人工衛星の軌道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/18 03:29 UTC 版)
軌道の種類
これらの性質は軌道要素で表される。
高度による分類
- 低軌道 (LEO)[1][2]
- 高度2,000km以下の地球周回軌道。国際宇宙ステーションなどはこの軌道に存在する。
- 中軌道 (MEO)
- 高度2,000kmから地球同期軌道(35,786km)までの地球周回軌道。
- 高軌道 (HEO)
- 地球同期軌道(35,786km)より外の地球周回軌道。
軌道傾斜角による分類
離心率による分類
- 円軌道(Circular orbit)
- 軌道離心率が0で、円の形をした軌道。
- 楕円軌道(Elliptic orbit)
- 軌道離心率が0より大きく1より小さい軌道。楕円を描く。軌道離心率が特に大きいものは、長楕円軌道(Highly elliptical orbit,HEO)と呼ばれる。
- 静止トランスファ軌道 (GTO)
- 近地点が低軌道上で、遠地点が静止軌道上にある楕円軌道を代表例とする、静止軌道への遷移を目的とした軌道(という意味では、パラメータではなく目的に着目した分類である。たとえば通常のGTOの他、スーパシンクロナス・トランスファ軌道がある。詳しくは静止トランスファ軌道の記事を参照)。
- モルニア軌道(Molniya orbit)
- 軌道傾斜角が63.4°で、周回周期が地球の自転周期の半分である楕円軌道。
- ツンドラ軌道(Tundra orbit)
- 軌道傾斜角が63.4°で、周回周期が地球の自転周期と同じである楕円軌道。
- 準天頂軌道 (QZO)
- 適切な軌道傾斜角と軌道離心率を持たせることで、特定の1地域の上空に長時間とどまる軌道。日本の準天頂軌道衛星「みちびき」は、離心率がおよそ0.1で、軌道傾斜角がおよそ45°、周回周期が地球の自転周期と同じである楕円軌道。
- 双曲線軌道
- 1以上の離心率を持つ軌道。第二宇宙速度以上の速度を持ち、天体の引力を振り切る。
- 放物線軌道
- 離心率が1である軌道。第二宇宙速度と同じ速度を持ち、地球の引力を振り切る。速度が増加すれば双曲線軌道になる。
- 脱出軌道 (EO)
- 物体が第二宇宙速度で地球から離れていく放物線軌道。
- 捕捉軌道
- 物体が第二宇宙速度で地球に近づいていく放物線軌道。
周期性による分類
- 回帰軌道
- 人工衛星の1日当たりの周回数がちょうど整数になる軌道。地球が1回転する間に、衛星が何回か地球をまわり、次の日の同じ時刻に、同じ地点の上空に再びその衛星が飛来する。
- 準同期軌道
- 公転周期が惑星の自転周期の2分の1に等しい軌道。
- 準回帰軌道
- 1日のうちに地球を何度か周回し、その日のうちには戻らないが、定数日後に元の地表面上空に戻る軌道。
- 太陽同期準回帰軌道
- 準回帰軌道で、かつ太陽同期軌道である衛星軌道。
- 太陽同期軌道 (SSO)
- 衛星の軌道面に入射する太陽からの光の角度が同じになる軌道。極軌道に近く、赤道を常に同じ現地時間で通過する軌道。太陽同期軌道(衛星側)から地球を見ると太陽光の入射角が常に同じとなり、同一条件下での地球表面の観測が可能となるので地球観測衛星などの画像の撮影に適している。
特殊な分類
擬似軌道
- 馬蹄形軌道
- 地上の観測者から見ると、観測者のいる惑星の周りを周回しているように見えるが、実際には観測物体は惑星と共有軌道となっている軌道。クルースンや2002 AA29を参照。
- エクソ軌道
- 軌道に到達する予定であったが、速度不足のため落下する軌道。弾道飛行の類義語。
- ホーマン遷移軌道 (HTO)
- 推進装置を二回使用して円軌道から他の円軌道に移る軌道。ヴァルター・ホーマンに因んで命名された。
- ハロー軌道/リサージュ軌道
- ラグランジュ点の周りを回る軌道。
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- ^ 宇宙情報センター. “軌道の種類”. 2016年1月13日閲覧。
- ^ NASA. “Ancillary Description Writer's Guide: Orbit”. 2013年5月11日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2016年1月13日閲覧。
- ^ James Oberg (1984年7月). “Pearl Harbor In Space”. Omni Magazine. pp. 42–44. 2008年3月6日閲覧。
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