一つ目小僧
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/15 05:00 UTC 版)
単眼症
先天的な奇形に単眼症と呼ばれるものがある。母胎のビタミンA欠損などにより、大脳が左右に分離することができず、これに伴い眼球も1つとなる。脳や神経系、呼吸器などの異常により胎内もしくは生まれてまもなく死亡する症状である。ビタミンAは緑黄色野菜のほか、動物性の食物に多く含まれ、もともと食肉文化の少なかった日本ではビタミンAの不足は珍しいことではなかったのかもしれない。こうした背景にくわえて、一つ目小僧が子供の姿であることや小坊主の衣装であることなどから、単眼で生まれた赤子をこう呼んだものが始まりとも考えられる[14][15]。
神奈川県座間市では、1932年(昭和7年)に市内の墓地から、眼窩が一つしかない頭蓋骨が掘り出されたことがあり、行き倒れの末に野犬の襲撃などで命を落としたものと推定され、供養のために「一つ目小僧地蔵」が建造され、一つ目小僧の伝承と結び付けられて後に伝えられている[16]。この頭蓋骨の主も、同様に単眼症の者とする見方もある[15]。
脚注
参考文献
- 多田克己『幻想世界の住人たち』 IV、新紀元社〈Truth In Fantasy〉、1990年。ISBN 978-4-915146-44-2。
- 多田克己編『江戸妖怪かるた』国書刊行会、1998年。ISBN 978-4-3360-4112-8。
- 村上健司編著『日本妖怪大事典』角川書店〈Kwai books〉、2005年。ISBN 978-4-04-883926-6。
- 柳田國男「年中行事調査標目」『旅と伝説』6巻9号(通巻69号)、三元社、1933年9月、86頁、NCID AN00139777。
関連項目
- ^ a b 多田 1998, p. 49
- ^ アダム・カバット校注・編『江戸化物草紙』小学館、1999年、43頁。ISBN 978-4-0936-2111-3。
- ^ 多田克己 著、京極夏彦、多田克己 編『妖怪図巻』国書刊行会、2000年、164-165頁。ISBN 978-4-336-04187-6。
- ^ 平秼東作 著「怪談老の杖」、柴田宵曲 編『奇談異聞辞典』筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉、2008年(原著宝暦年間)、551-552頁。ISBN 978-4-480-09162-8。
- ^ 川口芳昭編『会津ふるさと夜話』 2巻、歴史春秋社、1978年、28頁。
- ^ 佐藤米司『岡山の怪談』日本文教出版〈岡山文庫〉、1979年、42頁。 NCID BA7625303X。
- ^ 村上 2005, p. 5.
- ^ 柳田國男『日本の伝説』(15版)角川文庫、1977年(原著1953年)、65頁。 NCID BN11519610。
- ^ 村上 2005, pp. 274–276.
- ^ 村上 2005, p. 310.
- ^ a b c 柳田 1933, p. 86
- ^ a b 多田 1990, p. 281
- ^ “瀬谷区の民話と昔話 第十五話:一つ目小僧”. 横浜市瀬谷区 区政推進課. 2008年12月25日閲覧。
- ^ 山田敏之 (2007年6月29日). “第2回 『一眼国』と複眼思考 解説編”. 落語に学ぶ. ソニー教育財団. 2007年11月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年12月5日閲覧。
- ^ a b “まめこぞうの旅 座間の歴史探検 第34話 一つ目小僧地蔵”. あなたの知らない座間がある 0462.net. 座間市商店会連合会 (2007年1月8日). 2009年12月5日閲覧。
- ^ 座間市文化財調査委員会執筆編集『座間市文化財調査報告書』 第9集、座間市教育委員会、1984年、96-97頁。 NCID BN03631400。
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