ヤクシマスミレ ヤクシマスミレの概要

ヤクシマスミレ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/06 16:56 UTC 版)

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ヤクシマスミレ
ヤクシマスミレ(筑波実験植物園
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : 真正バラ類I Eurosids I
: キントラノオ目 Malpighiales
: スミレ科 Violaceae
: スミレ属 Viola
: ヤクシマスミレ V. iwagawai
学名
Viola iwagawai
Makino[1][2][3][4]
和名
ヤクシマスミレ

特徴

小形のスミレであり、渓流の湿った岩上[4]または山地に自生する多年生植物である[7]体細胞染色体数は2n=24である[2]

花柄は糸状で細く[4]、高さは2[1] - 4 cmになる[7]。花は色で小さく[4][7]、わずかに淡紫色を帯び[1]、5 - 7月に開花する[4]。花弁は長さ10 mm[4]倒卵形をしている[3][4](がく)は披針形をし[4][7]、長さは3.5 mmで先端がとがる[7]。唇弁は短く、菱形に近く[4]色の条線が入り[3][4][1]、距は短い[4]果実は蒴果(さくか)で[1][7]、長さ3 - 5 mmほど[5]楕円形である[7]

葉は色で小さな三角形または扁三角形[4](卵形三角形[7])をしており[4]、数は3 - 6枚[1]、長さは4[1][4] - 15 mm[1][7]、幅は4 - 10 mmである[4]。しばしば展開して地に広がる[4]。葉の縁には3 - 4個の波状の鋸歯があり[4][7]、縁の近くに荒い毛が生えている[4]ほかは無毛である[7]側脈は2 - 3本で[4]、時に白斑を出す[1]葉柄の長さは15 - 20 mmである[3][7]

地下茎は細く、間隔を開けて結節し[4]繊維状のを張る[1][4]。開花後に分枝して長く伸び、新しいを形成する[4]

近縁種との差異

花はヤエヤマスミレ(学名:Viola tashiroi)と似ているが、ヤクシマスミレの唇弁が他の弁よりも特別短いのに対し、ヤエヤマスミレはそれほど短くないという違いがある[8]。葉はヤクシマスミレの方がヤエヤマスミレより小さい[7]。ヤエヤマスミレの亜種とする文献もあり、亜種とする場合の学名はViola tashiroi ssp. iwagawae C. Nackejimaである[7]

ミヤマスミレの亜種・ヒメミヤマスミレ(学名:Viola boissieuana)の変種であるヤクシマミヤマスミレと似ているが、葉がほぼ三角形である点や、地下茎でよく繁殖する点が異なる[2]。ヒメミヤマスミレよりも小形であり、ヒメミヤマスミレの変種とする見解もあり、その立場からの学名はViola boissieuana var. iwagawae (Makino) Ohwiと表記する[5]

分布

日本の屋久島[2][3][7][5](小杉谷、永田岳宮之浦岳[1])・奄美大島[2][3][7](湯湾岳[9])・徳之島[3][7]沖縄島北部[6])に分布する[2][3][7]琉球大学の横田昌嗣と傳田哲郎による研究によれば、ヤクシマスミレ類は沖縄島産ヤクシマスミレの系統と奄美諸島・屋久島産ヤクシマスミレの系統の間で更新世前期(約170万年前)に分化が起こったことが示唆されている[10]

沖縄県国頭郡国頭村にある安波のタナガーグムイ植物群落にもヤクシマスミレが自生するが、天然記念物に指定されているため、採取してはならない[3]。野生種の保全状況評価は、鹿児島県がNT(準絶滅危惧)、沖縄県がVU(危急)である[6]


  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 井波 1966, p. 110.
  2. ^ a b c d e f g h 橋本 1974, p. 117.
  3. ^ a b c d e f g h i j k 多和田・高良 1975, p. 51.
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 佐竹ほか 編 1983, p. 248.
  5. ^ a b c d 大井 1975, p. 917.
  6. ^ a b c ヤクシマスミレ”. 琉球の植物データベース. 国立科学博物館. 2019年5月7日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 初島・中島 1979, p. 261.
  8. ^ 橋本 1974, p. 119.
  9. ^ mizuma (2015年4月25日). “湯湾岳はヤクシマスミレが満開”. あまみ便り. 観光ネットワーク奄美. 2019年5月7日閲覧。
  10. ^ 横田昌嗣・傳田哲郎. “2004年度 実績報告書/琉球列島産遺存固有植物の系統地理学的解析”. KAKEN. 2019年5月7日閲覧。
  11. ^ 高木 1994, p. 217.


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