人工舌
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/13 07:51 UTC 版)
人工舌(じんこうした、じんこうぜつ)は舌の代用として用いられる人工臓器。
開発の背景
進行した「舌がん」や「口腔がん」の手術における「舌再建」では通常、足や腹部から組織を移植して舌を再建するのだが、その場合、飲み込みや発音に影響が出て誤嚥(ごえん)などが起きる恐れがあるということがある。そこで発音や嚥下を補助する人工舌が発案された[1]。
歯科治療に用いる樹脂を材料とし、奥歯にワイヤでつなぎ上下に動くようにしてあり、わずかに残った本来の舌が人工舌をはね上げ、口蓋に触れる仕組みである[2]。
2020年頃では、自発的に動く人工舌として、温度に応じて形を変える形状記憶合金を利用したものも開発され、動物実験などで安全性や性能などを確認できれば、臨床研究を始めるという段階である[3]。
脚注
- ^ Balasubramaniam, Muthu kumar (2016). “Rehabilitation of Glossectomy Cases with Tongue Prosthesis: A Literature Review”. JOURNAL OF CLINICAL AND DIAGNOSTIC RESEARCH. doi:10.7860/JCDR/2016/15868.7184 .
- ^ “発声可能な人工舌開発 岡山大、口腔がん患者に朗報”. 日本経済新聞 (2016年1月31日). 2025年5月13日閲覧。
- ^ 人工舌、自然に動き食事補助、東北大、切除手術の患者向け。『日経産業新聞』2021年1月5日
参考文献
- 岡山大:声出せる人工舌 がん摘出後も可動式で 『大阪夕刊』2016年2月1日
- (ちゅうごくライフ)人工舌、話す夢実現 がん患者などに岡山大開発 『朝日新聞広島1・2地方』2015年11月07日
- [医の現場]人工舌プロジェクト おしゃべり再び 夢サポート『読売新聞大阪』 2019年5月14日
- 皆木省吾、川上滋央、佐藤匡晃、見玉直紀 「夢の会話プロジェクト - 舌切除患者への人工舌形態の確立 -」 『顎顔面補綴』39巻2号 2016年
- 太田圭二、宮崎文伸、川上滋央、佐藤匡晃、古西隆之、村田尚道、兒玉直紀、皆木省吾「舌切除患者を対象としたソフトPAPの製作方法」 『顎顔面補綴』39巻2号 2016年
外部リンク
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