大学. 2023年7月22日閲覧。
  10. ^ スコットカタログ
  11. ^ 郵便切手類模造等取締法(昭和四十七年六月一日法律第五十号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2009年3月5日閲覧。
  12. ^ 郵便切手類模造等の許可に関する省令(昭和四十七年郵政省令第三十一号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2009年10月11日閲覧。
  13. ^ 郵便切手類模造等の許可の申請”. 電子政府の総合窓口(e-Gov). 総務省行政管理局. 2014年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年3月5日閲覧。
  14. ^ タンタンの切手類 - 資料:郵便切手類の模造に関する法令”. 2009年3月5日閲覧。






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