ドナルド・トランプ 人物

ドナルド・トランプ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/18 03:28 UTC 版)

人物

メラニア夫人とともに大統領就任式に出席するトランプ

トランプは祖父と兄をアルコール依存症に由来する合併症で失っている。祖父と兄弟を反面教師にした兄はタバコに触れないように言い、トランプはその言いつけ通り、酒、タバコのどちらも一切摂取せず、コーヒーさえ飲まない。子どもたちにも酒、タバコ、ドラッグを摂取しないように勧めてきたという。 その理由についてABCニュースの出演時には「本当に輝いていた優秀な人たちが人生を台無しにするのを沢山見てきたからだ」としている。

一方、食生活はビッグマックケンタッキーフライドチキンドミノ・ピザといったファストフードのルーチンを好み、飲料はもっぱらダイエットコーラを愛好し[789]、一日中飲んでいるほどとされる。また、食事時間以外にもポテトチップスを常食しているという。

運動はほとんどせず、睡眠時間は3、4時間程度で十分との考えを持っている[790]。自身の健康に自信をもっているものの、体重は107キログラムに及び、スタチンプロペシアを服用しているとされる。

スーツおよびネクタイはブリオーニで揃え、スマートフォンAndroidを用いているが、警護担当からのセキュリティが強化された機種への変更要請を拒んでおり、下院調査委員会に調査要求が出されている。その為、2017年以降はiPhoneを用いている[791]。愛用のペンであるクロスのセンチュリーIIブラックラッカーは数百本保有し、議員や関係者らにも配っているという[792][793]

宗教長老派教会(プレスビテリアン)のプロテスタントとしている。積極的な活動はしていないが、好きな本を聖書としている。ユダヤ教との結びつきも強い。2016年アメリカ合衆国大統領選挙ではギリシャ正教のアメリカ人主教から祝福を受けた。

家族

2016年2月のキャンペーンイベント。左から、イヴァンカの夫のジャレッド、長女のイヴァンカ、トランプ、妻のメラニア、エリックの妻のララ、次男のエリック

1905年10月に誕生した父のフレッドは、ニューヨークが中心に事業を展開していた不動産開発者である。トランプが自ら語るところによれば、父の手伝いは5歳からしていたという。

トランプは父がクー・クラックス・クラン構成員であったという報道について、英紙デイリー・メールのインタビューで「くだらない」と否定。「父に逮捕歴は無いし、その事件とも無関係だ。そんなことは全く無かった。馬鹿げている」と語っている[796]。なおフォーク歌手のウディ・ガスリーは1950年代にフレッドに家を借りていた事があり、賃貸エージェントによると当時アメリカでは法律で許されていたように、黒人に家を貸さないように指示していたと言う[797]

1937年4月に誕生した姉のマリアン・トランプ・バリーは、連邦控訴裁判所の裁判官である。

1981年10月に誕生した長女のイヴァンカは3児の母である。主婦業・母親業・モデル業をこなす傍ら、相続人としてトランプ・オーガナイゼーションの副社長も務め、ドナルドの選挙活動にも出馬会見や集会で前座を務めるなど活発に参加している。産経新聞によると「クールで最高に行儀がよい」ことからアメリカのメディアから「秘密兵器」と呼ばれているという[798]。夫と同じユダヤ教に改宗している[798][799][800]

アメリカ国家科学賞を受賞した技術者ジョン・ジョージ・トランプは、父方の叔父[801]。 また、高祖父ヨハネス・トルンプ(英語読みでトランプ)の姉妹シャーロット・ルイーザの孫はトマトケチャップの事業で成功し、今日のクラフト・ハインツ社の基礎を築いたドイツ系アメリカ人の実業家ヘンリー・J・ハインツである。

資産

トランプは2017年に31億ドル(約3500億円)の資産を保有していた[802]

大統領選挙では候補者が納税記録を開示するのが通例であるが自身は1度も開示することなく大統領の任期が終了した[803]。かねてからファミリー企業の脱税や不正な資金取引、不倫女性への口止め料名目の政治献金と金銭疑惑が出ており財務情報の捜査が行われていたが、トランプ自身は疑惑に対し魔女狩りであると非難した[804][805]

ニューヨーク・マンハッタン地区の検察が財務情報の開示訴訟を起こし2021年2月22日、アメリカ連邦最高裁判所はトランプ側の主張を退け納税記録の開示命令を下した。

2022年4月25日、ニューヨーク州の裁判所は、同州司法省が進めるトランプ・オーガニゼーションに対する調査で、トランプが裁判所の文書提出命令に従わないのは法廷侮辱罪に当たるとして、提出するまで1日1万ドルの罰金を毎日科す決定を下した。トランプ側は「該当する書類を探し、見つかったものは既に提出した」と主張しており、罰金を不服として上訴する方針[806][807]

2022年12月30日、下院歳入委員会がトランプの2015年から2020年の納税申告資料を公開した。納税額を最小限にできる税控除を利用し、多数の不動産や事業で損失を申告しており、2020年には連邦所得税を支払っていなかった[808][809]

ディープフェイク被害

2023年に出回ったトランプのディープフェイクは生成AIのリスクを周知させた。

トランプのディープフェイクは頻繁に出回り話題になっている。2023年3月20日にベリングキャットの創設者であるエリオット・ヒギンズが画像生成AIの一種であるMidjourneyで作ったディープフェイク画像がソーシャルメディアで拡散され騒然となった。この偽の画像にはトランプが警官たちに囲まれて逮捕されるシーンが写っていた[810][811]

トランプはよくディープフェイクの題材に利用されているが、米国では政治目的の生成AIによる情報操作への懸念が高まっている。プロパガンダネガティブキャンペーン、候補者の言動の捏造が危惧されている。連邦議会では規制の議論も始まっている[812]


  1. ^ アメリカ合衆国における大統領選挙はアメリカ選挙人団によって決定され、それは各州に連邦議会の代表者と同じ数の選挙人が割り当てられ、各州の全ての代表者はその州での選挙で勝った者に投票するというものである(ただしen:faithless electorsは除く)。結果として、次期大統領が全国の全人口に対して、多数の票を得ていないという事がありえる(en: List of United States presidential elections by popular vote margin)。この事態は1824年から5回起きている英語版
  2. ^ 選挙がCOVID-19パンデミック下で実施され郵便投票が普及したために120年ぶりの投票率66パーセント越えとなり[28]、そのために両候補ともこれまで歴代最多であった2008年アメリカ合衆国大統領選挙でのバラク・オバマの獲得票を上回る7000万票超を獲得[29]。バイデンは8000万票超を獲得した史上初の候補者となり、トランプもそれに次ぐ史上第2位の得票を得た候補者となった[30]
  3. ^ 戦後の大統領でトランプ以外に現職でありながら大統領選挙に落選したのは、ジェラルド・R・フォード1976年アメリカ合衆国大統領選挙で落選)、ジミー・カーター1980年アメリカ合衆国大統領選挙で落選)、ジョージ・H・W・ブッシュ1992年アメリカ合衆国大統領選挙で落選)の3名である。なおアメリカの全歴史の中では落選した現職の大統領は10人いる。トランプは特にフランクリン・ルーズベルトに敗れたハーバート・フーヴァーに似ているとして両者を比較する報道が多く見られた[33]
  4. ^ ただし、他の適当な候補地が見つからず開催中止になった。ちなみに、女子ゴルフの世界5大メジャー大会の1つ「全英オープン」の開催予定地もトランプの所有するコースだったが、こちらを運営するイギリス女子ゴルフ連合は特別な反応を見せず、大会は予定通りに開催された。
  5. ^ 「ドナルド・トランプ氏が選挙に出たことは驚いたし、私を財務長官に指名したことには更に吃驚した」
  6. ^ トランプへのメディアの報道を過剰なバッシングと捉えた上で、1980年の選挙報道でマスコミが共和党候補のレーガンを「全人類の脅威」「爆弾魔」など批判していたことを引き合いに出しながら、もし大統領に当選すれば穏当な保守派の大統領になると予測している。 Luttwak, Edward N. (2016年3月9日). "Suffering From Trumphobia? Get Over It". The Wall Street Journal(英語記事・全文読める). 2016年4月8日閲覧
  7. ^ あるいは日本の例。著者は市場原理主義者・自由放任主義者・リバタリアンとして知られるアイン・ランド日本語訳者:脇坂あゆみ. "共和党候補がトランプに絞られたのは必然だ 討論会を通じリーダーシップへの期待高まる". 東洋経済オンライン. 2016年4月8日閲覧
  8. ^ 「偉大な米国を取り戻す」は、トランプのオリジナルではなく、1979年からの大統領選挙で現職のジミー・カーターに挑んだ故ロナルド・レーガン元大統領が掲げたスローガンである。共和党候補が自身とレーガンをひき寄せることはよくあり、このフレーズはスコット・ウォーカーテッド・クルーズも使ったことがある。その際にトランプは、このスローガンを自身の発明品と主張して他の候補を非難したが、トランプの発明品でも無い。マルコ・ルビオ陣営のスローガンも、レーガンの再選キャンペーンの「朝を再びアメリカに」を使っていた。Make America Great Againの項も参照。
  9. ^ 共和党候補者で大統領選挙に当選したのはジョージ・W・ブッシュ以来8年ぶりである。歴代大統領の中では議員・州知事・市長などの政治家としての実務経験もなく、軍人にもなった経験も無い人物が大統領になるのはアメリカ建国史上初である。過去歴代の大統領の中で唯一政治家にならず、軍人から1953年1月20日に大統領に就任したドワイト・D・アイゼンハワー以来64年ぶりということになる。
  10. ^ この代表はバーニー・サンダース上院議員とされる。
  11. ^ この代表はベン・カーソン医師とされる。
  12. ^ When was the last time anybody saw us beating, let's say, China in a trade deal? They kill us. I beat China all the time.
  13. ^ I like China. I sell apartments for— I just sold an apartment for $15 million to somebody from China. Am I supposed to dislike them?
  14. ^ I love China. The biggest bank in the world is from China. You know where their United States headquarters is located?. In this building, in Trump Tower. In this building, in Trump Tower. I love China.
  15. ^ People say, “Oh, you don't like China?” No, I love them. But their leaders are much smarter than our leaders, and we can't sustain ourself with that.
  16. ^ 人民軍の銃撃を受けながらJSAからMDL(DMZ)を横切って亡命した前年のen:Oh Chong-song事件など
  17. ^ ヒラリー・クリントンはトランプの発言を「常軌を逸している」とした。
  18. ^ 日本では母体保護法により妊娠満22週未満の中絶は一定の条件のもとで合法となるが、それ以降は堕胎罪に問われる。詳細は人工妊娠中絶を参照。






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