プラグドア 構造

プラグドア

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/07 15:32 UTC 版)

構造

構造としては、戸袋が無くボディー外側を移動して最後に内側に沈み込む「外プラグ式」[1]と、(船体機体を含む)ボディー内を移動して最後に外側に押し出される「内プラグ式」がある。それぞれの方式でリンク機構でドアがスウィングする(スイングドアとも呼ばれる)ものと、レールやガイドに沿ってスライドする(スライドドアとも呼ばれる)ものがある。多くの新幹線電車のように、内プラグ、かつスライド式のものは戸袋を持っているが、構造材()との干渉、見栄え、有効床面積などに問題が無ければ、これも必須ではない。

利点と欠点

利点としては、ボディー外壁と面一になるため美観にすぐれ、空気抵抗と風切り音などの騒音低減や、着雪防止に効果があることである。また、外吊り式の場合は開扉時にドアが車体外側に逃げるため戸袋が不要となり、(特にステップ付き構造で)補強を省いて軽量化でき、閉扉時の車体外寸に比して車内空間や他機器のためのスペースをやや広く取れる。路面電車の場合、特に最近製造されている超低床電車では戸袋を設けると台車などに干渉したり、構造上の弱点となるため、ライトレールでは主流となっており、ホーム高さが低いところが多いユーラシア大陸では一般車両にも増加し、地下鉄新交通システム等の通勤車両にも使われている。

欠点としては、作動時必ず移動してから押し出す(又は引き込む)2段動作となるため、一般的な引き戸と比較して開閉に時間がかかりやすいこと、構造が複雑で構成する部品が多いため製造および維持コストが高くなりやすく破損や故障などのリスクが高いこと、乗車率が高くなると事故のリスクも高くなる(乗客が強い力で扉を外へ押し付けることで強度が落ちる)ことが挙げられる。実際に、かつて土讃線讃岐財田駅 - 坪尻駅間でボルトが緩んだプラグドアが時速120キロの風圧で外へ開き、トンネル面にドアが当たり、戸が約80度回転するという事故があった[2]。過密路線かつホームが高いニューヨーク地下鉄や日本の通勤車両ではほとんど採用されていない。

そのため、日本国内においては、特に1990年代から2000年代にかけて特急型車両を中心にプラグドアを採用した編成・車両が一部見られたものの、2010年代以降に製造された車両においては路面電車を除くと上述の問題やコスト面から新製時に編成単位でプラグドアを採用する例は無くなっており、新幹線N700系などでの先頭車運転台横の出入口にのみ採用する程度に留まっている。ほかにも、試作車では採用されても量産車では採用されなかった例(国鉄クモハ451・クモハ471形1次車、新幹線1000形試作車: プラグドア → 0系: 引き戸)や、初期形で採用されても増備時に引き戸に変更した例(新幹線300系JR東日本キハ100系気動車)も見られている。

内側に開くもので降雨・降雪への対策がなされていないものは、開けた時に室内に水や雪が落ちることがある(開けた時にドア内側が濡れることは外開きのプラグドアに限らず、ヒンジドアやスライドドアでも起こりうる)。


  1. ^ 外プラグ式でかつボディの端にプラグドアがある場合、ドアはボディ中央に向けて開くのが一般的であるが、バンホール・アストロメガみたいにボディ端に向けて開く(したがって、前ドアが開いた時はドアが車体前方にはみ出る)のもある。なお、マイクロバスなどボディ中央にプラグドアがある場合は、ドアはボディ後方に向けて開く場合がほとんどである。
  2. ^ 四国旅客鉄道株式会社土讃線讃岐財田駅~坪尻駅間における鉄道重大インシデント” (PDF) (2007年9月28日). 2020年10月6日閲覧。





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